荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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ボーダーで忘年会
「わ、みんな来てる」
今年最後の任務を終えて、ボーダー本部へ駆けこんだ。がやがやと騒がしい大広間へ辿り着けば、そこには本部上層部を含めA級・B級隊員、それから技術者たちが揃っている。
ボーダーの忘年会が始まっているのだ。
「蒼ー」
「お、悠一お疲れ」
「お疲れ。お前の席はここだぞ」
「了解。天羽くんひさしぶり、元気してた?」
「うん」
ずらりと並んだ6人掛けテーブルはランク順らしいけど、黒トリガー組は別枠で本部上層部とA級1位隊の間に席が作られていた。悠一と天羽くんが隣同士に座っているので、私は悠一の反対側に座る事にした。というか既にいろんな人たちが思い思いの席に座っているようだけど。
「慶さん達は残念がってたよ」
「まー、新年会もあるしそっち出るでしょ」
18時までの私と交代で任務に入った太刀川隊は、それはもう残念がっていた。未成年者が大半を占めているため、忘年会と言っても18時から21時半までの短い時間になっているからだ。22時までの任務に入っている太刀川隊はどうやっても出られない計算になる。
「ビュッフェ形式なんだ?」
「うん、いろいろあったよ」
くるくるとフォークでナポリタンを巻きながら天羽くんが頷く。
中央にある大きなテーブルには、見た目も華やかな料理たちが食堂から次々と運ばれてきていて、隊員達がわいわい騒ぎながらそれぞれのお皿を好きなように彩っている。
「私もご飯持ってくる」
「おー、そうしろそうしろ」
良い香りに釣られて席を立ち、テーブルの方へ向かう。テーブルの端にある大きなお皿を手に取って、とりあえず何があるか探索する事にした。
「いろいろあるなあ」
ぐつぐつ音を立てる焼き立てのグラタンや、ふわりと湯気を立てるスープ、果ては炒飯やオムライスに中華まんなど多種多様な食べ物が取り揃えられていた。飲み物は当然ながら、フルーツやデザートも数多く用意されている。
「どれから食べよっかなー」
「あ、蒼さん」
とりあえず焼き立てのパンが食べたい、とパンが山ほど入ったバスケットにトングを伸ばしたところで後ろから声が掛かった。ん?と振り向けば、そこに居たのは荒船くんだった。
「荒船くんか、お疲れさま。いっぱい食べてる?」
「お疲れ様です。食べてますよ」
そう言った荒船くんが持つお皿の上には、たくさんの料理が綺麗に並べられていた。私の横をうきうきで通り過ぎた米屋くんのお皿は随分ごちゃごちゃしていたのが見えた。性格が出てるな…。
「荒船くん、おすすめの料理ない?」
「ああ、蒼さんが好きそうなのだと…あれが美味しかったです」
荒船くんが指差した先にあったのは、魚介が沢山入ったパスタだった。好みドンピシャ!と荒船くんにお礼を言った。
「おいしそう、ありがと!」
「いえ。あとでうちの所にも顔出してくださいね」
「りょーかい!」
「ちゃんとバランスよく食べるんですよ」
「はいー」
とりあえずは先程のパンを入手して、パスタへ向かう。トングに手を伸ばそうとしたところで、先に誰かがトングを取ってしまった。
「あ」
「あ?」
ぎろ、とこちらを見下ろしたのは影浦くんだった。大勢の人がいるところに来るのは珍しいなと思う私を他所に、影浦くんは相手が私と見るや視線を緩ませてトングを持ち直した。
「なんだ、蒼サンか」
「影浦くんもこれ食べるの?」
「おー。なに、蒼サンも食う?」
「食べる」
「取ってやるよ」
かしかし、とトングを鳴らして私にお皿を出す様に促す影浦くんに、せっかくなので甘える事にしてお皿を差し出した。なんだかんだ影浦くんは優しい。
「どんぐらい?」
「お皿半分くらいで」
「りょーかい」
影浦くんが器用に魚介とパスタを挟んで、私のお皿に乗せていく。
「影浦くん、今年もお世話になりました」
「あー、こちらこそ。来年も面倒かけっと思うけど…まあ適当によろしくお願いします」
「まかせろ」
ふふ、と笑えばパスタが綺麗に盛られたお皿をぐいと渡される。お礼を言って、次はサラダを取りに行こうと影浦くんに手を振って別れた。
「お、ドレッシングいろいろ」
お皿にサラダを乗せ、ドレッシングを選ぶ。シーザー、青紫蘇、和風にごま。迷っちゃうな、と厳選していれば後ろからぽんと肩を叩かれた。振りかえる間もなく、顔の横ににゅっと現れたのは。
「蒼さん」
「お疲れ様です」
「わ、菊地原くんと歌川くん!お疲れさま」
両脇から風間隊の後輩達が現れる。
にこにこしている歌川くんと、私に寄りかかるようにお皿を覗き込む菊地原くん。両者ともお皿の上には色々なご馳走が並んでいる。
振り返れば、隊長の蒼也さんは少し向こうで諏訪さんと話しているようだ。
「ご飯食べてる?」
「食べてますよ、煩くてかなわないですけど」
「蒼さん、あれ食べました?あのベリーのケーキ美味しいですよ」
「ほんと?それ持ってこ」
「ドレッシングは和風のやつが美味しいですよ」
「お、ありがと悩んでたんだ。じゃあ和風にしましょ」
ひょいひょいやってくるアドバイスにそって、お皿の上を飾っていく。少ししてお皿がいっぱいになった頃に、2人は蒼也さんに呼ばれて戻っていった。
「戻りたい、けど…しかし飲み物持って行きたいな」
しかしお皿いっぱいのご飯を持ったままではきついかな、とやっぱり引き返すことにした。
ら、正面から長身の人影。
「蒼さーん」
「当真くんー」
近づいてくる当真くんと今年もおつかれー、なんて軽い挨拶をする。当真くんのお皿にはあんまりご飯が乗っていない。
「いま来たとこ?」
「いやいや、隊長のメシ取りに来たんですよ」
「なんだ冬島さんのか」
「そそ。蒼さんご飯いっぱい持ってますね?俺が持ちますよ」
「ありがと」
私のお皿を見るや、ひょーいと大きな手でお皿を持ってくれた。せっかくなので、手が空いているうちに飲み物を貰っていこう。
「当真くんの飲み物も持っていこうか?」
「お、じゃあ頼んでいいですか」
「もちろん」
お皿を持って両手が塞がった当真くんと一緒にドリンクコーナーへと歩く。フルーツジュースとジンジャーエールを入手して、冬島さんの待つテーブルへと急いだ。
「たーいちょ」
「はーあい」
「え、冬島さんここまでパソコン持ってきてるんですか」
「仕事熱心なんですー」
「ほう。あ、当真くんお皿ありがと」
「いーえ。蒼さんも飲み物ありがとうございました」
「では!」
当真くんにお礼を言って、お皿とジンジャーエールを持って黒トリガー組のテーブルへ戻る。
「お、ずいぶん持ってきたな」
「いろいろ薦められて。天羽くんは?」
「デザート取りに行ったな」
「そっか」
よし食べるぞーとフォークへ手を伸ばした。
まだまだ時間はあるのだ、ゆっくり楽しもうとパスタをくるりと巻いた。
ボーダー忘年会!
2015!
(楽しかった!)
(蒼、今年最後の模擬戦しようぜ!)
(慶さんお疲れー)
2015最後のUPでした!
今年もお世話になりました!来年もごひいきに!
「わ、みんな来てる」
今年最後の任務を終えて、ボーダー本部へ駆けこんだ。がやがやと騒がしい大広間へ辿り着けば、そこには本部上層部を含めA級・B級隊員、それから技術者たちが揃っている。
ボーダーの忘年会が始まっているのだ。
「蒼ー」
「お、悠一お疲れ」
「お疲れ。お前の席はここだぞ」
「了解。天羽くんひさしぶり、元気してた?」
「うん」
ずらりと並んだ6人掛けテーブルはランク順らしいけど、黒トリガー組は別枠で本部上層部とA級1位隊の間に席が作られていた。悠一と天羽くんが隣同士に座っているので、私は悠一の反対側に座る事にした。というか既にいろんな人たちが思い思いの席に座っているようだけど。
「慶さん達は残念がってたよ」
「まー、新年会もあるしそっち出るでしょ」
18時までの私と交代で任務に入った太刀川隊は、それはもう残念がっていた。未成年者が大半を占めているため、忘年会と言っても18時から21時半までの短い時間になっているからだ。22時までの任務に入っている太刀川隊はどうやっても出られない計算になる。
「ビュッフェ形式なんだ?」
「うん、いろいろあったよ」
くるくるとフォークでナポリタンを巻きながら天羽くんが頷く。
中央にある大きなテーブルには、見た目も華やかな料理たちが食堂から次々と運ばれてきていて、隊員達がわいわい騒ぎながらそれぞれのお皿を好きなように彩っている。
「私もご飯持ってくる」
「おー、そうしろそうしろ」
良い香りに釣られて席を立ち、テーブルの方へ向かう。テーブルの端にある大きなお皿を手に取って、とりあえず何があるか探索する事にした。
「いろいろあるなあ」
ぐつぐつ音を立てる焼き立てのグラタンや、ふわりと湯気を立てるスープ、果ては炒飯やオムライスに中華まんなど多種多様な食べ物が取り揃えられていた。飲み物は当然ながら、フルーツやデザートも数多く用意されている。
「どれから食べよっかなー」
「あ、蒼さん」
とりあえず焼き立てのパンが食べたい、とパンが山ほど入ったバスケットにトングを伸ばしたところで後ろから声が掛かった。ん?と振り向けば、そこに居たのは荒船くんだった。
「荒船くんか、お疲れさま。いっぱい食べてる?」
「お疲れ様です。食べてますよ」
そう言った荒船くんが持つお皿の上には、たくさんの料理が綺麗に並べられていた。私の横をうきうきで通り過ぎた米屋くんのお皿は随分ごちゃごちゃしていたのが見えた。性格が出てるな…。
「荒船くん、おすすめの料理ない?」
「ああ、蒼さんが好きそうなのだと…あれが美味しかったです」
荒船くんが指差した先にあったのは、魚介が沢山入ったパスタだった。好みドンピシャ!と荒船くんにお礼を言った。
「おいしそう、ありがと!」
「いえ。あとでうちの所にも顔出してくださいね」
「りょーかい!」
「ちゃんとバランスよく食べるんですよ」
「はいー」
とりあえずは先程のパンを入手して、パスタへ向かう。トングに手を伸ばそうとしたところで、先に誰かがトングを取ってしまった。
「あ」
「あ?」
ぎろ、とこちらを見下ろしたのは影浦くんだった。大勢の人がいるところに来るのは珍しいなと思う私を他所に、影浦くんは相手が私と見るや視線を緩ませてトングを持ち直した。
「なんだ、蒼サンか」
「影浦くんもこれ食べるの?」
「おー。なに、蒼サンも食う?」
「食べる」
「取ってやるよ」
かしかし、とトングを鳴らして私にお皿を出す様に促す影浦くんに、せっかくなので甘える事にしてお皿を差し出した。なんだかんだ影浦くんは優しい。
「どんぐらい?」
「お皿半分くらいで」
「りょーかい」
影浦くんが器用に魚介とパスタを挟んで、私のお皿に乗せていく。
「影浦くん、今年もお世話になりました」
「あー、こちらこそ。来年も面倒かけっと思うけど…まあ適当によろしくお願いします」
「まかせろ」
ふふ、と笑えばパスタが綺麗に盛られたお皿をぐいと渡される。お礼を言って、次はサラダを取りに行こうと影浦くんに手を振って別れた。
「お、ドレッシングいろいろ」
お皿にサラダを乗せ、ドレッシングを選ぶ。シーザー、青紫蘇、和風にごま。迷っちゃうな、と厳選していれば後ろからぽんと肩を叩かれた。振りかえる間もなく、顔の横ににゅっと現れたのは。
「蒼さん」
「お疲れ様です」
「わ、菊地原くんと歌川くん!お疲れさま」
両脇から風間隊の後輩達が現れる。
にこにこしている歌川くんと、私に寄りかかるようにお皿を覗き込む菊地原くん。両者ともお皿の上には色々なご馳走が並んでいる。
振り返れば、隊長の蒼也さんは少し向こうで諏訪さんと話しているようだ。
「ご飯食べてる?」
「食べてますよ、煩くてかなわないですけど」
「蒼さん、あれ食べました?あのベリーのケーキ美味しいですよ」
「ほんと?それ持ってこ」
「ドレッシングは和風のやつが美味しいですよ」
「お、ありがと悩んでたんだ。じゃあ和風にしましょ」
ひょいひょいやってくるアドバイスにそって、お皿の上を飾っていく。少ししてお皿がいっぱいになった頃に、2人は蒼也さんに呼ばれて戻っていった。
「戻りたい、けど…しかし飲み物持って行きたいな」
しかしお皿いっぱいのご飯を持ったままではきついかな、とやっぱり引き返すことにした。
ら、正面から長身の人影。
「蒼さーん」
「当真くんー」
近づいてくる当真くんと今年もおつかれー、なんて軽い挨拶をする。当真くんのお皿にはあんまりご飯が乗っていない。
「いま来たとこ?」
「いやいや、隊長のメシ取りに来たんですよ」
「なんだ冬島さんのか」
「そそ。蒼さんご飯いっぱい持ってますね?俺が持ちますよ」
「ありがと」
私のお皿を見るや、ひょーいと大きな手でお皿を持ってくれた。せっかくなので、手が空いているうちに飲み物を貰っていこう。
「当真くんの飲み物も持っていこうか?」
「お、じゃあ頼んでいいですか」
「もちろん」
お皿を持って両手が塞がった当真くんと一緒にドリンクコーナーへと歩く。フルーツジュースとジンジャーエールを入手して、冬島さんの待つテーブルへと急いだ。
「たーいちょ」
「はーあい」
「え、冬島さんここまでパソコン持ってきてるんですか」
「仕事熱心なんですー」
「ほう。あ、当真くんお皿ありがと」
「いーえ。蒼さんも飲み物ありがとうございました」
「では!」
当真くんにお礼を言って、お皿とジンジャーエールを持って黒トリガー組のテーブルへ戻る。
「お、ずいぶん持ってきたな」
「いろいろ薦められて。天羽くんは?」
「デザート取りに行ったな」
「そっか」
よし食べるぞーとフォークへ手を伸ばした。
まだまだ時間はあるのだ、ゆっくり楽しもうとパスタをくるりと巻いた。
ボーダー忘年会!
2015!
(楽しかった!)
(蒼、今年最後の模擬戦しようぜ!)
(慶さんお疲れー)
2015最後のUPでした!
今年もお世話になりました!来年もごひいきに!