荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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当真くんの膝枕
「…ん、む?」
首の痛さに目を開けた。
「…あ?」
目を開けた先にリーゼント…?あ、当真くんに膝枕されてるのかな?いやいやそんな訳ない、なんだまだ寝ぼけてるな。というわけだ、二度寝しようオヤスミ。
「ちょっと、蒼さん今起きたでしょ」
「夢じゃないかと思って…」
上から不満そうな声が聞こえるけど、私の最後の記憶では1人だったはずだ。それなのに夢じゃないならなんで当真くんに膝枕されて寝ているんだ。
「夢じゃないっすよ」
「えー?この状況が大変に理解不能なんだけどな…」
目を閉じたまま言えば、当真くんが私のほっぺを突っつきながら言う。つんつんされてるけど、今は睡魔の方が強いから放っておく。眠い。
「蒼さんがやったんですよ」
「嘘つくなよー」
「嘘じゃないっすよ」
「えー」
おかしいな。今日の行動を1回振り返ってみよう、うん。
今日は朝から大学行って、2時くらいから防衛任務があって、本部に帰ってきてラウンジの定位置でノート纏めてた。あとで誰かと模擬戦しようと思ってたけど、眠くなって机に突っ伏したのは覚えてる。
それがどう転んで当真くんに膝枕されてる状況になったのか。
「うーん?」
「覚えてないんスか」
「まったく…。う、首痛い」
全く記憶にないわと目を開けて、ぐっと起き上がって痛みを伝えてくる首をぐるぐる回す私の横で、当真くんは足が痺れたと足をさすっている。
「冬島さんからの書類を持って来たんスけど、ちょっと座れって言われて座ったら一瞬で枕にされたんスよ?それから20分ほどずっと声かけても起きないんで参りました」
「記憶にない…、ってごめん、書類急ぎだった?どれ?」
「これっす」
当真くんに聞けば透明なクリアファイルに纏められた数枚の書類を渡される。
蒼さんの寝顔見れたし別にいいっすけど、という当真くんの声を聞きながら書類をめくる。目を通せば、どうやらこの前こんなトラップどうよと意見したやつのサンプルが出来たから相手しろとの事。
「時間指定ついてる…え、いま何時だ」
「5時っすね」
「まじかあと30分だ」
それならそろそろ起きて行かなければ…とぐっと伸びをする。
うーと唸りながら上体を伸ばしていれば、当真くんが首を傾げて聞いてきた。
「お疲れなんスか」
「んん、いや、そんなには」
「この前、荒船が蒼さんが飯食ってねえっつってイライラしながら買い物してるとこに会いましたけど」
「あー。あの時は課題とか切羽詰まってたからねえ」
荒船くんに酷く怒られた記憶が蘇り、苦い顔をしながらも今はそんなに忙しくないよ、と告げれば当真くんはポケットから何かを取り出して私に差し出した。
「どーぞ」
「ん?チョコ?」
「疲れた時には甘いモンでしょ?あげますよ」
「おー、当真くん優しいね。ありがとう」
差し出された1口チョコをありがたくチョコを受け取って、フィルムを剥いで口の中に放り込む。
そんな私を見て、当真くんが遠い目で呟いた。
「うちの隊長も飯食わない時があるんで、似たようなもんスよねえ」
「う…。ご迷惑お掛けします…」
「いーえ」
むさいオッサンはともかく、蒼さんなら大歓迎っスから、なんてにかっと笑う当真くんに癒される。当真くんは悪そうな格好と言動をしているけれど、根は優しい良い子なんだ。
「よし、じゃあ行くかな」
チョコの味がする唇をぺろりと舐めて、よいせと立ち上がると当真くんもすっと立ち上がった。
「あれ、当真くんも行く?」
「7時から任務あるんスよね」
だから一緒に冬島隊の隊室まで戻りますよ、と言う当真くんに促されて書類の入ったファイルを持って歩き出す。
普段はこの子の隣を歩く機会はないから余計に思うのかもしれないけど、当真くんて背が高いよなあ。見下ろした彼自慢の長い足は、私の歩く速さに歩幅を合わせてくれている。やっぱり優しい。
「ふふ、ありがと」
「いーえ」
「当真くん、膝枕してくれたお礼にそこの自販機で飲み物奢るよ。好きなの選んで」
「まじっすか」
やった、なんて呟いて上機嫌で早足に自販機へ向かう当真くん。
その後ろを追いかけて、追いついた頃には当真くんがひとつの飲み物を指差した。
「蒼さん、これがいいっす」
「バナナオレね」
自販機のボタンを押し、落下してきたバナナオレを当真くんに手渡す。
ついでに自分のカフェオレも買って、2人並んで歩き出した。
「ゴチになります」
「はいどうぞ」
当真くんが律儀にいただきます、と呟いて付属の細いストローを紙パックにさした。私も自分のカフェオレにストローをさして、二人でちょいちょい飲みながら歩く。
「トラップって、どんなの提案したんです?」
「んー?一定以上のトリオン量が掛かると乗った相手を上空に跳ね飛ばす地雷式のやつ」
「あー、それいいっすね」
戦いやすそうだと当真くんが頷く通り、跳ね飛ばせば相手の動きも制限できるし、スナイパーの援護も通りやすいだろうと思っての提案だ。跳ね上げるのに必要なトリオンはトラップを踏んだ敵から吸い上げるようしたらどうかと提案してある。
「さてさてついたね」
「着きましたね。開けるんでちょい待って下さい」
そんなこんなで冬島隊の隊室の前にたどり着き、当真くんがパスコードを入力するのを後ろで待つ。
ぴぴぴっと電子音がして、静かに隊室の扉が開いた。
「さ、どーぞ蒼さん」
「ありがとー。お邪魔します」
当真くんにエスコートされ、冬島隊の隊室へ足を踏み入れる。冬島さんとの約束10分前だ。
「隊長、蒼さん来ましたよー」
「来ましたよー」
冬島さんは、いつも当真くんがお昼寝に使うというソファの上で仰向けになっていた。その目には当真くん愛用のアイマスクまで装着していて微動だにしない。完全にお休み体勢だ。
「あら寝てる」
「俺のアイマスク使ってやがる…」
ぐっすりと眠る冬島さんの前のテーブルには、新作トラップらしきルンバみたいな円盤状の物が置かれている。
あーどうすっかな、と頭をかいた当真くんにとりあえずそこ座ってくださいと勧められて冬島さんと反対側のソファに座った。
「隊長、ここんとこ研究室に篭ってたんスよねー」
「じゃあちょっと寝かせてあげようか」
「え、いいんすか」
「その間に当真くんが話し相手になってくれれば」
「あ、それならお安い御用っすね」
蒼さん優しいっすねーなんて笑った当真くんが私と冬島さんの中間、1人掛けのソファに座り込む。
お疲れならば仕方ない。冬島さんのことだ、ちゃんと指定の5時には起きるのだろうからそれまでは寝かせておこうと当真くんと静かに話し始めた。
午後4時半、ラウンジにて
当真くんの膝枕
(んー…)
(お、隊長起きた)
(冬島さーん時間ですよー)
「…ん、む?」
首の痛さに目を開けた。
「…あ?」
目を開けた先にリーゼント…?あ、当真くんに膝枕されてるのかな?いやいやそんな訳ない、なんだまだ寝ぼけてるな。というわけだ、二度寝しようオヤスミ。
「ちょっと、蒼さん今起きたでしょ」
「夢じゃないかと思って…」
上から不満そうな声が聞こえるけど、私の最後の記憶では1人だったはずだ。それなのに夢じゃないならなんで当真くんに膝枕されて寝ているんだ。
「夢じゃないっすよ」
「えー?この状況が大変に理解不能なんだけどな…」
目を閉じたまま言えば、当真くんが私のほっぺを突っつきながら言う。つんつんされてるけど、今は睡魔の方が強いから放っておく。眠い。
「蒼さんがやったんですよ」
「嘘つくなよー」
「嘘じゃないっすよ」
「えー」
おかしいな。今日の行動を1回振り返ってみよう、うん。
今日は朝から大学行って、2時くらいから防衛任務があって、本部に帰ってきてラウンジの定位置でノート纏めてた。あとで誰かと模擬戦しようと思ってたけど、眠くなって机に突っ伏したのは覚えてる。
それがどう転んで当真くんに膝枕されてる状況になったのか。
「うーん?」
「覚えてないんスか」
「まったく…。う、首痛い」
全く記憶にないわと目を開けて、ぐっと起き上がって痛みを伝えてくる首をぐるぐる回す私の横で、当真くんは足が痺れたと足をさすっている。
「冬島さんからの書類を持って来たんスけど、ちょっと座れって言われて座ったら一瞬で枕にされたんスよ?それから20分ほどずっと声かけても起きないんで参りました」
「記憶にない…、ってごめん、書類急ぎだった?どれ?」
「これっす」
当真くんに聞けば透明なクリアファイルに纏められた数枚の書類を渡される。
蒼さんの寝顔見れたし別にいいっすけど、という当真くんの声を聞きながら書類をめくる。目を通せば、どうやらこの前こんなトラップどうよと意見したやつのサンプルが出来たから相手しろとの事。
「時間指定ついてる…え、いま何時だ」
「5時っすね」
「まじかあと30分だ」
それならそろそろ起きて行かなければ…とぐっと伸びをする。
うーと唸りながら上体を伸ばしていれば、当真くんが首を傾げて聞いてきた。
「お疲れなんスか」
「んん、いや、そんなには」
「この前、荒船が蒼さんが飯食ってねえっつってイライラしながら買い物してるとこに会いましたけど」
「あー。あの時は課題とか切羽詰まってたからねえ」
荒船くんに酷く怒られた記憶が蘇り、苦い顔をしながらも今はそんなに忙しくないよ、と告げれば当真くんはポケットから何かを取り出して私に差し出した。
「どーぞ」
「ん?チョコ?」
「疲れた時には甘いモンでしょ?あげますよ」
「おー、当真くん優しいね。ありがとう」
差し出された1口チョコをありがたくチョコを受け取って、フィルムを剥いで口の中に放り込む。
そんな私を見て、当真くんが遠い目で呟いた。
「うちの隊長も飯食わない時があるんで、似たようなもんスよねえ」
「う…。ご迷惑お掛けします…」
「いーえ」
むさいオッサンはともかく、蒼さんなら大歓迎っスから、なんてにかっと笑う当真くんに癒される。当真くんは悪そうな格好と言動をしているけれど、根は優しい良い子なんだ。
「よし、じゃあ行くかな」
チョコの味がする唇をぺろりと舐めて、よいせと立ち上がると当真くんもすっと立ち上がった。
「あれ、当真くんも行く?」
「7時から任務あるんスよね」
だから一緒に冬島隊の隊室まで戻りますよ、と言う当真くんに促されて書類の入ったファイルを持って歩き出す。
普段はこの子の隣を歩く機会はないから余計に思うのかもしれないけど、当真くんて背が高いよなあ。見下ろした彼自慢の長い足は、私の歩く速さに歩幅を合わせてくれている。やっぱり優しい。
「ふふ、ありがと」
「いーえ」
「当真くん、膝枕してくれたお礼にそこの自販機で飲み物奢るよ。好きなの選んで」
「まじっすか」
やった、なんて呟いて上機嫌で早足に自販機へ向かう当真くん。
その後ろを追いかけて、追いついた頃には当真くんがひとつの飲み物を指差した。
「蒼さん、これがいいっす」
「バナナオレね」
自販機のボタンを押し、落下してきたバナナオレを当真くんに手渡す。
ついでに自分のカフェオレも買って、2人並んで歩き出した。
「ゴチになります」
「はいどうぞ」
当真くんが律儀にいただきます、と呟いて付属の細いストローを紙パックにさした。私も自分のカフェオレにストローをさして、二人でちょいちょい飲みながら歩く。
「トラップって、どんなの提案したんです?」
「んー?一定以上のトリオン量が掛かると乗った相手を上空に跳ね飛ばす地雷式のやつ」
「あー、それいいっすね」
戦いやすそうだと当真くんが頷く通り、跳ね飛ばせば相手の動きも制限できるし、スナイパーの援護も通りやすいだろうと思っての提案だ。跳ね上げるのに必要なトリオンはトラップを踏んだ敵から吸い上げるようしたらどうかと提案してある。
「さてさてついたね」
「着きましたね。開けるんでちょい待って下さい」
そんなこんなで冬島隊の隊室の前にたどり着き、当真くんがパスコードを入力するのを後ろで待つ。
ぴぴぴっと電子音がして、静かに隊室の扉が開いた。
「さ、どーぞ蒼さん」
「ありがとー。お邪魔します」
当真くんにエスコートされ、冬島隊の隊室へ足を踏み入れる。冬島さんとの約束10分前だ。
「隊長、蒼さん来ましたよー」
「来ましたよー」
冬島さんは、いつも当真くんがお昼寝に使うというソファの上で仰向けになっていた。その目には当真くん愛用のアイマスクまで装着していて微動だにしない。完全にお休み体勢だ。
「あら寝てる」
「俺のアイマスク使ってやがる…」
ぐっすりと眠る冬島さんの前のテーブルには、新作トラップらしきルンバみたいな円盤状の物が置かれている。
あーどうすっかな、と頭をかいた当真くんにとりあえずそこ座ってくださいと勧められて冬島さんと反対側のソファに座った。
「隊長、ここんとこ研究室に篭ってたんスよねー」
「じゃあちょっと寝かせてあげようか」
「え、いいんすか」
「その間に当真くんが話し相手になってくれれば」
「あ、それならお安い御用っすね」
蒼さん優しいっすねーなんて笑った当真くんが私と冬島さんの中間、1人掛けのソファに座り込む。
お疲れならば仕方ない。冬島さんのことだ、ちゃんと指定の5時には起きるのだろうからそれまでは寝かせておこうと当真くんと静かに話し始めた。
午後4時半、ラウンジにて
当真くんの膝枕
(んー…)
(お、隊長起きた)
(冬島さーん時間ですよー)