「黒猫？」
同級生が特に前触れもなく振ってきた話題に、佐次田は目をぱちくりさせながらも、
「可愛いと思うぞ」
と当たり障りのない(かといって嘘でもない正直な)コメントを返した。
話を振ってきた当の本人はといえば、
「……マジで？」
と、信じられなさそうな顔で見てくる。
「マジでも何も、普通に可愛いと思うけど」
「でも不幸の象徴とか言われるじゃん」
彼はそう言ってせせら笑う。
「黒い毛ってだけで嫌われるとかさ、どうしようもないよな。別に好きな毛の色選んで生まれたわけでもないのに」
「まあ確かにな」
佐次田は何となく話が呑み込めないながらも、うなずいてみせる。
「あんなに綺麗な毛をしてるのにな」
「…………」
妙な視線が突き刺さる。俺の言いたいことはそうじゃないと言いたいのかもしれないが、それにしても妙な表情だった。
「……どうした？苹果」
「……なんでもな〜い」
佐次田ってばかだよね、と彼は言ったが、その表情がやけに嬉しそうなのは、気づいていない振りをしておくことにした。



＊＊＊

おまけ。

・佐次田(さじた)くん
同級生の苹果くんにガチ恋中の高校生。
ハイスペックイケメンだが本人はあまり意識してないし何ならちょっと天然入ってる。
黒猫は好きな子に似てるから可愛いと思ってる。

Q.サジータくんの前世ですか？
A.あんまりそういうのは考えてないです

・苹果(りんご)くん
同級生の佐次田くんに拗らせ片思い中の高校生。
ちょっと擦れてて周りに誤解されたりすることもあるが、根は優しい良い子。
黒猫と自分を重ねて見たりしちゃうとこもある。

Q.漢字読みづらくないですか？
A.弟の李(すもも)くんと並べた時に可愛いと思った

おまけおわり。