荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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荒船くんに起こされない
「だめだねむい…」
目の前にある参考書たちの字が滲む。模擬戦の約束をした荒船くんを待っている間に最近溜まってたレポートなんかを片付けてたんだけど、もう限界だ。眠い。最近夜勤が多くてあんまり寝れてなかったのがキてる。
「めも…」
広げたままのノートたちを動かして、テーブルの反対側に蛍光カラーのふせんを貼って『きたらおこして』とへんにゃりした字でメモを残し、柔らかいソファにばたりと横倒しに倒れて目を閉じた。
◆
「…ん、う?」
寝返りを打とうとして、ソファの背もたれに阻まれる。ああ、ここは自室ではなかったとラウンジにいることを思い出した。何時だろう、と瞼をゆるゆる開いたら、目の前に足が見えた。
「……、」
まだぼやけている頭でじっとその足を見る。目の前にあるということは、私の前にあるテーブルを挟んだ反対側のソファに誰か座っているということだ。私服で、しかも足しか見えないから誰だかわからない。女の子ではなさそうだけど。
「…?」
顔を上げようとしたところで、頭に何かが置いてあることに気付いた。手を伸ばして触れてみれば、ちょっと硬い…布?何だろうと視界に入るよう引っ張ってみたら、それは見た事のある帽子だった。荒船くんがかぶってるやつと同じ。
「っ!」
荒船くんがかぶってるやつ!?と一気に覚醒して身体を起こせば、テーブルに肘をついて私の参考書をめくっていた荒船くんがこちらを見た。その頭には帽子はなく、やはり私が持っているのが荒船くんの帽子のようだ。
「ん、起きましたか。おはようございます」
「おはよう…いま何時?」
「17時になった所ですね」
荒船くんが告げた時間は、約束の16時半より30分過ぎていた。荒船くんが時間を守らないわけがないから、メモが見つからなかったかな、とテーブルの上に目を走らせてメモを探す。ない。
「あれ…起こしてってメモなかった…?」
「ありましたね」
「叩き起こしてくれてよかったんだけど」
「蒼さん、疲れてたんでしょう」
特に急いでる訳でもなかったんで放っておきました、と荒船くんが言う。ソファに座り直そうとしたところで、身体に荒船くんのものと思われるパーカーが掛けられていることに気付いた。いろいろ気遣ってくれたみたいだ。
「ごめん、ありがとう」
「いえ」
寝かせておいてくれた事と、パーカーの事をまとめてお礼を言う。差し出した帽子とパーカーを受け取った荒船くんは、帽子をかぶり直してこちらを見た。
「忙しい所に約束してすみません」
「いいの。気分転換にもなるし、荒船くんのお誘いは基本断らない事にしてるから」
欠伸をかみ殺しながらそう言えば、荒船くんががたりと席を立った。
「眠気覚ましに飲み物買ってきますよ。カフェオレで良いですか」
「ありがと、荒船くんも好きなの買ってきて」
「わかりました」
ポケットに入れていた500円玉を荒船くんに差し出す。それを受け取った荒船くんは、自販機のほうへと歩いていった。
「んん…」
ぐうっと伸びをして眠気を払い、テーブルの上に広げたままの参考書たちをかき集めていく。折れないようにテーブルの端にまとめて、片付け終わると同時にカップをふたつ持った荒船くんが戻って来た。
「どうぞ。熱いですよ」
「ありがとう」
荒船くんに手渡されたカップを両手で持って、暖かいそれを口に運ぶ。唇に触れたカフェオレの熱さに、思わず身体がびくついた。
「ぅあっつ!」
「熱いって言いましたよ」
「思ったより熱かった」
火傷は?と聞いてくる荒船くんに平気と首を振って、ふうふう息を吹きかけながらカフェオレを口に運ぶ。熱いカフェオレが喉を通っていくと、燻っていた眠気が溶かされる気がする。
「おいしい…」
「そりゃよかったです」
カフェオレを飲む私とは反対に、荒船くんはいつもどおりお気に入りのお茶を飲んでいるようだ。お菓子、持ってくれば良かったなあと思いながら荒船くんに話しかける。
「今日のルールはどうする?」
「久し振りに、武器1種限定はどうですか」
「いいよ、それでいこう」
荒船くんと対戦する時は、武器1種限定を始め、オプショントリガー禁止、利き腕に鉛弾の重りとか、色々なルールを決めてやることが多い。
楽しいのは勿論、色んな戦い方が出来るし、いざ同じ状況になっても焦らず対応出来る。
「ん、ごちそうさまでした」
参考書なんかをテーブルの端に残して、空のカップを持って立ち上がる。今日は人が少ないし、置いておいても平気だろう。あとで反省会しに戻ってくるし。
「お待たせ、行きましょ」
「はい」
荒船くんと並んで、ランク戦ブースのある方へ歩き出す。気遣ってもらった分、いっぱい構い倒してやろう。
睡魔に負ける
荒船くんと寝起きの模擬戦
(終わったらご飯食べに行きませんか)
(いきますとも)
荒船くんがわざわざ帽子を置くのは、蒼さんの寝顔を他の人に見られたくないからだと叫んでおく
「だめだねむい…」
目の前にある参考書たちの字が滲む。模擬戦の約束をした荒船くんを待っている間に最近溜まってたレポートなんかを片付けてたんだけど、もう限界だ。眠い。最近夜勤が多くてあんまり寝れてなかったのがキてる。
「めも…」
広げたままのノートたちを動かして、テーブルの反対側に蛍光カラーのふせんを貼って『きたらおこして』とへんにゃりした字でメモを残し、柔らかいソファにばたりと横倒しに倒れて目を閉じた。
◆
「…ん、う?」
寝返りを打とうとして、ソファの背もたれに阻まれる。ああ、ここは自室ではなかったとラウンジにいることを思い出した。何時だろう、と瞼をゆるゆる開いたら、目の前に足が見えた。
「……、」
まだぼやけている頭でじっとその足を見る。目の前にあるということは、私の前にあるテーブルを挟んだ反対側のソファに誰か座っているということだ。私服で、しかも足しか見えないから誰だかわからない。女の子ではなさそうだけど。
「…?」
顔を上げようとしたところで、頭に何かが置いてあることに気付いた。手を伸ばして触れてみれば、ちょっと硬い…布?何だろうと視界に入るよう引っ張ってみたら、それは見た事のある帽子だった。荒船くんがかぶってるやつと同じ。
「っ!」
荒船くんがかぶってるやつ!?と一気に覚醒して身体を起こせば、テーブルに肘をついて私の参考書をめくっていた荒船くんがこちらを見た。その頭には帽子はなく、やはり私が持っているのが荒船くんの帽子のようだ。
「ん、起きましたか。おはようございます」
「おはよう…いま何時?」
「17時になった所ですね」
荒船くんが告げた時間は、約束の16時半より30分過ぎていた。荒船くんが時間を守らないわけがないから、メモが見つからなかったかな、とテーブルの上に目を走らせてメモを探す。ない。
「あれ…起こしてってメモなかった…?」
「ありましたね」
「叩き起こしてくれてよかったんだけど」
「蒼さん、疲れてたんでしょう」
特に急いでる訳でもなかったんで放っておきました、と荒船くんが言う。ソファに座り直そうとしたところで、身体に荒船くんのものと思われるパーカーが掛けられていることに気付いた。いろいろ気遣ってくれたみたいだ。
「ごめん、ありがとう」
「いえ」
寝かせておいてくれた事と、パーカーの事をまとめてお礼を言う。差し出した帽子とパーカーを受け取った荒船くんは、帽子をかぶり直してこちらを見た。
「忙しい所に約束してすみません」
「いいの。気分転換にもなるし、荒船くんのお誘いは基本断らない事にしてるから」
欠伸をかみ殺しながらそう言えば、荒船くんががたりと席を立った。
「眠気覚ましに飲み物買ってきますよ。カフェオレで良いですか」
「ありがと、荒船くんも好きなの買ってきて」
「わかりました」
ポケットに入れていた500円玉を荒船くんに差し出す。それを受け取った荒船くんは、自販機のほうへと歩いていった。
「んん…」
ぐうっと伸びをして眠気を払い、テーブルの上に広げたままの参考書たちをかき集めていく。折れないようにテーブルの端にまとめて、片付け終わると同時にカップをふたつ持った荒船くんが戻って来た。
「どうぞ。熱いですよ」
「ありがとう」
荒船くんに手渡されたカップを両手で持って、暖かいそれを口に運ぶ。唇に触れたカフェオレの熱さに、思わず身体がびくついた。
「ぅあっつ!」
「熱いって言いましたよ」
「思ったより熱かった」
火傷は?と聞いてくる荒船くんに平気と首を振って、ふうふう息を吹きかけながらカフェオレを口に運ぶ。熱いカフェオレが喉を通っていくと、燻っていた眠気が溶かされる気がする。
「おいしい…」
「そりゃよかったです」
カフェオレを飲む私とは反対に、荒船くんはいつもどおりお気に入りのお茶を飲んでいるようだ。お菓子、持ってくれば良かったなあと思いながら荒船くんに話しかける。
「今日のルールはどうする?」
「久し振りに、武器1種限定はどうですか」
「いいよ、それでいこう」
荒船くんと対戦する時は、武器1種限定を始め、オプショントリガー禁止、利き腕に鉛弾の重りとか、色々なルールを決めてやることが多い。
楽しいのは勿論、色んな戦い方が出来るし、いざ同じ状況になっても焦らず対応出来る。
「ん、ごちそうさまでした」
参考書なんかをテーブルの端に残して、空のカップを持って立ち上がる。今日は人が少ないし、置いておいても平気だろう。あとで反省会しに戻ってくるし。
「お待たせ、行きましょ」
「はい」
荒船くんと並んで、ランク戦ブースのある方へ歩き出す。気遣ってもらった分、いっぱい構い倒してやろう。
睡魔に負ける
荒船くんと寝起きの模擬戦
(終わったらご飯食べに行きませんか)
(いきますとも)
荒船くんがわざわざ帽子を置くのは、蒼さんの寝顔を他の人に見られたくないからだと叫んでおく