🏹🍎SSまとめ
洗面台に見慣れないものが置いてあるのを見て、りんごはなんとなしにつまみ上げる。
青やらオレンジやらピンクやらの、色とりどりの小袋。
「ね~サジータ、これ何~?」
家主に問いかければ、彼はひょっこりと顔を出して「ああ」と納得したような顔をした。
「入浴剤だよ。うちの隊員から貰ったんだ」
「ふ~ん……?」
言われてみれば、その小袋には「~の香り」とかなんとか書いてある。
りんごがそれらを見比べていると、
「使いたかったら好きなの使っていいぞ」
と、サジータが言った。
「いいの~?貰いもんなんでしょ?」
「あんまり使わないからなぁ」
確かに、この家に来るようになってから、入浴剤なんて贅沢なものを使った覚えがない。
りんごはどうでも良さげにいくつか見比べてから、そのなかから何となく香りが良さそうなものを選んで、風呂場へと向かうことにした。
*****
「うわっ」
失敗した。
袋の色からして紫っぽいと思って入れた入浴剤は、お湯の色を見事にブルーに染めやがったのである。
りんごはお湯を入れ替えようか考えてから、さすがに面倒になって諦めることにする。
(……なんかちょっとアイツの色に似てて……)
ものすごく複雑だ。ていうかなんかちょっと。嫌だ。いや、嫌というか。嫌だ。嫌なのだ。当たり前だ。
思わずでかい溜め息が漏れながら、いつも通り適当にシャワーを浴びて、お湯に浸かる。
ハーブの香りらしい良い匂いが立ちこめるのに悪い気はしない。悪い気はしないが、やっぱりお湯の色が気になる。
深い海のようなブルー。
海の底なんて見たことないけど、多分きっとこういう色なんだろう。
(これってゲソ染まんのかな……)
お風呂のお湯で色素がたまに抜けることがあるが、入浴剤の場合はどうなのか。
以前ちがやの家で泡風呂に入った時は、泡がちょっと染まったりはした。
入浴剤で少し青に染まった自分を見たら、あいつはどんな顔をするのだろう。
ちょっと見てみたい気はする。
「…………」
ちょうど良い温度の青いお湯に、何故か物足りなさを感じて、りんごは少しずつお湯に沈んでいった。
青やらオレンジやらピンクやらの、色とりどりの小袋。
「ね~サジータ、これ何~?」
家主に問いかければ、彼はひょっこりと顔を出して「ああ」と納得したような顔をした。
「入浴剤だよ。うちの隊員から貰ったんだ」
「ふ~ん……?」
言われてみれば、その小袋には「~の香り」とかなんとか書いてある。
りんごがそれらを見比べていると、
「使いたかったら好きなの使っていいぞ」
と、サジータが言った。
「いいの~?貰いもんなんでしょ?」
「あんまり使わないからなぁ」
確かに、この家に来るようになってから、入浴剤なんて贅沢なものを使った覚えがない。
りんごはどうでも良さげにいくつか見比べてから、そのなかから何となく香りが良さそうなものを選んで、風呂場へと向かうことにした。
*****
「うわっ」
失敗した。
袋の色からして紫っぽいと思って入れた入浴剤は、お湯の色を見事にブルーに染めやがったのである。
りんごはお湯を入れ替えようか考えてから、さすがに面倒になって諦めることにする。
(……なんかちょっとアイツの色に似てて……)
ものすごく複雑だ。ていうかなんかちょっと。嫌だ。いや、嫌というか。嫌だ。嫌なのだ。当たり前だ。
思わずでかい溜め息が漏れながら、いつも通り適当にシャワーを浴びて、お湯に浸かる。
ハーブの香りらしい良い匂いが立ちこめるのに悪い気はしない。悪い気はしないが、やっぱりお湯の色が気になる。
深い海のようなブルー。
海の底なんて見たことないけど、多分きっとこういう色なんだろう。
(これってゲソ染まんのかな……)
お風呂のお湯で色素がたまに抜けることがあるが、入浴剤の場合はどうなのか。
以前ちがやの家で泡風呂に入った時は、泡がちょっと染まったりはした。
入浴剤で少し青に染まった自分を見たら、あいつはどんな顔をするのだろう。
ちょっと見てみたい気はする。
「…………」
ちょうど良い温度の青いお湯に、何故か物足りなさを感じて、りんごは少しずつお湯に沈んでいった。