第十章*
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机「僕と綾瀬の8・9月の対戦28試合
僕が綾瀬から取った札
敵陣右1%、左67%、自陣左32%、右0%。」
千早「へー!それって私は、
自陣右と敵陣右は100%近く取れてるってこと?
やったー!」
机「でも逆に言えば、他の2つのエリアは
僕でもかなり取れてるってことだよ。」
…なるほど。
流石は机くん。
統計に基づいたデータの視覚化によって
目を向けなかった弱点が浮き彫りになる。
机「綾瀬は一字決まりは手がつけられないけど
三字決まりは穴があるし、
綾瀬の苦手な場所に三字決まり配置したりさ
僕じゃなくてもそういう作戦でくる人、
きっといるよ。」
ものすごく速く取れる札があっても
残り全部取られたら、かるたは負ける。
私も痛感してきた。
NAME1「千早はお手つきも気をつけなきゃね。
早く取りたくて一か八かで
突っ込んじゃう時あるでしょ?」
奏「そうですね、
例えば ” なにわえ ” と ” なにわが ” とか。」
千早「えー、でもあれは歌の雰囲気も似てるし…」
奏「だまらっしゃい!!
” なにわが ” は19番、 ” なにわえ ” は88番、
年代にして約200年の隔たりがあります!」
…………
年代ー!?
奏「作者は両方とも女性だし
詠まれた情景も似ています。
私としては200年の隔世があっても
歌に込める想いは変わらないということに
感動してしまうのですが、それは置いといて。
10世紀に詠まれた ” なにわが ” は
冬枯れた芦のくすんだ緑…
12世紀に詠まれた ” なにわえ ” は
もっと若い芦の緑…、そう思ってみたりとか。
88番の方の難波の入江は
当時遊女が多かったとも言われますから
もっと艶っぽい色味の中の緑とか。」
かなちゃんが歌を語るたび
不思議と歌の世界に惹き込まれて
一つ、また一つとその情景が浮かび上がる。
千早「…かなちゃんは…
……ほんとに歌が好きなんだね…。」
頬をほんのり染めながら、
半ば驚いたように千早がぼやいた。
奏「私にとってのかるたは ” 意味 ” ですから。」
そう微笑んだかなちゃんの顔は
とても満足そうで安らかで嬉しそうだった。
そしてふと考える。
私にとってのかるたってーー…………。
.
机「僕と綾瀬の8・9月の対戦28試合
僕が綾瀬から取った札
敵陣右1%、左67%、自陣左32%、右0%。」
千早「へー!それって私は、
自陣右と敵陣右は100%近く取れてるってこと?
やったー!」
机「でも逆に言えば、他の2つのエリアは
僕でもかなり取れてるってことだよ。」
…なるほど。
流石は机くん。
統計に基づいたデータの視覚化によって
目を向けなかった弱点が浮き彫りになる。
机「綾瀬は一字決まりは手がつけられないけど
三字決まりは穴があるし、
綾瀬の苦手な場所に三字決まり配置したりさ
僕じゃなくてもそういう作戦でくる人、
きっといるよ。」
ものすごく速く取れる札があっても
残り全部取られたら、かるたは負ける。
私も痛感してきた。
NAME1「千早はお手つきも気をつけなきゃね。
早く取りたくて一か八かで
突っ込んじゃう時あるでしょ?」
奏「そうですね、
例えば ” なにわえ ” と ” なにわが ” とか。」
千早「えー、でもあれは歌の雰囲気も似てるし…」
奏「だまらっしゃい!!
” なにわが ” は19番、 ” なにわえ ” は88番、
年代にして約200年の隔たりがあります!」
…………
年代ー!?
奏「作者は両方とも女性だし
詠まれた情景も似ています。
私としては200年の隔世があっても
歌に込める想いは変わらないということに
感動してしまうのですが、それは置いといて。
10世紀に詠まれた ” なにわが ” は
冬枯れた芦のくすんだ緑…
12世紀に詠まれた ” なにわえ ” は
もっと若い芦の緑…、そう思ってみたりとか。
88番の方の難波の入江は
当時遊女が多かったとも言われますから
もっと艶っぽい色味の中の緑とか。」
かなちゃんが歌を語るたび
不思議と歌の世界に惹き込まれて
一つ、また一つとその情景が浮かび上がる。
千早「…かなちゃんは…
……ほんとに歌が好きなんだね…。」
頬をほんのり染めながら、
半ば驚いたように千早がぼやいた。
奏「私にとってのかるたは ” 意味 ” ですから。」
そう微笑んだかなちゃんの顔は
とても満足そうで安らかで嬉しそうだった。
そしてふと考える。
私にとってのかるたってーー…………。
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