🏹🍎SSまとめ
「妊娠した」
4月1日である。
エイプリルフールである。
家に来るなり取り繕った真顔でとんでもないことを言い放ったりんごを見て、サジータは眉間を指で抑えた。
「……もうちょっとマシな嘘ないのか」
「計算したらサジータくんとヤった日が一番ぴったり計算合うんだよね〜認知してよ〜」
「いいけど……」
「いいのかよ……」
呆れながらも即答したサジータに、りんごの方がドン引きした表情を見せる。
とりあえず家に入れと促したサジータに、りんごは案外素直に従った。
「何か飲むか?」
「コーヒーちょうだ~い」
「妊婦にコーヒーって良いのか……?」
「いやマジで信じてないよね……?」
「信じてるわけないだろ、冗談だ」
そう言って、サジータはお湯を沸かし始める。
やり込められたりんごは不満げな顔をしつつも、どっかりとソファーに腰を下ろした。
「サジータくんは俺になんか嘘つかないの〜?」
「そう言われてもなぁ……」
お祭り騒ぎが大好きなインクリングは、エイプリルフールともなるとそれはもう街中で盛り上がり出す。
朝のフェイクニュースから始まり、あちこちでふざけた嘘で盛り上がり、日付が変わるまで楽しみ倒すのだ。
当然、アメアリも例外ではない……のだが。
「色々……食傷気味というか……」
「あー……」
サジータの表情を見て、りんごは苦笑いを浮かべた。
「サジータくんてば無駄に人気者だから、色々ちょっかいかけられてそうだもんね〜」
「話が早くて助かる……」
サジータも苦笑いしつつ、コーヒーを入れたマグカップをテーブルに置く。
「熱いから気をつけてな」
「ていうかさ〜」
りんごはソファの肘掛に頬杖をつきながら、どうでも良さげに言った。
「俺の子だったら、実際誰の子かもわかんなくない~?他所で作ってきた子どもでも認知しちゃうわけ~?」
「別にいいよ」
サジータは自分のマグカップを持ったまま、りんごの隣に座った。
「お前の子ならちゃんと育ててやるよ」
「…………」
りんごはぽかんとした表情でしばらくサジータの横顔を眺めてから、不意に嫌そうな顔をして、
「……サジータくん、今日エイプリルフールですけど」
「うん、そうだな」
サジータはりんごと視線を合わせて、薄く笑う。
「それで?」
「…………ハァ~~~~~~~タチ悪~~~~~~」
盛大な溜め息と共に、りんごはソファに沈み込んだ。
サジータはそれ以上何も言わず、コーヒーに口をつける。
「嘘つくならもうちょっとマシな嘘つけよな〜……」
「…………」
―――俺は嘘なんてついてないんだけどなぁ。
と、サジータは思っても言わなかった。
4月1日である。
エイプリルフールである。
家に来るなり取り繕った真顔でとんでもないことを言い放ったりんごを見て、サジータは眉間を指で抑えた。
「……もうちょっとマシな嘘ないのか」
「計算したらサジータくんとヤった日が一番ぴったり計算合うんだよね〜認知してよ〜」
「いいけど……」
「いいのかよ……」
呆れながらも即答したサジータに、りんごの方がドン引きした表情を見せる。
とりあえず家に入れと促したサジータに、りんごは案外素直に従った。
「何か飲むか?」
「コーヒーちょうだ~い」
「妊婦にコーヒーって良いのか……?」
「いやマジで信じてないよね……?」
「信じてるわけないだろ、冗談だ」
そう言って、サジータはお湯を沸かし始める。
やり込められたりんごは不満げな顔をしつつも、どっかりとソファーに腰を下ろした。
「サジータくんは俺になんか嘘つかないの〜?」
「そう言われてもなぁ……」
お祭り騒ぎが大好きなインクリングは、エイプリルフールともなるとそれはもう街中で盛り上がり出す。
朝のフェイクニュースから始まり、あちこちでふざけた嘘で盛り上がり、日付が変わるまで楽しみ倒すのだ。
当然、アメアリも例外ではない……のだが。
「色々……食傷気味というか……」
「あー……」
サジータの表情を見て、りんごは苦笑いを浮かべた。
「サジータくんてば無駄に人気者だから、色々ちょっかいかけられてそうだもんね〜」
「話が早くて助かる……」
サジータも苦笑いしつつ、コーヒーを入れたマグカップをテーブルに置く。
「熱いから気をつけてな」
「ていうかさ〜」
りんごはソファの肘掛に頬杖をつきながら、どうでも良さげに言った。
「俺の子だったら、実際誰の子かもわかんなくない~?他所で作ってきた子どもでも認知しちゃうわけ~?」
「別にいいよ」
サジータは自分のマグカップを持ったまま、りんごの隣に座った。
「お前の子ならちゃんと育ててやるよ」
「…………」
りんごはぽかんとした表情でしばらくサジータの横顔を眺めてから、不意に嫌そうな顔をして、
「……サジータくん、今日エイプリルフールですけど」
「うん、そうだな」
サジータはりんごと視線を合わせて、薄く笑う。
「それで?」
「…………ハァ~~~~~~~タチ悪~~~~~~」
盛大な溜め息と共に、りんごはソファに沈み込んだ。
サジータはそれ以上何も言わず、コーヒーに口をつける。
「嘘つくならもうちょっとマシな嘘つけよな〜……」
「…………」
―――俺は嘘なんてついてないんだけどなぁ。
と、サジータは思っても言わなかった。