荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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風間さんと朝ご飯
誰かに頭を撫でられる感触がした。
それがすごく優しい手つきだったので、微睡みの縁から這い出て目を開く。
「、ん」
「すまない、起こしたか」
「…そうやさん?」
「ああ」
何度か瞬きをして、すこしずつピントが合っていく視界の中にいたのは蒼也さんだった。
問いかければ戻ってくる優しい声に瞼がゆっくりと閉じかけて、一瞬の後にばっと目を見開いた。
「っ蒼也さん!?」
「ああ。どうした」
がばりと起き上った私に、蒼也さんがきょとんと首を傾げる。とりあえず蒼也さんと私の周りを見回すが、作戦室のソファじゃない。多分、その奥のベイルアウト用の黒いベッドの上だ。さっきまで菊地原くんや歌川くんとソファにいたはずなのに…?
「あれ、私なんでここに…?」
「俺が来た時には既にここで寝ていた」
歌川が運んで、菊地原がそれを掛けたそうだと言う蒼也さん。見ればしっかりブランケットが掛けられていた。う、2人に迷惑かけたな。
「すみません、2人は?」
「しばらく前に帰らせた」
私は蒼也さん来たら起こしてって言ったぞ…!と小さく呻いたけれど、「しばらく前」という単語に顔を上げる。
「…え、いま何時ですか?」
「7時だな」
「うわ…。すみません長々とお邪魔しまして…」
「構わない」
少し笑みを浮かべている蒼也さんが、寝癖がついているだろう私の髪の毛をくしゃりと撫でてから作戦室の方へ歩いていく。
半分寝ている身体を動かして手櫛で髪を整え、もそもそベッドから降りてブランケットを畳み、蒼也さんを追った。
「詳しくは聞いていないが、大方眠れなくてうろついていたんだろう」
「うー…そんなかんじです」
「良く寝ていた」
「はい、菊地原くんと歌川くんのおかげで」
モニターのある方へ行けば、蒼也さんがテーブルに置いてあった報告書らしき紙を持って振り返った。
「俺は報告書を提出して朝飯を食べにいくが、蒼はどうする?」
「!髪の毛直したらすぐ行きます」
「ふ、わかった」
なら俺は先に行くぞ、と出て行った蒼也さんを見送る。蒼也さんから朝ごはんのお誘いなんてそうそうないから、私は作戦室の扉が閉まるのを確認してから洗面台へ駆けた。
それからばっちりついてしまっている寝癖をささっと直して、風間隊の作戦室を飛び出した。
◆
「蒼也さんは何食べますか?」
「そうだな…蒼は何にするんだ」
「私は親子丼にしようかなと」
「ああ、いいな。俺も同じものにしよう」
食堂に入ってすぐの本日のおすすめ看板を見れば、今日は親子丼の様だった。奥の厨房からはその出汁の匂いだろうか、ふわりと良い香りが漂っているのにつられて2人で親子丼を食べる事にした。
「菊地原たちと買い物に行くそうだな」
「はい。もう少し大きなブランケットを買いに行こうと思って」
朝早い食堂にはあまり人はいない。
日当たりのいい窓際の2人掛けのテーブルに良い香りを漂わせる親子丼を置いて、向かい合って席に座り込んだ。
「カフェでお茶する予定ですが、そんなには遅くならないかと。お土産も買ってきますね」
「そうか。楽しみにしておこう」
ふっと笑う蒼也さんに笑い返し、2人で手を合わせる。
『いただきます』
それからいそいそとスプーン持って、つやつや輝くたまごに差し入れた。だしをたっぷり吸い込んだご飯と、ごろごろ入った鶏肉も一緒に掬って大きく開いた口に入れた。
「ん!」
「ん、うまいな」
「美味しいですねえ」
同じように親子丼を口にした蒼也さんと、顔を見合わせて笑う。じゅわりと染み出す出汁が美味しくて、しばし無言で食べ進める。これは朝からでも正解だった。
「この朝ご飯、しばらく続きそうです」
「だな」
合間にお茶を飲みつつ、親子丼を食べ進める。ふっと視線を上げれば、蒼也さんが頬を大きく膨らませて親子丼を食べていた。
「ふふ」
「なんだ」
「いえ、なんでもないです」
もぐもぐもぐ、と効果音がつきそうなほど頬張る姿に思わず笑みが零れるが、そこは誤魔化しておく。可愛かったなんて言えない。
「蒼也さん、今日は何時ごろに帰ってきますか?」
「そうだな…遅くとも19時には来るだろう。今日も夜勤だからな」
「わかりました、それまでに帰るようにします」
「急がなくてもいいぞ」
「はい」
蒼也さんと喋りながら、頭の中で今日の予定を組み上げていく。歌川くん達と学校近くの駅で合流、買い物して、お茶して、19時にはここに戻ってくる。そうしたら皆でご飯も食べられる。よし。
「旨かった」
「ご馳走様でした」
美味しいご飯はあっという間になくなってしまい、食後のお茶を飲んでいればすぐに蒼也さんが出かける時間になってしまった。2人で食器を片付けて、食堂を出た。
「では、俺は出かけてくる」
「はい、お気を付けて!」
私は開発室に呼ばれているので、蒼也さんとは食堂のところでお別れだ。
去っていく蒼也さんを見送って、開発室の方へと足を向けた。
蒼也さんに起こされて
一緒に朝ごはん!
(ねえ、蒼也さん来たら起こしてっていったよね?)
(すみません、よく寝ていたので)
(そんなことより、早く買い物行きましょうよ)
やっとできた風間さん編
誰かに頭を撫でられる感触がした。
それがすごく優しい手つきだったので、微睡みの縁から這い出て目を開く。
「、ん」
「すまない、起こしたか」
「…そうやさん?」
「ああ」
何度か瞬きをして、すこしずつピントが合っていく視界の中にいたのは蒼也さんだった。
問いかければ戻ってくる優しい声に瞼がゆっくりと閉じかけて、一瞬の後にばっと目を見開いた。
「っ蒼也さん!?」
「ああ。どうした」
がばりと起き上った私に、蒼也さんがきょとんと首を傾げる。とりあえず蒼也さんと私の周りを見回すが、作戦室のソファじゃない。多分、その奥のベイルアウト用の黒いベッドの上だ。さっきまで菊地原くんや歌川くんとソファにいたはずなのに…?
「あれ、私なんでここに…?」
「俺が来た時には既にここで寝ていた」
歌川が運んで、菊地原がそれを掛けたそうだと言う蒼也さん。見ればしっかりブランケットが掛けられていた。う、2人に迷惑かけたな。
「すみません、2人は?」
「しばらく前に帰らせた」
私は蒼也さん来たら起こしてって言ったぞ…!と小さく呻いたけれど、「しばらく前」という単語に顔を上げる。
「…え、いま何時ですか?」
「7時だな」
「うわ…。すみません長々とお邪魔しまして…」
「構わない」
少し笑みを浮かべている蒼也さんが、寝癖がついているだろう私の髪の毛をくしゃりと撫でてから作戦室の方へ歩いていく。
半分寝ている身体を動かして手櫛で髪を整え、もそもそベッドから降りてブランケットを畳み、蒼也さんを追った。
「詳しくは聞いていないが、大方眠れなくてうろついていたんだろう」
「うー…そんなかんじです」
「良く寝ていた」
「はい、菊地原くんと歌川くんのおかげで」
モニターのある方へ行けば、蒼也さんがテーブルに置いてあった報告書らしき紙を持って振り返った。
「俺は報告書を提出して朝飯を食べにいくが、蒼はどうする?」
「!髪の毛直したらすぐ行きます」
「ふ、わかった」
なら俺は先に行くぞ、と出て行った蒼也さんを見送る。蒼也さんから朝ごはんのお誘いなんてそうそうないから、私は作戦室の扉が閉まるのを確認してから洗面台へ駆けた。
それからばっちりついてしまっている寝癖をささっと直して、風間隊の作戦室を飛び出した。
◆
「蒼也さんは何食べますか?」
「そうだな…蒼は何にするんだ」
「私は親子丼にしようかなと」
「ああ、いいな。俺も同じものにしよう」
食堂に入ってすぐの本日のおすすめ看板を見れば、今日は親子丼の様だった。奥の厨房からはその出汁の匂いだろうか、ふわりと良い香りが漂っているのにつられて2人で親子丼を食べる事にした。
「菊地原たちと買い物に行くそうだな」
「はい。もう少し大きなブランケットを買いに行こうと思って」
朝早い食堂にはあまり人はいない。
日当たりのいい窓際の2人掛けのテーブルに良い香りを漂わせる親子丼を置いて、向かい合って席に座り込んだ。
「カフェでお茶する予定ですが、そんなには遅くならないかと。お土産も買ってきますね」
「そうか。楽しみにしておこう」
ふっと笑う蒼也さんに笑い返し、2人で手を合わせる。
『いただきます』
それからいそいそとスプーン持って、つやつや輝くたまごに差し入れた。だしをたっぷり吸い込んだご飯と、ごろごろ入った鶏肉も一緒に掬って大きく開いた口に入れた。
「ん!」
「ん、うまいな」
「美味しいですねえ」
同じように親子丼を口にした蒼也さんと、顔を見合わせて笑う。じゅわりと染み出す出汁が美味しくて、しばし無言で食べ進める。これは朝からでも正解だった。
「この朝ご飯、しばらく続きそうです」
「だな」
合間にお茶を飲みつつ、親子丼を食べ進める。ふっと視線を上げれば、蒼也さんが頬を大きく膨らませて親子丼を食べていた。
「ふふ」
「なんだ」
「いえ、なんでもないです」
もぐもぐもぐ、と効果音がつきそうなほど頬張る姿に思わず笑みが零れるが、そこは誤魔化しておく。可愛かったなんて言えない。
「蒼也さん、今日は何時ごろに帰ってきますか?」
「そうだな…遅くとも19時には来るだろう。今日も夜勤だからな」
「わかりました、それまでに帰るようにします」
「急がなくてもいいぞ」
「はい」
蒼也さんと喋りながら、頭の中で今日の予定を組み上げていく。歌川くん達と学校近くの駅で合流、買い物して、お茶して、19時にはここに戻ってくる。そうしたら皆でご飯も食べられる。よし。
「旨かった」
「ご馳走様でした」
美味しいご飯はあっという間になくなってしまい、食後のお茶を飲んでいればすぐに蒼也さんが出かける時間になってしまった。2人で食器を片付けて、食堂を出た。
「では、俺は出かけてくる」
「はい、お気を付けて!」
私は開発室に呼ばれているので、蒼也さんとは食堂のところでお別れだ。
去っていく蒼也さんを見送って、開発室の方へと足を向けた。
蒼也さんに起こされて
一緒に朝ごはん!
(ねえ、蒼也さん来たら起こしてっていったよね?)
(すみません、よく寝ていたので)
(そんなことより、早く買い物行きましょうよ)
やっとできた風間さん編