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NAME1「あの、私、水買ってきます！」

宮内「NAME2さん、お願いします。
メガネのあなた、
ちょっと綾瀬さんについててくれる？
病院とタクシーの手配してきます。」

新「え」

奏母「先生、私、車で来ました！
駐車場から取ってきますね！」

宮内「助かります、大江さんのお母さん。
じゃああなた、頼むわよ！」

新「う、あ、ハイ…！」




急いで自分の荷物から財布を出すと

先生達と同時に控え室を後にする。






自販機…どこだっけ？

あれ、朝どっかで見たような…えーと…




早く早くと気ばかり焦って脳内は大混乱。

バタバタと慌ただしく足を動かすけど

同じ通路をもう何度も通っている気がした。




ふと微かに鼓膜を揺らす音が気に止まり

立ち止まって耳に手を当て聞き澄ます。




千早の声だ…泣いてる。

二重戸の閉まった部屋から漏れ出す程に

悲痛のこもった叫び声で…。




早く戻らないと…。




運良くすぐに自販機を見つけ

冷えたミネラルウォーターを一本買うと

来た順路を小走りで引き返した。




控え室の前に着くと叫び声はもう消えていて

泣き疲れて眠ったのか、物音一つしない。

起こしてしまったら悪いと思い

そっと戸に触れゆっくりと横に引く。




ほんのわずかの隙間が開いたところで

腕が急激に重くなった。




目に飛び込んできた光景は

息が止まる程衝撃を受けるもので

ぴたりと思考が停止する。




脳が見るなと警告を響かせるけど

もはや自分の身体の動かし方がわからない。

それ程に私を押し潰すには充分だった。




心臓を直接殴られているような

激しい痛みを胸に感じ苦しい。

戸にかけた左手は

だらりと重力に従い落ちていった。





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