SS置き場

短くて小説にできなかったネタの倉庫。
思いついた時に増えます。
後で小説に使われる可能性もあり。

記事一覧

  • カイノノ

    20191104(月)11:42

    「カイト、お茶入ったよー?」
    ノノハの声がすぐ近くから聞こえて、湯気の上がるカップが差し出された。何でもないことなのに、たったそれだけで一人じゃないと実感する。パズルを一人で解いていること自体は、留学していた頃と変わらないのにな。

    (ずっと前にツイッターにUPした140字SS。140字で書くのは短すぎて難しいと痛感しました。)
  • 幼少ノノハ(3期18話ネタバレあり)

    20190201(金)23:50

    どうしようどうしよう。思い出せない。
    壊したかったわけじゃないの。ただちょっと、一人で解いてみたかったの。
    今日カイトに教えてもらったパズルがとっても楽しくて、解けた時にはすっごく気持ち良くて。カイトだって「一人で解けるともっと楽しいよ」って言ってくれたから。完成した形も覚えたし、一度は解けたパズルなんだから。そう思って少しずつ、困ったらすぐ戻せるように、一つずつ外してたはずなのに。
    持っていた場所が悪かったのか、抜いたピースが間違いだったのか。カイトに教えてもらった綺麗なパズルは、あっという間にバランスを崩して、バラバラになってしまった。
    「どうしよう…せっかくカイトが教えてくれたのに…」
    とりあえず急いで戻そうとする。確か最初は長いのを持って…あれ、二つだっけ、それとも三つ?小さいピースはどこに置けばいいの?ここ…だと落ちちゃうし、こっちは…あぁ、さっき持った長いのが崩れちゃう!
    手が震える。視界がぼやける。泣いちゃダメ、泣いたってパズルは戻らない。
    焦れば焦るほど、パズルは手から零れ落ちていく。試行錯誤…だけど、さっきから何回も同じ形ばかり試してる気がする。本当に同じかどうかなんていちいち覚えていなかったから、「気がする」としか言いようがないけれど。
    本当にこれで合ってるの?もしかして間違えてる?カイトはどうやってたっけ…?
    思い出そうと目を瞑る…けれど、見ていたはずの手元は記憶の中でぼやけて、あやふやになる。それならばとカイトの声を探ってみても、再生されるのは「そこをそうして」「今度はこっち」と、パズルの途中経過がないと分からない言葉ばかり。
    そして…一緒に思い出されるのはカイトの笑顔。どこか得意げで、キラキラと眩しくて、私がようやく解けた時には「やったね」と喜んでくれて。
    あんなに楽しく教えてもらったのに、またパズルが解けなくなったなんて知ったらカイトは絶対に悲しい顔をする。しかも一度は解けたパズルだ、それを崩しちゃって元に戻せないなんて…もうカイトからは教えてもらえないかもしれない。
    ――もっと、ちゃんと覚えていられたら。
    もう絶対に取り戻せない大きな忘れ物をしてきたみたいに、心が、体の真ん中が痛んだ。

    (本日せっかくのノノハの誕生日なのに、幸せな誕生日ネタが全く書けない!誕生石シリーズで書きたいのに全然まとまらない!ってなったので、それよりも前に少しだけ書いていた(誕生日の話に入れる予定も無かった)幼少ノノハをここでこっそりUP。私の勝手な予想ですが、ノノハの記憶力はここから来てるような気がします。)
  • 時の迷路ルクノノ

    20181018(木)23:58

    POGの大きな窓から外を見つめる、紺色の背中。最近支給した彼女の制服は、部屋の暗さと窓の向こうに広がる夜空に混じるようにして、景色の中に馴染んでいた。まるでずっと前からそうだったみたいに。
    「ルーク君」
    こちらに気付いた彼女のポニーテールが揺れた。歩いて隣に並べば、彼女はまた夜空の方へ向き直る。
    「今夜は月と火星が特に近付いて見える日なんだって」
    ほら、と彼女が指し示してくれた先には明るく輝く月。そして、そのそばでぽつりと一つだけ浮かぶオレンジ色の星。
    「あれが…」
    「うん。前にアナが言ってたの、カイトは太陽でルーク君は月だって。それ以来天体ショーがある日はなんか気になっちゃって」
    照れ笑いを浮かべる彼女に何と返そうか迷って…結局、相槌も打てずにただ空を眺めた。月の強大な光に負けず静かに輝く、太陽の色をした小さな星。だが地球からそう見えるだけで、本当は月よりも大きい天体。
    「…明日もまたパズルの特訓だ。あまり遅くならないうちに戻って、ちゃんと休むんだよ?」
    管理官として促すと、彼女は小さく頷いた。幼い頃カイトと交わした『世界でいちばん難しいパズルを解く約束』を胸に抱き、今はPOGに加入して僕の近くにいる彼女。ダ・ヴィンチなら今の彼女を何に例えるだろうか。
    「期待しているよ、新星ソルヴァー」
    明日もその先も、次第に僕のそばから離れていっても。
    そんな未来など考えたこともないであろう彼女は、僕の言葉にぱっと顔を上げると嬉しそうな笑顔でうやうやしく言った。
    「はい、ルーク様!」
  • 2期21話後キュービックとダウト

    20180715(日)02:04

    「君たちはこれから、クロンダイクに立ち向かうんだよね?」
    「あぁ、そうだ」
    「じゃあ、良い物をあげるよ!はい、これ着けて」
    「何だこの奇抜なデザイン!?光が点滅しているが大丈夫なのか!?」
    「もちろん。僕の作った発信器さ、これで君たちの位置も脳波も分かるから何かあった時には安心だね!」
    「…いや、これはオルペウス・オーダー内部の問題だ。お前たちに助けてもらうわけには、」
    「最初はカイトだけに着けてた発信器なんだけど、君たちがカイトの周りの人間にリングを着けさせたから、最近はノノハたちにも発信器を着けてもらってるんだ。ほら、早く早く」
    「……。…どうしても着けないと駄目か?」
    「当たり前でしょ、味方になったんだから」
    「…あー、そういやさっきミゼルカに呼ばれたな。遅刻は相手の時間を奪うもの。そろそろ行かなければ」
    「あっ、逃げる気!?でも平気さ、ヨシオ君を変型させれば…」
    「やめろ、ついて来るな!」
    「着けるタイプが嫌なら、君をまるごとメカにできるからねー!」
    「やめろー!」

    (…こうしてイワシミズ君ができた(嘘です)。)
  • 2期後フリノノ

    20180715(日)01:57

    「フリーセル君。あの記憶はきっと、まがい物じゃないから」
    「まがい物…?あぁ、カイトを助けに行った時の。…確かに腕輪は暴走してたけど、あの言葉は本当だよ」
    「違う!本当なんかじゃない!」
    「困ったなぁ、本当だって…。僕のママはリングに飲まれてたんだ、僕に笑いかけることもできなかった。君も僕にそう言っただろう?」
    「それは、そうだけど…。でも、完全に本物の記憶じゃないけど、完全にまがい物の記憶でもないから…!」
    「え…?」
    「ソリティアさんは腕輪のせいで、フリーセル君に優しく笑いかけてあげられなかったかもしれないけど。それでもフリーセル君のことは、ずっと大好きだったはずだから…」
    「ノノハ…。ふふ、それはもう分かってるよ。君が覚えててくれたパズルのおかげでね」