荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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奈良坂くんとチョコ会議
約束の時間の5分前、紙袋を抱えてラウンジのいつもの奥まった席へ向かえば、待ち合わせの相手はもう来ているようだった。
「ごめん奈良坂くん、待たせちゃった?」
「いえ、今来たところです」
振り向いて静かに言った彼は、私が持つ紙袋を見て目を輝かせた。この中には、彼の大好物が数えるのが面倒になるほど詰まっている。
「とりあえず色々買って来たから、手伝ってくれる?」
「もちろんです」
普段よりきらきらした目で頷く彼に笑って、テーブルの上に紙袋から取り出した小箱を並べていく。これから、奈良坂くんと2人でバレンタインに向けたチョコ会議を行うのだ。
◆
「ん、美味しい」
「どれ?」
「緑の箱の…この四角いやつです」
「…ん、ほんとだおいしい。ほろっとするー」
小箱の包装を綺麗にはがし、2人でブラックコーヒーを飲みながらチョコを端から吟味している。
「でもこれ、1人分じゃ多いよね」
「没ですか」
「うーん…おいしいから保留」
流石に全員にチョコを作る事は厳しいので、特別に仲の良い人以外は市販ものにしようと考えたのだ。
しかし美味しそうなチョコはいっぱいあるし、1人じゃ食べきれないので応援として奈良坂くんを呼んだのだ。
「自分用にしてはどうですか」
「その手があったか」
出来る限りそれぞれの好みにあったものを渡そうと、机の上には走り書きのメモが置いてある。冬島さんや諏訪さんにはお酒の入ったチョコがいいだろう、とか。
「お酒のチョコはいまいち良さがわかんないから、これはあとで慶に聞いてみようかな」
「その方が良いですね」
テーブルに所狭しと並べられたチョコは、脇に避けてあるお酒が入ったものから、動物や星を模ったもの、ちょっと高級なブランドチョコやドライフルーツにチョコが掛かっているものなど。とりあえず売り場で目を惹いたチョコはだいたい買ってきた。
「これ、当真さんが喜びそうですね」
「あ、それ可愛いよね」
奈良坂くんが指差したのは、猫を模したチョコがいくつか入っている小箱。パッケージも猫のイラストが描いてある。奈良坂くんもおすすめみたいだし、これは当真くん用にしよう。メモメモ。
「蒼さんは、逆にチョコをもらう事がありそうですけど」
「うん、わりと女の子達からもらうよ。去年は佐鳥くんからももらったし」
バレンタインの特集番組で作ったというチョコをくれたのだ。あれは美味しかったなー、と思い出しながらも奈良坂くんに問い返す。
「奈良坂くんもチョコもらうでしょ?」
「貰いますね」
「紙袋2つくらい?」
「平均的にはそれくらいですね」
淡々と頷く奈良坂くん。2月は彼にとって至福の季節だろうと考えながらコーヒーをひとくち飲み込んで、ドライフルーツチョコ系の中から、バレンシアオレンジに半分チョコをつけたやつを摘まんで齧りついた。
「ん、!」
チョコの甘みとオレンジの酸味が絶妙だ。これは加古さんとか喜びそう。というか女子だな。女子が喜びそう。
「美味しいですか?」
「うん、食べてみて」
私が頷けば、奈良坂くんも同じチョコに手を伸ばした。しっとりしているそれを齧って、もぐもぐ咀嚼する。
「ん、本当だ」
「これ、女の子たちにどうかな」
「見た目も良いですし、良いと思いますよ」
「よし、じゃあ女の子はこれにしちゃおう」
オレンジを齧りつつ、このチョコレートのパンフレットを見る。その中から1人分に丁度良いサイズの詰め合わせを見つけて、それをメモに書いていく。
「蒼さん、チョコ作るんですよね?」
「うん、何人かはね」
「誰にあげるんです?」
奈良坂くんがコーヒーを飲みながら問う言葉に、ペン先でとんとんとノートを叩きながら答える。
「荒船くんと出水くん、風間隊のみんなでしょ、それから慶と悠一、あとは上層部の人たちかな…」
荒船くんたち弟子やお世話になってる風間隊には勿論のこと、慶と悠一には「手作りがいい」とリクエストを受けている。リクエストを受けたのだから、頑張って作ってお返しも頑張ってもらおうという魂胆だ。
「それ…差支えなければ、オレにもくれませんか」
「え、手作りでいいの?奈良坂くんは既製品の詰め合わせにしようと思ってたんだけど」
「…手作りが良いです」
詰め合わせ、と言う言葉にぐらついたのがわかりやすく目に見えたけれど、奈良坂くんは「手作りが良い」と言い張った。よくわからないけど、欲しいと言われたなら頑張らないとな。
「それじゃあ、奈良坂くんは手作りと言う事で」
「ありがとうございます」
あんまり表情は変わっていないけれど、なんとなく奈良坂くんが嬉しそうだからいいか。
その後もコーヒーを飲みながら、2人で色んなチョコを食べ比べてバレンタインの計画を立てていった。
奈良坂くんとチョコ会議2016
色々なチョコの食べ比べ!
(余ったチョコは奈良坂くんにあげるよ)
(!)
約束の時間の5分前、紙袋を抱えてラウンジのいつもの奥まった席へ向かえば、待ち合わせの相手はもう来ているようだった。
「ごめん奈良坂くん、待たせちゃった?」
「いえ、今来たところです」
振り向いて静かに言った彼は、私が持つ紙袋を見て目を輝かせた。この中には、彼の大好物が数えるのが面倒になるほど詰まっている。
「とりあえず色々買って来たから、手伝ってくれる?」
「もちろんです」
普段よりきらきらした目で頷く彼に笑って、テーブルの上に紙袋から取り出した小箱を並べていく。これから、奈良坂くんと2人でバレンタインに向けたチョコ会議を行うのだ。
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「ん、美味しい」
「どれ?」
「緑の箱の…この四角いやつです」
「…ん、ほんとだおいしい。ほろっとするー」
小箱の包装を綺麗にはがし、2人でブラックコーヒーを飲みながらチョコを端から吟味している。
「でもこれ、1人分じゃ多いよね」
「没ですか」
「うーん…おいしいから保留」
流石に全員にチョコを作る事は厳しいので、特別に仲の良い人以外は市販ものにしようと考えたのだ。
しかし美味しそうなチョコはいっぱいあるし、1人じゃ食べきれないので応援として奈良坂くんを呼んだのだ。
「自分用にしてはどうですか」
「その手があったか」
出来る限りそれぞれの好みにあったものを渡そうと、机の上には走り書きのメモが置いてある。冬島さんや諏訪さんにはお酒の入ったチョコがいいだろう、とか。
「お酒のチョコはいまいち良さがわかんないから、これはあとで慶に聞いてみようかな」
「その方が良いですね」
テーブルに所狭しと並べられたチョコは、脇に避けてあるお酒が入ったものから、動物や星を模ったもの、ちょっと高級なブランドチョコやドライフルーツにチョコが掛かっているものなど。とりあえず売り場で目を惹いたチョコはだいたい買ってきた。
「これ、当真さんが喜びそうですね」
「あ、それ可愛いよね」
奈良坂くんが指差したのは、猫を模したチョコがいくつか入っている小箱。パッケージも猫のイラストが描いてある。奈良坂くんもおすすめみたいだし、これは当真くん用にしよう。メモメモ。
「蒼さんは、逆にチョコをもらう事がありそうですけど」
「うん、わりと女の子達からもらうよ。去年は佐鳥くんからももらったし」
バレンタインの特集番組で作ったというチョコをくれたのだ。あれは美味しかったなー、と思い出しながらも奈良坂くんに問い返す。
「奈良坂くんもチョコもらうでしょ?」
「貰いますね」
「紙袋2つくらい?」
「平均的にはそれくらいですね」
淡々と頷く奈良坂くん。2月は彼にとって至福の季節だろうと考えながらコーヒーをひとくち飲み込んで、ドライフルーツチョコ系の中から、バレンシアオレンジに半分チョコをつけたやつを摘まんで齧りついた。
「ん、!」
チョコの甘みとオレンジの酸味が絶妙だ。これは加古さんとか喜びそう。というか女子だな。女子が喜びそう。
「美味しいですか?」
「うん、食べてみて」
私が頷けば、奈良坂くんも同じチョコに手を伸ばした。しっとりしているそれを齧って、もぐもぐ咀嚼する。
「ん、本当だ」
「これ、女の子たちにどうかな」
「見た目も良いですし、良いと思いますよ」
「よし、じゃあ女の子はこれにしちゃおう」
オレンジを齧りつつ、このチョコレートのパンフレットを見る。その中から1人分に丁度良いサイズの詰め合わせを見つけて、それをメモに書いていく。
「蒼さん、チョコ作るんですよね?」
「うん、何人かはね」
「誰にあげるんです?」
奈良坂くんがコーヒーを飲みながら問う言葉に、ペン先でとんとんとノートを叩きながら答える。
「荒船くんと出水くん、風間隊のみんなでしょ、それから慶と悠一、あとは上層部の人たちかな…」
荒船くんたち弟子やお世話になってる風間隊には勿論のこと、慶と悠一には「手作りがいい」とリクエストを受けている。リクエストを受けたのだから、頑張って作ってお返しも頑張ってもらおうという魂胆だ。
「それ…差支えなければ、オレにもくれませんか」
「え、手作りでいいの?奈良坂くんは既製品の詰め合わせにしようと思ってたんだけど」
「…手作りが良いです」
詰め合わせ、と言う言葉にぐらついたのがわかりやすく目に見えたけれど、奈良坂くんは「手作りが良い」と言い張った。よくわからないけど、欲しいと言われたなら頑張らないとな。
「それじゃあ、奈良坂くんは手作りと言う事で」
「ありがとうございます」
あんまり表情は変わっていないけれど、なんとなく奈良坂くんが嬉しそうだからいいか。
その後もコーヒーを飲みながら、2人で色んなチョコを食べ比べてバレンタインの計画を立てていった。
奈良坂くんとチョコ会議2016
色々なチョコの食べ比べ!
(余ったチョコは奈良坂くんにあげるよ)
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