荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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佐鳥くんと秘密の特訓
「あ、もう少し右肩を引いて。…そう、で、スコープを覗いて」
「うん」
「あんまり目を近づけると反動でぶつかるので、気をつけてください」
「うん」
「あとは、銃口が下がらない様に気を付けて、よく狙って下さい」
「…少し上狙った方がいい?」
「真ん中狙えば当たりますよー」
「ん、わかった」
スコープの先にある、バムスターを模した的の真ん中に狙いを定める。息を止めてイーグレットの引き金を絞れば、ドンッと重い音がして弾が発射された。反動で押された右肩が揺れる。
「おお、命中!さっすが蒼さん」
「すごい当たった!けど佐鳥くんの教え方が良いね。ありがとう」
「いーえ!お役にたてて光栄です!」
人の少ないスナイパー練習場の一角。
そこで私は佐鳥くんにスナイプの基礎を教わっていた。
最初は春秋さんに教えてもらおうと思ったけど新人教育中で混ざれる雰囲気ではなかったし、次に見つけた当真くんは言っちゃ悪いけど説明がその、アレすぎて全然わからなかった。あれは感覚で撃ってるタイプだ。当真くんと真逆タイプの奈良坂くんは任務でいなかったし、仕方ない一人で何とかしてみるかと練習場に来たら佐鳥くんがいたのだ。
普段のにこにこした笑顔を引っ込めて淡々と的を打ち抜いていく彼に教えを請えば、もちろんですよ!と快諾してくれた。さすが本職と言うだけあって、佐鳥くんの教え方は的確でわかりやすいし、疑問にもするする答えてくれる。
「じゃあ次、ちょっと動く的を狙ってみましょうか!」
「おっけ」
あれにしましょう、と佐鳥くんが指差したモールモッドと同じくらいの的に狙いを定める。モールモッドよりは遅いけれど縦横無尽に素早く動く的。ん?これ、行動パターンあるのかな。
(初期位置どこだろ…あ、あそこっぽい)
「これ結構複雑に見えるんですけど、見極めちゃえば蒼さんならすぐ当たると思いますよ」
(右前方に4メートルくらい前進、そこから右…左後方に後退、少し前方にジャンプして左、右…よし)
「動き回る的は、基本的にネイバーと同じように規則性がある動きをしてま」
ドンッ
「…うわ、凄い。佐鳥まだ喋ってる途中なのに当てちゃいましたね」
「ほんとに規則性あったからつい…」
的の大体の次の動作を予測して撃てば、真ん中ではないものの的に当てることは出来た。
「蒼さんパターン把握するの早すぎですよ!もういっそスナイパーやりません?いいとこいくと思いますよ」
「1回見せたらちゃんと転向出来るけど、もうちょい奥の手だね」
そう、何故いままでやったことの無いスナイパー練習をしているかと言えばまさに奥の手用なのだ。
私と模擬戦する相手が長距離スナイプが無いと油断しているところを叩くための。我ながら悪い考えだと思う。これが出来たら完全万能手になれるし。
「接近戦が得意なのが長距離スナイプしてきたら驚くでしょ?」
「デスネ。蒼さんお顔が怖いですよー」
「慣れたら手始めに荒船くんと出水くんを狩るんだー」
「佐鳥はそこでまず弟子から潰してく蒼さんのその性格が好きですよ、ほんと」
「師匠はいつまでも上にいなければいけないのさ」
ふふんと言えば佐鳥くんが笑う。
それから少しずつ撃ち込みを続け、30分ほど経った所でふうと一息吐いてスコープから目を離した。
「う、目が疲れたからちょい休憩させて…。佐鳥先生、先生のフォームとか見せて下さいよ」
「いいですよー!見ます?佐鳥のツインスナイプ!」
にこにこ笑った佐鳥くんが脇に置いてあったイーグレットを2丁担ぎ、台にイーグレットを固定してスコープを覗き込む。
「左端の的から撃ちますねー」
そう告げた佐鳥くんから笑みが消える。集中してる雰囲気が伝わってくる。
左端ねと視線を上げれば、停止している的、動いている的、現れたり消えたりを繰り返す的…と並んでいる。
「…」
「…」
ダダンッ、と真剣な顔をして2丁の引き金を引いた佐鳥くんの弾丸は、見事に的の中央を撃ち抜いた。
すぐにイーグレットの位置を微調整してその横も2発同時、そしてその横も微調整からの2発同時と立て続けに的を撃ち抜いていく。
「こんなもんですかね。どうです、蒼さん」
結果、わずか10秒とかからず佐鳥くんが撃ち出した弾丸は、一つ残らず綺麗に的の中心へと弾痕を残していた。
ドヤ顔で振り向いた佐鳥くんがふふんと得意げな顔をする。
「うわあ」
「え?」
「佐鳥くん…君、最高に格好良いわ…!」
もうそれが率直な感想だった。うん。
だって普段にこにこしてる子が、凄く真剣な顔で、撃った弾は全部当てるとか!全部中心とか!しかもツインスナイプとか!これを格好良いと言わずになんと表現しようものか!
「えっ、佐鳥格好良い?」
「うん、佐鳥くんほんと格好良い…」
「惚れました!?」
「いや尊敬した」
「あっ残念!」
そう告げれば、ずしゃあとイーグレットの横に倒れこむ佐鳥くん。
しかしこの佐鳥くんで4位という結果だったなら、上の3人は既に化け物級だなあと呟く。
「そうなんですよ!ですが佐鳥はこつこつ頑張っていつか1位になってみせます!」
「佐鳥くんなら出来ると思うよ、頑張って」
「はい!」
「私も負けてられないな…佐鳥センセ、もうちょい私のフォーム見てくれます?」
「勿論ですよ!」
がたりと位置を交換して、もう一度スコープを覗き込む。
動く的に狙いを定め、引き金を引けば真ん中より少し下へ着弾した。
「銃身ちょっと下がってましたよー」
「う、了解」
斜め後ろで静かに見守ってくれる佐鳥くんが、ちょこちょこ修正を掛けてくれるのを聞きながらスコープを覗き込み、もう一度撃ちこんだ弾丸は今度はまっすぐ的の中心を貫いた。
練習場の一角にて
佐鳥センセに基礎を教わる
(暇な時にまた見て貰ってもいい?)
(佐鳥でお役に立てるならば!)
,
「あ、もう少し右肩を引いて。…そう、で、スコープを覗いて」
「うん」
「あんまり目を近づけると反動でぶつかるので、気をつけてください」
「うん」
「あとは、銃口が下がらない様に気を付けて、よく狙って下さい」
「…少し上狙った方がいい?」
「真ん中狙えば当たりますよー」
「ん、わかった」
スコープの先にある、バムスターを模した的の真ん中に狙いを定める。息を止めてイーグレットの引き金を絞れば、ドンッと重い音がして弾が発射された。反動で押された右肩が揺れる。
「おお、命中!さっすが蒼さん」
「すごい当たった!けど佐鳥くんの教え方が良いね。ありがとう」
「いーえ!お役にたてて光栄です!」
人の少ないスナイパー練習場の一角。
そこで私は佐鳥くんにスナイプの基礎を教わっていた。
最初は春秋さんに教えてもらおうと思ったけど新人教育中で混ざれる雰囲気ではなかったし、次に見つけた当真くんは言っちゃ悪いけど説明がその、アレすぎて全然わからなかった。あれは感覚で撃ってるタイプだ。当真くんと真逆タイプの奈良坂くんは任務でいなかったし、仕方ない一人で何とかしてみるかと練習場に来たら佐鳥くんがいたのだ。
普段のにこにこした笑顔を引っ込めて淡々と的を打ち抜いていく彼に教えを請えば、もちろんですよ!と快諾してくれた。さすが本職と言うだけあって、佐鳥くんの教え方は的確でわかりやすいし、疑問にもするする答えてくれる。
「じゃあ次、ちょっと動く的を狙ってみましょうか!」
「おっけ」
あれにしましょう、と佐鳥くんが指差したモールモッドと同じくらいの的に狙いを定める。モールモッドよりは遅いけれど縦横無尽に素早く動く的。ん?これ、行動パターンあるのかな。
(初期位置どこだろ…あ、あそこっぽい)
「これ結構複雑に見えるんですけど、見極めちゃえば蒼さんならすぐ当たると思いますよ」
(右前方に4メートルくらい前進、そこから右…左後方に後退、少し前方にジャンプして左、右…よし)
「動き回る的は、基本的にネイバーと同じように規則性がある動きをしてま」
ドンッ
「…うわ、凄い。佐鳥まだ喋ってる途中なのに当てちゃいましたね」
「ほんとに規則性あったからつい…」
的の大体の次の動作を予測して撃てば、真ん中ではないものの的に当てることは出来た。
「蒼さんパターン把握するの早すぎですよ!もういっそスナイパーやりません?いいとこいくと思いますよ」
「1回見せたらちゃんと転向出来るけど、もうちょい奥の手だね」
そう、何故いままでやったことの無いスナイパー練習をしているかと言えばまさに奥の手用なのだ。
私と模擬戦する相手が長距離スナイプが無いと油断しているところを叩くための。我ながら悪い考えだと思う。これが出来たら完全万能手になれるし。
「接近戦が得意なのが長距離スナイプしてきたら驚くでしょ?」
「デスネ。蒼さんお顔が怖いですよー」
「慣れたら手始めに荒船くんと出水くんを狩るんだー」
「佐鳥はそこでまず弟子から潰してく蒼さんのその性格が好きですよ、ほんと」
「師匠はいつまでも上にいなければいけないのさ」
ふふんと言えば佐鳥くんが笑う。
それから少しずつ撃ち込みを続け、30分ほど経った所でふうと一息吐いてスコープから目を離した。
「う、目が疲れたからちょい休憩させて…。佐鳥先生、先生のフォームとか見せて下さいよ」
「いいですよー!見ます?佐鳥のツインスナイプ!」
にこにこ笑った佐鳥くんが脇に置いてあったイーグレットを2丁担ぎ、台にイーグレットを固定してスコープを覗き込む。
「左端の的から撃ちますねー」
そう告げた佐鳥くんから笑みが消える。集中してる雰囲気が伝わってくる。
左端ねと視線を上げれば、停止している的、動いている的、現れたり消えたりを繰り返す的…と並んでいる。
「…」
「…」
ダダンッ、と真剣な顔をして2丁の引き金を引いた佐鳥くんの弾丸は、見事に的の中央を撃ち抜いた。
すぐにイーグレットの位置を微調整してその横も2発同時、そしてその横も微調整からの2発同時と立て続けに的を撃ち抜いていく。
「こんなもんですかね。どうです、蒼さん」
結果、わずか10秒とかからず佐鳥くんが撃ち出した弾丸は、一つ残らず綺麗に的の中心へと弾痕を残していた。
ドヤ顔で振り向いた佐鳥くんがふふんと得意げな顔をする。
「うわあ」
「え?」
「佐鳥くん…君、最高に格好良いわ…!」
もうそれが率直な感想だった。うん。
だって普段にこにこしてる子が、凄く真剣な顔で、撃った弾は全部当てるとか!全部中心とか!しかもツインスナイプとか!これを格好良いと言わずになんと表現しようものか!
「えっ、佐鳥格好良い?」
「うん、佐鳥くんほんと格好良い…」
「惚れました!?」
「いや尊敬した」
「あっ残念!」
そう告げれば、ずしゃあとイーグレットの横に倒れこむ佐鳥くん。
しかしこの佐鳥くんで4位という結果だったなら、上の3人は既に化け物級だなあと呟く。
「そうなんですよ!ですが佐鳥はこつこつ頑張っていつか1位になってみせます!」
「佐鳥くんなら出来ると思うよ、頑張って」
「はい!」
「私も負けてられないな…佐鳥センセ、もうちょい私のフォーム見てくれます?」
「勿論ですよ!」
がたりと位置を交換して、もう一度スコープを覗き込む。
動く的に狙いを定め、引き金を引けば真ん中より少し下へ着弾した。
「銃身ちょっと下がってましたよー」
「う、了解」
斜め後ろで静かに見守ってくれる佐鳥くんが、ちょこちょこ修正を掛けてくれるのを聞きながらスコープを覗き込み、もう一度撃ちこんだ弾丸は今度はまっすぐ的の中心を貫いた。
練習場の一角にて
佐鳥センセに基礎を教わる
(暇な時にまた見て貰ってもいい?)
(佐鳥でお役に立てるならば!)
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