荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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米屋くんとストレス発散
狭くて暗い密室。
冷たい壁に背を預けて何をするでもなく目を閉じていると、すぐ近くで足音が聞こえた。
「…」
目を開く。横に細く、3本だけ鮮明に切りとられた視界に見慣れた横顔が見えた。どうやらすぐ近くの自販機に飲み物を買いに来た様子だ。
「米屋くんじゃないか」
「うおびっくりした!え、は?蒼さんスよね?どこっスか?」
びっくりした、という言葉通りに大きく肩を弾ませて驚いた米屋くんは、声で私だと判断したけど見当たらない様できょろきょろ辺りを見回しながら居場所を聞いてきた。
「横のロッカー」
「なんでそんなトコに…」
がちゃ、と扉を開けて顔を出せば、米屋くんは呆れた顔をしていた。
それはそうだろう、大の大人がロッカーに詰まっているとは思いもしないはずだ。
「ちょっと落ち込んでるのさ」
「初めて見たんスけどその落ち込み方」
「大丈夫、私も知らない」
がちゃり、と扉を閉めて再び暗闇の中に身を置けば、ロッカーの前に米屋くんがしゃがみ込んだ。
外光を取り入れる枠が隠れて真っ暗になって、狭いロッカーに米屋くんの声が響いた。
「蒼さんが落ち込んでるなんて珍しいッスね?」
「だろう、レアだぞ。慰めてくれてもいい」
「上から目線だなオイ。というか、何があったんすか」
「それ聞いちゃう?」
「それ聞かないと慰めようにも慰め方がわかんないんすケド」
たしかにそうだ。
と言う事で私が落ち込んでいる原因を呟く。
「要は私に対する羨望からの燃え上がる嫉妬的な」
「ああ、想像つきました」
米屋くんが頷く。
優れたトリオン能力に、絶対記憶、サイドエフェクト、おまけに黒トリガー。
これだけ揃えば、嫌と言うほど周りからの羨望や恨みが飛んでくる。
それだけあればさぞ鼻が高いだろう、チート野郎、楽して強くなりやがって。などなど。
普段は笑って流すけれど、私だって人間だ。積もり積もったストレスが爆発する事もあるんだ。
「愚痴になるけど聞いてくれるかい」
「どーぞ」
「とりあえず常々思ってるのは、人がどれだけ努力してるかも知らずに愚痴愚痴言う奴は同じくらい努力してほしいわ。強い人たちはそんな事一切言わないで努力してるっていうのに」
「ああ、弱い奴の妬み僻みってあるっスよね」
「絶対記憶だって記憶だけで村上くんみたいに自己鍛錬しなきゃわかってても生かせないしサイドエフェクトだって使いこなせなきゃ意味がない」
「サイドエフェクトって持ってる人の精神的負担もヤバいですしね」
「みんな、本心が視えたり、悪口まで聞こえるとか、親しい人が死ぬ未来が視えたりするんだ。便利なだけじゃない、嫌な所もあるんだよ」
「はい」
「黒トリガーだって使いこなして、普通のトリガーでも戦わなきゃいけないのに楽してって何なんだ」
「蒼さんが努力してるの、上の人はみんな知ってますよ」
「ありがと。でも、溜まりに溜まったストレスが爆散して変にテンション下がって人の目が届かない所で凹んでる所存」
膝に顔を埋めて呪詛の様にぶつぶつと言えば、外で米屋くんが静かに言う。
「…重症っスね」
「わかってる」
あああストレス発散したい…と呟けば、米屋くんが言う。
「蒼さん」
「なんだい」
「模擬戦やりましょ!」
慰めるのとか得意じゃないっすけど、ストレス発散ならオレが相手しますよ!今日非番で、元々模擬戦しに来たんスよオレ!とテンション上がった米屋くん。ああ、この子も戦闘狂だったなあ。
「今の私は荒れてるぞ」
「いいっすよ、本気の蒼さんと戦れるなんてレアっすもん」
「あーいい度胸だ…よし、やろっか」
そう言えば、がちゃりとロッカーの扉が開く。
はい、と差し出された手を握り、ロッカーから抜け出した。
戦闘好きな人だと、勝っても負けても僻みなんて無いのが良い。
僻むより先に、次はこうしてやろう、ああすれば裏を掻けるんじゃないかなんて対策に燃え上がるのだ。
「とりあえず何戦します?」
「20戦しよう」
「りょーかい」
「エリアはどーします?」
「米屋くんの好きな所で良いよ」
「じゃあランダムで」
てきぱきと対戦内容を打ち合わせながら対戦ブースへ向かう。
早足にブース内に入り、米屋くんの居る部屋を選択、対戦を申し込めばすぐにOKの返事。
カウントダウンが始まる中で、静かに息を吐いた。
米屋くんありがとう、ちょっとストレス発散させてもらうね。
ストレス発散
米屋くんと模擬戦の嵐
(楽しかったー!ありがとう!)
(オレ、ノって来たんであと10戦やりましょ!)
(いいよやろやろ!)
狭くて暗い密室。
冷たい壁に背を預けて何をするでもなく目を閉じていると、すぐ近くで足音が聞こえた。
「…」
目を開く。横に細く、3本だけ鮮明に切りとられた視界に見慣れた横顔が見えた。どうやらすぐ近くの自販機に飲み物を買いに来た様子だ。
「米屋くんじゃないか」
「うおびっくりした!え、は?蒼さんスよね?どこっスか?」
びっくりした、という言葉通りに大きく肩を弾ませて驚いた米屋くんは、声で私だと判断したけど見当たらない様できょろきょろ辺りを見回しながら居場所を聞いてきた。
「横のロッカー」
「なんでそんなトコに…」
がちゃ、と扉を開けて顔を出せば、米屋くんは呆れた顔をしていた。
それはそうだろう、大の大人がロッカーに詰まっているとは思いもしないはずだ。
「ちょっと落ち込んでるのさ」
「初めて見たんスけどその落ち込み方」
「大丈夫、私も知らない」
がちゃり、と扉を閉めて再び暗闇の中に身を置けば、ロッカーの前に米屋くんがしゃがみ込んだ。
外光を取り入れる枠が隠れて真っ暗になって、狭いロッカーに米屋くんの声が響いた。
「蒼さんが落ち込んでるなんて珍しいッスね?」
「だろう、レアだぞ。慰めてくれてもいい」
「上から目線だなオイ。というか、何があったんすか」
「それ聞いちゃう?」
「それ聞かないと慰めようにも慰め方がわかんないんすケド」
たしかにそうだ。
と言う事で私が落ち込んでいる原因を呟く。
「要は私に対する羨望からの燃え上がる嫉妬的な」
「ああ、想像つきました」
米屋くんが頷く。
優れたトリオン能力に、絶対記憶、サイドエフェクト、おまけに黒トリガー。
これだけ揃えば、嫌と言うほど周りからの羨望や恨みが飛んでくる。
それだけあればさぞ鼻が高いだろう、チート野郎、楽して強くなりやがって。などなど。
普段は笑って流すけれど、私だって人間だ。積もり積もったストレスが爆発する事もあるんだ。
「愚痴になるけど聞いてくれるかい」
「どーぞ」
「とりあえず常々思ってるのは、人がどれだけ努力してるかも知らずに愚痴愚痴言う奴は同じくらい努力してほしいわ。強い人たちはそんな事一切言わないで努力してるっていうのに」
「ああ、弱い奴の妬み僻みってあるっスよね」
「絶対記憶だって記憶だけで村上くんみたいに自己鍛錬しなきゃわかってても生かせないしサイドエフェクトだって使いこなせなきゃ意味がない」
「サイドエフェクトって持ってる人の精神的負担もヤバいですしね」
「みんな、本心が視えたり、悪口まで聞こえるとか、親しい人が死ぬ未来が視えたりするんだ。便利なだけじゃない、嫌な所もあるんだよ」
「はい」
「黒トリガーだって使いこなして、普通のトリガーでも戦わなきゃいけないのに楽してって何なんだ」
「蒼さんが努力してるの、上の人はみんな知ってますよ」
「ありがと。でも、溜まりに溜まったストレスが爆散して変にテンション下がって人の目が届かない所で凹んでる所存」
膝に顔を埋めて呪詛の様にぶつぶつと言えば、外で米屋くんが静かに言う。
「…重症っスね」
「わかってる」
あああストレス発散したい…と呟けば、米屋くんが言う。
「蒼さん」
「なんだい」
「模擬戦やりましょ!」
慰めるのとか得意じゃないっすけど、ストレス発散ならオレが相手しますよ!今日非番で、元々模擬戦しに来たんスよオレ!とテンション上がった米屋くん。ああ、この子も戦闘狂だったなあ。
「今の私は荒れてるぞ」
「いいっすよ、本気の蒼さんと戦れるなんてレアっすもん」
「あーいい度胸だ…よし、やろっか」
そう言えば、がちゃりとロッカーの扉が開く。
はい、と差し出された手を握り、ロッカーから抜け出した。
戦闘好きな人だと、勝っても負けても僻みなんて無いのが良い。
僻むより先に、次はこうしてやろう、ああすれば裏を掻けるんじゃないかなんて対策に燃え上がるのだ。
「とりあえず何戦します?」
「20戦しよう」
「りょーかい」
「エリアはどーします?」
「米屋くんの好きな所で良いよ」
「じゃあランダムで」
てきぱきと対戦内容を打ち合わせながら対戦ブースへ向かう。
早足にブース内に入り、米屋くんの居る部屋を選択、対戦を申し込めばすぐにOKの返事。
カウントダウンが始まる中で、静かに息を吐いた。
米屋くんありがとう、ちょっとストレス発散させてもらうね。
ストレス発散
米屋くんと模擬戦の嵐
(楽しかったー!ありがとう!)
(オレ、ノって来たんであと10戦やりましょ!)
(いいよやろやろ!)