米花町魔法使譚
魔法使いさんおなまえへんかん
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「こんな風に笑える日が来るなんて、思わなかったなあ」
「蒼空!鹿せんべい買ってきてもいいか!俺もあんな風に食べさせてやりたい!」
「えぇ、いいですよ。ハイ、お金どうぞ。」
「買ってくるからそこで待ってろよな!」
「待ってますよ~」
鹿と言えばお馴染みの奈良だ。え?どうして家にいないのかって?その原因は今から一週間前に遡る。
「急で悪いんだが、今から一週間ぐらい景光と旅行に出てくれ。」
感動の再会から一夜明け、またまた工藤邸に呼び出された私たちは赤井さんからそんなことを告げられた。思わず我を忘れて「は?」と声に出してしまったのは許してほしい。まあそこには当然のようにコナンくんもいて。「赤井さんの言葉が足りないと思うから僕が説明するとね…。」とコナン君が何故私たちが旅行に出なければならないのかを説明してくれた。まず、表上では赤井さんは死んだことになっているんだけど、あの例の組織の情報屋が赤井さんが死なずに生きているのではないかと疑っており、最近活発に活動しているのでそろそろ何かを仕掛けてきてもおかしくないということだった。
「-でね、その情報屋の名前はね、蒼空さんも一回は会ったことがあるって赤井さんから聞いてるよ。」
「景光を助けたときにいただろう。もう一人俺と景光以外に。」
「あー、安室透…でしたっけ。コードネームは…bourbon。最近探偵事務所の下にある喫茶店で働いてましたね…」
「蒼空さん記憶いいんだね…それで最近そいつが動いてるから蒼空さんが接触することはどうしても避けたいんだ。…今ここにいるって言ってない景光さんは特にね…」
「ってことは旅行するしかねえなあ…ゼロ妙なところで勘鋭いもんなあ」
「…今回は私たちがお邪魔になりますしね…。」
「すまないな…迷惑をかけるがよろしく頼む」
「まあまあ気にしないで下さい!お土産ちゃんと買ってくるんで!ね!ヒロさん!」
「なあなあ!蒼空!俺、奈良と京都行きたい!!」
いやどっから観光雑誌持ってきたんだよ。いやこの人知ってたのか。
「…まあヒロさんもこういうテンションなんで楽しんできますね…こっちのことは心配せずちゃんと作戦遂行してください。作戦終わって落ち着いたら連絡ください。帰ってくるんで。」
「あぁ。よろしく頼む。」
「ははは…」と呆れ顔のコナンくんといつも通り無表情の赤井さんと別れ、そしてそれから私とヒロさんは東京を離れて京都に来た。沖縄も行きたかったのだが、沖縄は飛行機でしか行けず、ヒロさんがパスポートをとれないからっていう理由で本人が冒頭に言っていた京都・奈良の観光が決定した。京都や奈良なら特急を使えば大丈夫だし、身分証も必要ないから安心だ。
いま、私たちは7日目の奈良篇に突入している。1~4日目は京都で寺院巡りをした。普段はあんまりはしゃぐ姿を見せないヒロさんなんだけど、京都に行ったこと自体が初めてらしく、もう着いた瞬間から目のキラキラが半端なかった。ほんとにあんなヒロさんははじめてだった。パンフレットとお土産を両手にいっぱい持ちながら楽しそうなヒロさんを見て、旅行に来てよかったと改めて痛感した。
「おーい!蒼空の分の鹿せんべい買ってきたぞ~」と言われ、手にせんべいを渡されて手を引かれた。
「わわ…急に引っ張るからびっくりしました!」
「なんか一人たそがれてたからな~!楽しまないと損だぞ~!おっ、これいるか?はいどうぞ!わわ…引っ張るなって、ちゃんとあげるから!おい!助けてくれ蒼空!めっっちゃ服引っ張られる…!」
「どうしよっかなあ~」
「頼むよ~!!!」
ヒロさんを助けようとした途端、ピピピピッと電話が鳴り始めたので服を引っ張られて助けを求めるヒロさんを無視して電話を取ると赤井さんの声が聞こえてきた。
「―作戦は遂行したぞ…もう帰ってきて構わないぞ」
「無事終わったんですね!お疲れ様です。では、準備が出来次第そちらに帰りますね!」
「―あぁ…待っている。」
それで電話が切れた。もうちょっと作戦のことを聞きたかったんだけどなあ…まあ帰ってからコナン君に聞こうかと思いつつ、鹿に囲まれているヒロさんを助け、作戦がうまくいったことを伝えると、「よかった…」と安心していた。でも旅行が終わるのに対しては少し寂しそうだったので「-また来ましょうか。」というと「おう!」といって笑ってくれた。つぎは違うところに旅行でもいいなあと二人で手を繋いで笑いながら東京に帰ったのだった。
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(お土産渡すの楽しみだなあ)
(そうですね!)
(また行こうな…)
(ええ、絶対次はどこ行きたいですか?)
(北海道で大盛りのいくら食べたい)
(いいですねえ!)