荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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風間さんの目の話
じい、と目の前に座る人物の目を覗き込む。
見られている本人は特に気に留めていない様で、かりかりとノートにペンを走らせている。
蒼也さんと私しかいない風間隊の作戦室は、とても静かだ。
「蒼也さん」
「なんだ」
「蒼也さんの目、綺麗ですよね」
「そう思うか」
かたりとペンを置いた蒼也さんが、私と目を合わせる。
感情を見せない赤の瞳に私が映り込む。
「私は綺麗だと思いますけど?」
「そう言うのは少数だな、不気味だ、気持ち悪いと言われる方が多い」
「え、なにそれ言った人誰ですか」
とりあえず片っ端から名前もしくは特徴を教えて下さいメモ取ります、とペンを取り出しながら言えば蒼也さんは小さく「いい」と首を振った。
なんでだ。蒼也さんへ疑問を飛ばす。
「何でですか」
「前に一度零した時に、歌川と菊地原が粗方潰したらしい。悪い事をした」
「あ、なんだそうなんですか」
二人が先に手回ししたなら良いか、とペンを仕舞う。
でも粗方ってことはまだ残ってるんだろうな、後で二人に聞きに行くかと思案していると、考えを読んだであろう蒼也さんが牽制するように言う。
「言わせたい奴には言わせておけ、何か言われた所で俺の目がどうこうなる訳じゃない」
「うーん…蒼也さんが良くても、普通好きな人が悪口言われてたら嫌ですよ」
「それはそうだが、一々気にしていたらきりがないし時間の無駄だ」
テーブルの上に肘をつき、飲みかけのカフェオレを一口飲み込む。
私と会話しつつ参考書を捲る蒼也さんに、じゃあ、と切り出す。
「蒼也さんが歌川くん達の悪口聞いたらどうします?」
「潰す」
即答。紙面に向かう綺麗な赤い目に鋭さが宿る。
「本人達が気にしてない、そんな事しなくていいって言ったら?」
「あいつらの目に入らない様に潰す」
「でしょう。それと同じですよ」
参考書を見ながら物騒な事を言う蒼也さんに言えば、そうか、と小さく納得したようだった。
「私も歌川くん達も、外見も性格も、赤い目も全部含めて蒼也さんが好きなんですよ」
「、ありがとう」
頷きつつ小さく言う蒼也さん。よし、これで蒼也さんの許可を得たも同然。とりあえず、菊地原くん達はまだ学校だろうし後で連絡取ってみようと今後の計画を練っていると、蒼也さんが呟く。
「俺も、」
「はい」
「蒼の瞳は、綺麗だと思う」
「、ありがとうございます」
そう言って再びまっすぐこちらを見つめる赤い瞳に射抜かれる。
蒼也さんの赤い瞳に対して、私の瞳は深い蒼だ。
赤よりは青の方がやはり馴染みがあるからだろうか、私は不気味と言われることは殆ど無い。逆に海のようで、空のようで綺麗だと言われることが多い程だ。
「宝石の、サファイアの様だと思う」
「私も蒼也さんの目、ルビーみたいだと思ってますよ」
他人がとやかく言っても、同じ宝石みたいに綺麗です、と言えば蒼也さんの視線が柔らかくなる。
「…、そろそろだな」
「ん?」
「俺は城戸指令の所へ顔を出してくる」
「あ、本当ですか」
ちらりと時計を確認した蒼也さんが、広げていた参考書たちをテーブルの隅に纏めて立ち上がる。
蒼也さんが居なくなるならラウンジにでも行くかな、と思いながらカフェオレを飲めば、蒼也さんがふいにこちらを見て言う。
「すぐに菊地原達が来るだろうから、待っているように伝えてくれ」
「了解です」
と言う事は、このまま風間隊の作戦室にいて良いという事だ。
気を遣わせてしまったかな。
「行ってくる」
「はい」
そうして蒼也さんを送り出してから、5分も経たずに歌川くんと菊地原くんがやってきた。
隊を離れてもここには良く顔を出すからか、私が居ても二人は驚く事もない。
「あれ、蒼さんだ」
「いらしてたんですね、こんにちは」
「こんにちは、お邪魔してるよ」
学生服姿の彼らは、各々の定位置に荷物を置いてソファへ座り込んだ。
きょろりと蒼也さんを探す素振りをする彼らに告げる。
「蒼也さん、城戸指令の所に行ってるから少し待ってて欲しいって」
「ああ、そうなんですね。わかりました」
「それでその間に二人に聞きたいことがあるんだけど」
「えー、なんです?」
「蒼也さんの目を不気味だって言う人がいるんだって?」
蒼也さんと勉強しようと持ってきていたルーズリーフとペンを取り出し、テーブルに広げて言えば、テーブルを囲む二人の視線が鋭くなった。
「いますね、ほとんどは黙らせましたが」
「ムカつくんですよ、風間さんの事をごちゃごちゃ言うの」
「潰すの手伝うよ、だから残ってる人達の情報教えて?」
そう伝えれば二人は目を合わせてがたがたと席を立ち、数分後にはデータの山がテーブルに積まれた。
ああ、さすが、この子達は本当に良い仕事をする。
リストを広げ始める悪い顔をしている二人を見る私も、負けないくらい悪い顔をしているのだろうと何処か他人事のように思った。
赤と蒼の瞳
どちらも煌めく宝石の色
(とりあえずこの子から行こうか)
((了解))
(ああ、程々にする様に言っておかなければな)
書いてるうちに脱線したと言い張る
じい、と目の前に座る人物の目を覗き込む。
見られている本人は特に気に留めていない様で、かりかりとノートにペンを走らせている。
蒼也さんと私しかいない風間隊の作戦室は、とても静かだ。
「蒼也さん」
「なんだ」
「蒼也さんの目、綺麗ですよね」
「そう思うか」
かたりとペンを置いた蒼也さんが、私と目を合わせる。
感情を見せない赤の瞳に私が映り込む。
「私は綺麗だと思いますけど?」
「そう言うのは少数だな、不気味だ、気持ち悪いと言われる方が多い」
「え、なにそれ言った人誰ですか」
とりあえず片っ端から名前もしくは特徴を教えて下さいメモ取ります、とペンを取り出しながら言えば蒼也さんは小さく「いい」と首を振った。
なんでだ。蒼也さんへ疑問を飛ばす。
「何でですか」
「前に一度零した時に、歌川と菊地原が粗方潰したらしい。悪い事をした」
「あ、なんだそうなんですか」
二人が先に手回ししたなら良いか、とペンを仕舞う。
でも粗方ってことはまだ残ってるんだろうな、後で二人に聞きに行くかと思案していると、考えを読んだであろう蒼也さんが牽制するように言う。
「言わせたい奴には言わせておけ、何か言われた所で俺の目がどうこうなる訳じゃない」
「うーん…蒼也さんが良くても、普通好きな人が悪口言われてたら嫌ですよ」
「それはそうだが、一々気にしていたらきりがないし時間の無駄だ」
テーブルの上に肘をつき、飲みかけのカフェオレを一口飲み込む。
私と会話しつつ参考書を捲る蒼也さんに、じゃあ、と切り出す。
「蒼也さんが歌川くん達の悪口聞いたらどうします?」
「潰す」
即答。紙面に向かう綺麗な赤い目に鋭さが宿る。
「本人達が気にしてない、そんな事しなくていいって言ったら?」
「あいつらの目に入らない様に潰す」
「でしょう。それと同じですよ」
参考書を見ながら物騒な事を言う蒼也さんに言えば、そうか、と小さく納得したようだった。
「私も歌川くん達も、外見も性格も、赤い目も全部含めて蒼也さんが好きなんですよ」
「、ありがとう」
頷きつつ小さく言う蒼也さん。よし、これで蒼也さんの許可を得たも同然。とりあえず、菊地原くん達はまだ学校だろうし後で連絡取ってみようと今後の計画を練っていると、蒼也さんが呟く。
「俺も、」
「はい」
「蒼の瞳は、綺麗だと思う」
「、ありがとうございます」
そう言って再びまっすぐこちらを見つめる赤い瞳に射抜かれる。
蒼也さんの赤い瞳に対して、私の瞳は深い蒼だ。
赤よりは青の方がやはり馴染みがあるからだろうか、私は不気味と言われることは殆ど無い。逆に海のようで、空のようで綺麗だと言われることが多い程だ。
「宝石の、サファイアの様だと思う」
「私も蒼也さんの目、ルビーみたいだと思ってますよ」
他人がとやかく言っても、同じ宝石みたいに綺麗です、と言えば蒼也さんの視線が柔らかくなる。
「…、そろそろだな」
「ん?」
「俺は城戸指令の所へ顔を出してくる」
「あ、本当ですか」
ちらりと時計を確認した蒼也さんが、広げていた参考書たちをテーブルの隅に纏めて立ち上がる。
蒼也さんが居なくなるならラウンジにでも行くかな、と思いながらカフェオレを飲めば、蒼也さんがふいにこちらを見て言う。
「すぐに菊地原達が来るだろうから、待っているように伝えてくれ」
「了解です」
と言う事は、このまま風間隊の作戦室にいて良いという事だ。
気を遣わせてしまったかな。
「行ってくる」
「はい」
そうして蒼也さんを送り出してから、5分も経たずに歌川くんと菊地原くんがやってきた。
隊を離れてもここには良く顔を出すからか、私が居ても二人は驚く事もない。
「あれ、蒼さんだ」
「いらしてたんですね、こんにちは」
「こんにちは、お邪魔してるよ」
学生服姿の彼らは、各々の定位置に荷物を置いてソファへ座り込んだ。
きょろりと蒼也さんを探す素振りをする彼らに告げる。
「蒼也さん、城戸指令の所に行ってるから少し待ってて欲しいって」
「ああ、そうなんですね。わかりました」
「それでその間に二人に聞きたいことがあるんだけど」
「えー、なんです?」
「蒼也さんの目を不気味だって言う人がいるんだって?」
蒼也さんと勉強しようと持ってきていたルーズリーフとペンを取り出し、テーブルに広げて言えば、テーブルを囲む二人の視線が鋭くなった。
「いますね、ほとんどは黙らせましたが」
「ムカつくんですよ、風間さんの事をごちゃごちゃ言うの」
「潰すの手伝うよ、だから残ってる人達の情報教えて?」
そう伝えれば二人は目を合わせてがたがたと席を立ち、数分後にはデータの山がテーブルに積まれた。
ああ、さすが、この子達は本当に良い仕事をする。
リストを広げ始める悪い顔をしている二人を見る私も、負けないくらい悪い顔をしているのだろうと何処か他人事のように思った。
赤と蒼の瞳
どちらも煌めく宝石の色
(とりあえずこの子から行こうか)
((了解))
(ああ、程々にする様に言っておかなければな)
書いてるうちに脱線したと言い張る