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第十三章*

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そう言えば読手って

遊び程度でしかやったこと無いな。

ちゃんと詠めるかな。

えっと……4-3-1-5方式で

全体で13秒くらいになるようにして…

各句の1文字目だけ少し低い音程で…

大山札のリズムは特に気をつけて…




昔おばあちゃんに聞いた詠みの基本を思い起こす。

ちょっとドキドキしてきた。

札を持つ手にやや汗を感じながら

序歌を頭に浮かべる。




NAME1「始めていい?」

千早「オッケー!」




コホンと軽く咳払いをしてゆっくりと口を開いた。




NAME1「な に わ づ にー
さ く や こ の は な ふ ゆ ご もーりー い ま をー」

肉まん「…………ターイム!」

NAME1「は る」




突然の制止が入り眉をひそめる。

緊張しつつも気持ちよく詠み始めたというのに。




奏「…NAME1ちゃん、
一音一音正確に発音しようとしてるんでしょうけど
かなりヘンテコですよ。」

NAME1「えっ。」




全員一致で私を見る目が引いている。

渋みを帯びたその視線が刺さる。




千早「意外だー。
何でもこなしちゃうNAME1なのに。」

太一「マジか…。」

机「NAME2は詠みのセンスは無し…と。(メモ)」




みんなが口を揃えて言うならば

本当に下手くそなんだろう…。

仮にも専任読手の孫だというのに、何てことだ。




奏「発音も勿論大事ですけど、
もっと言葉として詠んでください。」

NAME1「言葉…。」




おばあちゃんが言ってたのと同じ…。




奏「いいですか、NAME1ちゃん。
日本語の美しさは子音と母音から成る
濁りや深い響きにあるんです。
それを無理に引き離したらダメです!」

NAME1「う…んん?」




要するにもっと普通に詠めってこと?

はっきり聞こえるのが良いって訳でも無いのか。

聞き取りやすいようにと思って発音意識したけど

どうやら裏目に出てしまったようだ。




読手って思ったより難しいんだなあ。

競技者でいる時と考えることが全然違う。




NAME1「ごめんごめん、もう一回いい?」




もっと流暢に

日本語の美しい音を引き出すように。






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