荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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奈良坂くんとお菓子から始まる交流
「蒼さんおはようございます」
「おはよう、任務頑張ってねー」
「はい」
「あ、蒼さーん!後で模擬戦やりましょうよ!」
「午後でもいいー?」
「もちろん!約束ですよー!」
本部の廊下を歩いていれば朝の任務に向かう隊員達から挨拶の声が飛んでくる。
それに応えながら、目当てであるラウンジへと足を進める。
「今日も今日とてカフェオレにしましょ」
途中にある自販機からお気に入りのカフェオレのボタンを押し、よく冷えた紙パックを取り出す。
「ふふんふーん」
上機嫌でラウンジへ入り、定位置である1番奥のテーブルへ一直線。
いつも私がそこにいるからか、優しい隊員達が気を利かせてくれるのでそこが埋まっていることは少ない。今日も誰もいないのを確認してソファに座り、借りてきたノートを広げ、出れなかった授業のページを開く。
「んー、と…ああ、ここか」
目当てのページに目を通しながら、ペンを取り出して自分のノートへ書き写し始める。
面白そうな所やってたんだなあ、出たかったなこの授業…と思いながらペンをノートへ滑らせた。
◆
「…うー、肩凝った」
しばらく集中してやっていれば、気付けば2時間半も経っていた。
小腹空いたな、とバッグの中に手を伸ばし、指先に触れた袋を引っ張り出す。ちょっと休憩、おやつタイム入りまーす。
「糖分補給しなければ」
取り出したのは、よく戦争が勃発するきのことたけのこのバラエティパック。これが摘まみやすくて勉強中とかに重宝している。
ばりっと袋を開けて、中から1番上にあった袋を取り出して小袋の口を開き、中からたけのこを模したチョコ菓子をひとつ摘まんで口の中に放り込む。
「んん、」
口の中に程よいチョコレートの甘みが広がる、美味しい。
これでもうちょい頑張れるな、とカフェオレに手を伸ばした。
「!?っちょ、びっくりした…」
このテーブルを囲むように立つ植物の上、切りそろえられた緑の上からじっとこちらを見る瞳と視線がぶつかった。
危なかった、あと少しでカフェオレこぼすところだった。
「奈良坂くん…何も言わないでそこにいるのはびっくりするからやめてほしいな?」
「ああ、すみません」
こちらを見ていた長身の人は、三輪隊のスナイパーである奈良坂くんだった。無表情でじっと見ていた奈良坂くんは、謝りながらもこちらへやってきた。
「あら珍しい」
「なにがですか」
「奈良坂くんが私の所にくるのが」
そう、珍しいのだ。
なにせ三輪隊で最も親しいのは幼馴染である蓮で、米屋くん。三輪くんは会ったら会話するくらいだし、古寺くんは挨拶と少しの世間話くらいで、奈良坂くんが三輪隊トップで接点が無かった。
「何か用事?」
「いえ」
そっけなく答える奈良坂くんの対応に困る。いや困っている。何がしたいんだこの子は…
しかし、彼の視線がふっと落ちたのを辿った先にあったのは、お菓子の大袋。
「…食べる?」
「いただきます」
なんとなしに聞けば、奈良坂くんは即答した。目的はこれか。
「奈良坂くんのお好みはどっち?」
「たけ…いや、きのこを」
「了解」
がさがさと袋からきのこの山を探し出し、奈良坂くんへ手渡せば小さくお礼が返ってくる。
そういえば、この子チョコ菓子好きだって米屋くんが言ってたような気がするわ。あと、なにか重大な事も言っていたような…
「…ああ」
「なんです?」
表情を変えないまま待ちきれない様に小袋を持ってそわそわし始めた奈良坂くんは、私に疑念の視線を向けた。
「いや…なんでもない」
「気になるんで言って下さい」
奈良坂くんにじいっと見つめられ、じゃあ…と口に出す。
「奈良坂くん、たけのこ派なのにきのこ派を演じてるって聞いたなあって」
「…!何故それを」
「米屋くんが言ってた」
「陽介が…」
後で〆る、と小さく聞こえた声に笑みがこぼれた。
笑った私を見て不機嫌そうに眉を寄せた奈良坂くんにごめんごめんと謝って、大袋の中からチョコ菓子を取り出す。
折角きのこ派を演じてるんだ、不自然にならないようにたけのこ3:きのこ2の割合にして、奈良坂くんへ差し出す。
「はいこれ、持ってって食べて」
「いいんですか」
「いいよ、最初から一人で全部食べるつもりなんてないし」
「ありがとうございます」
チョコ菓子を受け取った奈良坂くんは、滅多に崩さない表情をほんの少しだけ緩めてお礼を言った。うわあレアだ…
「奈良坂、探したぞ」
「三輪」
「あ、三輪くんこんにちは」
「蒼さん…?こんにちは」
ひょいとやってきた三輪くんは奈良坂くんを探していたようで、私と奈良坂くんの珍しい組み合わせに少しだけ驚いた表情をした。
「邪魔してすみませんが…これから打ち合わせがあるので」
「そうなの、引き止めちゃってごめんね」
「いえ。いくぞ奈良坂、陽介も探さなきゃならん」
「ああ。…お菓子、ありがとうございました」
「いいえ」
ぺこりと頭を下げた奈良坂くんと三輪くんに手を振り、遠ざかっていく2人を見つめる。
うーん、あの隊…頑張れば全員餌付けできそうだな…なんて思いながら、また1粒たけのこを口に放り込んだ。
お菓子から始まる交流
奈良坂くんにはチョコ菓子を
(あー蒼さんそれ1袋下さいよー!)
(いいけど、三輪くん探してたよ)
(あーやっべ!会議忘れてた!)
.
「蒼さんおはようございます」
「おはよう、任務頑張ってねー」
「はい」
「あ、蒼さーん!後で模擬戦やりましょうよ!」
「午後でもいいー?」
「もちろん!約束ですよー!」
本部の廊下を歩いていれば朝の任務に向かう隊員達から挨拶の声が飛んでくる。
それに応えながら、目当てであるラウンジへと足を進める。
「今日も今日とてカフェオレにしましょ」
途中にある自販機からお気に入りのカフェオレのボタンを押し、よく冷えた紙パックを取り出す。
「ふふんふーん」
上機嫌でラウンジへ入り、定位置である1番奥のテーブルへ一直線。
いつも私がそこにいるからか、優しい隊員達が気を利かせてくれるのでそこが埋まっていることは少ない。今日も誰もいないのを確認してソファに座り、借りてきたノートを広げ、出れなかった授業のページを開く。
「んー、と…ああ、ここか」
目当てのページに目を通しながら、ペンを取り出して自分のノートへ書き写し始める。
面白そうな所やってたんだなあ、出たかったなこの授業…と思いながらペンをノートへ滑らせた。
◆
「…うー、肩凝った」
しばらく集中してやっていれば、気付けば2時間半も経っていた。
小腹空いたな、とバッグの中に手を伸ばし、指先に触れた袋を引っ張り出す。ちょっと休憩、おやつタイム入りまーす。
「糖分補給しなければ」
取り出したのは、よく戦争が勃発するきのことたけのこのバラエティパック。これが摘まみやすくて勉強中とかに重宝している。
ばりっと袋を開けて、中から1番上にあった袋を取り出して小袋の口を開き、中からたけのこを模したチョコ菓子をひとつ摘まんで口の中に放り込む。
「んん、」
口の中に程よいチョコレートの甘みが広がる、美味しい。
これでもうちょい頑張れるな、とカフェオレに手を伸ばした。
「!?っちょ、びっくりした…」
このテーブルを囲むように立つ植物の上、切りそろえられた緑の上からじっとこちらを見る瞳と視線がぶつかった。
危なかった、あと少しでカフェオレこぼすところだった。
「奈良坂くん…何も言わないでそこにいるのはびっくりするからやめてほしいな?」
「ああ、すみません」
こちらを見ていた長身の人は、三輪隊のスナイパーである奈良坂くんだった。無表情でじっと見ていた奈良坂くんは、謝りながらもこちらへやってきた。
「あら珍しい」
「なにがですか」
「奈良坂くんが私の所にくるのが」
そう、珍しいのだ。
なにせ三輪隊で最も親しいのは幼馴染である蓮で、米屋くん。三輪くんは会ったら会話するくらいだし、古寺くんは挨拶と少しの世間話くらいで、奈良坂くんが三輪隊トップで接点が無かった。
「何か用事?」
「いえ」
そっけなく答える奈良坂くんの対応に困る。いや困っている。何がしたいんだこの子は…
しかし、彼の視線がふっと落ちたのを辿った先にあったのは、お菓子の大袋。
「…食べる?」
「いただきます」
なんとなしに聞けば、奈良坂くんは即答した。目的はこれか。
「奈良坂くんのお好みはどっち?」
「たけ…いや、きのこを」
「了解」
がさがさと袋からきのこの山を探し出し、奈良坂くんへ手渡せば小さくお礼が返ってくる。
そういえば、この子チョコ菓子好きだって米屋くんが言ってたような気がするわ。あと、なにか重大な事も言っていたような…
「…ああ」
「なんです?」
表情を変えないまま待ちきれない様に小袋を持ってそわそわし始めた奈良坂くんは、私に疑念の視線を向けた。
「いや…なんでもない」
「気になるんで言って下さい」
奈良坂くんにじいっと見つめられ、じゃあ…と口に出す。
「奈良坂くん、たけのこ派なのにきのこ派を演じてるって聞いたなあって」
「…!何故それを」
「米屋くんが言ってた」
「陽介が…」
後で〆る、と小さく聞こえた声に笑みがこぼれた。
笑った私を見て不機嫌そうに眉を寄せた奈良坂くんにごめんごめんと謝って、大袋の中からチョコ菓子を取り出す。
折角きのこ派を演じてるんだ、不自然にならないようにたけのこ3:きのこ2の割合にして、奈良坂くんへ差し出す。
「はいこれ、持ってって食べて」
「いいんですか」
「いいよ、最初から一人で全部食べるつもりなんてないし」
「ありがとうございます」
チョコ菓子を受け取った奈良坂くんは、滅多に崩さない表情をほんの少しだけ緩めてお礼を言った。うわあレアだ…
「奈良坂、探したぞ」
「三輪」
「あ、三輪くんこんにちは」
「蒼さん…?こんにちは」
ひょいとやってきた三輪くんは奈良坂くんを探していたようで、私と奈良坂くんの珍しい組み合わせに少しだけ驚いた表情をした。
「邪魔してすみませんが…これから打ち合わせがあるので」
「そうなの、引き止めちゃってごめんね」
「いえ。いくぞ奈良坂、陽介も探さなきゃならん」
「ああ。…お菓子、ありがとうございました」
「いいえ」
ぺこりと頭を下げた奈良坂くんと三輪くんに手を振り、遠ざかっていく2人を見つめる。
うーん、あの隊…頑張れば全員餌付けできそうだな…なんて思いながら、また1粒たけのこを口に放り込んだ。
お菓子から始まる交流
奈良坂くんにはチョコ菓子を
(あー蒼さんそれ1袋下さいよー!)
(いいけど、三輪くん探してたよ)
(あーやっべ!会議忘れてた!)
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