痕
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━━━━━ギッ、ギシッ
室内に響き渡る音
それは、この部屋にあるひとつのベッドから鳴っていた。
かっ、は…と乾いた声が時折漏れる。
それに混じり、あはっ、と笑い声が聞こえた。
「小エビちゃんが悪いんだよ…?
オレがいんのにカニちゃんたちばっかりとつるんでさ。
なぁ、オレを見ろよ」
ぐっ、と首に当てられた手に力を込められる。
その瞬間、ヒュッと喉がなる。
「せ、んぱ…っ」
辛うじて出た声はまともに声にもならない。
息が出来なくて苦しくなってくる。
「せんぱい…っ、はなし…っ
おねが…しま…っ」
酸素が減って頭がぼんやりしてくる。
苦しくて目に涙を浮かべてフロイドを見れば、少し腕の力が緩くなった。
「かはっ、は、けほっごほっ」
力が緩められて空気が入って噎せる。
フロイドはそんな私を見下ろしながらご機嫌だ。
「オレにすがって涙浮かべんのチョーかわいい…
小エビちゃんが生きるにはオレがこの手をどけなきゃいけないんだもんね…?
あは、気分最高。もっとオレを頼って?」
囁きながらフロイドはまた手に力を込めようとする。
話すなら今しかない。
そう思えば、いつの間にかフロイド!!と声が出ていた
「お願い、です、話を
話をしましょう…、先輩」
涙ぐみながら声を出す。
正直フロイドが素直に聞いてくれるとは思えない。
でも今ここで力を入れられたら何も変わらない。
お願いだから話を聞いて━━━
見下ろすフロイドが無言の中、ふ、と首から手が離れた。
覆いかぶさっていたフロイドも無言のまま体を起こし、私も続いて体を起こす。
「っ、先輩…?」
「話せば?
言いたいことあんでしょ」
目を合わせないままフロイドは天井を見上げる
「…あのね、先輩。
最近先輩に会っていなかったのには理由があるんです。」
チャリ、とポッケから取り出してフロイドにみせた。
音に反応してフロイドが私の手元を見る。
「これ…オレがしてるのと同じピアス?」
「私のはイヤリングですけどね。
2人に頼んでこの世界のお店とか一緒に連れてってもらったんだけど、なかなか同じのが売ってなくて。
そしたらエースが、もういっそ作っちゃえばいんじゃね?って。
型も1から作らなきゃいけなくて困ってたら、デュースも手伝ってくれて。
だから最近一緒にいたんです。」
どうしても、先輩とお揃いにしたくて。
そう付け足せば、目を丸くしていたフロイドははぁ、と頭を抱えた。
「小エビちゃんってさぁ、ほんと馬鹿だよね。
なんで言ってくれねーの?
オレがどんだけ不安だったかわかってる??
そんなん、オレが一緒に付いてったのに。
オレのこと好きなの嫌いなの?どっちなわけ??」
頬杖をついていつもの不貞腐れたような表情になる。
フロイドのこういうところに好きだなぁと思う。
「私はフロイド先輩のこと好きですよ。
それに、先輩に内緒でお揃いにしたかったのに、先輩に相談しちゃったら意味ないじゃないですか。」
むぅ。と膨れたままのフロイドを見て思わず顔がほころんでしまう。
それをみたフロイドは何かが気に入らなかったのか、私の服の襟元をめくり、首筋に噛み付いた。
「いっ…?!」
つぅ、と噛まれたところから血が出たのがわかる
ぱっ、と顔を上げてきたフロイドはにやにやしていた。
「いったぁ、フロイド先輩もしかして噛みました??
もー…制服着ても見えちゃうじゃないですかー…」
「これで小エビちゃんはオレのね。
だぁれも手出しはさせない。
もし痕が残ったらオレが責任もって番にするから安心して?」
そう言って頬にキスをする。
随分独占欲の強い人だなぁ、と息をつく。
ふと先輩が、首絞めてごめんね。と言ってきた。
ちゃんと話を聞いてくれたので許します。と頭を撫でてあげた。
後日。
当たり前のように私の首にはくっきりとフロイドに噛まれた歯型が残り、それをみたアズールはフロイドをめちゃくちゃ叱ったらしい話をジェイドから聞いた。