第九章*
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窓から差し込む日差しが熱い。
火照った肌がエアコンの冷気で引き締められる。
このポジションは
具合悪くしてと言うようなもんだなあ。
そんなことを呆然と思いながら
光を弾いて艶めく床を見つめていた。
「準決勝、組み合わせの確認お願いしまーす。」
詩暢ちゃん、
ずっと追いかけてきたよ。
今でも、追いかけてるよ。
NAME2NAME1 対 若宮詩暢
「うわ、クイーン戦先取りじゃん。」
「先生ビデオお願い!」
「綿谷新の方も気になるけどこっちもヤバイ。」
脈が激しくなるかと思いきや
悠揚迫らず穏やかなまま。
むしろ深くしっとりと落ち着いていて
こちらの方が驚くべき事象だ。
新「NAME1、決勝での。」
NAME1「うん。」
お互い目を合わせることなく
短い約束だけを残して自席に向かう。
詩暢ちゃんを前に深く礼をし
場に用意された50枚の札を裏返して
互いに慣れた手つきで混ぜ合わせると
半分ずつを自陣に並べた。
私の陣の配列を見て詩暢ちゃんが笑みを零す。
詩暢「これはまた大きゅう出たなぁ。」
NAME1「ふふ。」
ほんわかと柔らかな感覚に包まれて
私たちは2人の世界に浸り込んだ。
窮屈そうに座る大勢の観客の視線も憚 らずに。
「暗記時間残り2分です。」
小刻みに札を指差して取りのイメージを叩き込む。
毎日何百何千と繰り返した払いのシミュレーション。
攻めて戻るイメージ、渡るイメージ、
敵陣下段を抜くイメージ、守るイメージ。
素振りをしてより細かく脳内に復元させた。
準決勝、会場では2試合のみ。
その分雑音も無く気も散らない。
読手はすぐ目の前にいて
僅かな空気の振動さえも捕まえられる。
私の長所を最大限活かす勝利への条件が揃っている。
油断はしないけど自信はあるよ。
「それではA級準決勝、始めます。」
” 難波津に 咲くやこの花 冬隠もり
今を春べと 咲くやこの花
今を春べと 咲くやこのー花ー… ”
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窓から差し込む日差しが熱い。
火照った肌がエアコンの冷気で引き締められる。
このポジションは
具合悪くしてと言うようなもんだなあ。
そんなことを呆然と思いながら
光を弾いて艶めく床を見つめていた。
「準決勝、組み合わせの確認お願いしまーす。」
詩暢ちゃん、
ずっと追いかけてきたよ。
今でも、追いかけてるよ。
NAME2NAME1 対 若宮詩暢
「うわ、クイーン戦先取りじゃん。」
「先生ビデオお願い!」
「綿谷新の方も気になるけどこっちもヤバイ。」
脈が激しくなるかと思いきや
悠揚迫らず穏やかなまま。
むしろ深くしっとりと落ち着いていて
こちらの方が驚くべき事象だ。
新「NAME1、決勝での。」
NAME1「うん。」
お互い目を合わせることなく
短い約束だけを残して自席に向かう。
詩暢ちゃんを前に深く礼をし
場に用意された50枚の札を裏返して
互いに慣れた手つきで混ぜ合わせると
半分ずつを自陣に並べた。
私の陣の配列を見て詩暢ちゃんが笑みを零す。
詩暢「これはまた大きゅう出たなぁ。」
NAME1「ふふ。」
ほんわかと柔らかな感覚に包まれて
私たちは2人の世界に浸り込んだ。
窮屈そうに座る大勢の観客の視線も
「暗記時間残り2分です。」
小刻みに札を指差して取りのイメージを叩き込む。
毎日何百何千と繰り返した払いのシミュレーション。
攻めて戻るイメージ、渡るイメージ、
敵陣下段を抜くイメージ、守るイメージ。
素振りをしてより細かく脳内に復元させた。
準決勝、会場では2試合のみ。
その分雑音も無く気も散らない。
読手はすぐ目の前にいて
僅かな空気の振動さえも捕まえられる。
私の長所を最大限活かす勝利への条件が揃っている。
油断はしないけど自信はあるよ。
「それではA級準決勝、始めます。」
” 難波津に 咲くやこの花 冬隠もり
今を春べと 咲くやこの花
今を春べと 咲くやこのー花ー… ”
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