フェンリルは夢の中【スピンオフ、短編等】
【求婚フェイクショー】
監督生(♂)視点
ゴーストに見初められたイデア先輩。彼を救出するため、第1陣が求婚したがあっさりと振られた。続く第2、第3陣営が求婚に行くが結果は芳しくなく全員が振られてしまった。それでもゴースト達の結婚式準備は着々と進んで行く。焦ったイデア先輩が口にしたのだ。
『自分には婚約者がいる』というとんでもない嘘を。
<--オクタヴィネル寮の一室(扉前)-->
ドアにもたれ掛かり事情を聞いたNRCの教員、海老原アキラ先生は怪訝な表情で学園長を見つめている。
「……という訳ですので海老原先生には解除薬を飲んで、婚約者のフリをして頂きます」
「い・や・だ!!」
「なッ!?」
全力で拒否された。すんなり協力してくれると思っていた学園長が慌てている。
「何で俺がわざわざ女の姿で行かなきゃ行けないんですか?身長180cm以上っていう条件はクリアしてるんだからこの姿で求婚すれば良いだろ」
あ、イデア先輩の救出拒否ではなく、自身の姿を変えるのが嫌なのか。確かに海老原先生は長身だし色気もある。所謂イケメンに属する。彼に求婚されたらあの我儘お姫様もイデア先輩を諦めるかもしれない。
「……アーシェングロット君から『絶対に海老原先生には求婚させないで下さい。成仏する指輪を自分に嵌めてしまう可能性があります。』とキツく言われましてね」
「………………」
「貴方に成仏されては困りますし、何よりアーシェングロット君とリーチ君達が怒るでしょう?そうなったら手が付けられないんですよね」
「………………」
海老原先生は何も言わず、苛立たしげに学園長を睨んでいる。彼は実体を伴ったゴーストだと以前学園長から聞いたことがある。成仏出来るチャンスを先に潰されて怒っているのかも知れない。
「正直、俺が女の姿になるよりリドル君やエペル君、監督生さんが女装ないし変身薬を飲んだ方が可愛いのでは?」
「その可能性も考えたのですがね」と学園長が言い淀む。考えたのかよ!?初耳なんだが!
「何か問題でも?」
「それが…イデア先輩の婚約者(嘘)の容姿が、“スラッとした体型で黒髪のストレートロング、瞳はエメラルドグリーンの美女”らしくて…」
とリドル先輩が伝えると、海老原先生はかなり呆れた顔で盛大にため息をついた。
「それ、どこのドラゴニア君?」
こうしていても埒が明かないので、危険手当10万マドルで海老原先生が渋々了承し、ルーク先輩がメイクを手伝った。
再び部屋の扉が開いた時、思わず息を呑んだ。
身長はリドル先輩よりも高く、黒髪のロングヘア(ウィッグ)もエメラルドのカラコンも似合っている。膝丈のプリーツスカートからスラリと伸びた美脚には黒タイツ。顔には薄らとメイクが施され、清楚さと純真さを感じさせる。オクタヴィネル寮の制服を着た美女が立っていた。
海老原先生だとバレるとまずいので、とりあえず僕の名前だけ借り【NRC1年生のユウ(オクタヴィネル寮所属)】という設定になった。海老原先生は「16歳設定とかキッツ」と言っていたが仕方ない。
現場に向かっている間ルーク先輩が終始、“トレビアン!”だの“流石マドモアゼル”だの“マーベラス”だの言っていて嫌気がさして来たのか美しい顔に青筋を浮かべている。
「エペル君、転寮の相談ならいつでも乗るよ。オクタヴィネル寮に来な」とエペルの肩に手を置き、勧誘していた。
購買部前に着くとオルト君に今までの映像を自分の端末に送って貰っている。一応映像を確認してから乗り込む様だ。
「ところで、皆さんは準備しないのですか?」と映像を確認し終えた彼女が言う。戸惑いつつも「海老原先生の作戦が成功するから大丈夫じゃないですか」と必要がない事を告げると彼女は大きく溜息をついた。
「なるほど。先陣が振られ続ける理由が分かりました」
「…どういう事ですか?」
「良いですか。計画というものは予め幾つか用意しておくべきなんですよ。プランAが失敗したらプランBにすぐ切り替えられるように」
「……はぁ」
「仮に私が失敗したら、貴方達は慌てて次の準備をしなくてはいけませんよね?その為の時間があるでしょうか」
「!!」
「人だけ大量に投入しても作戦を立てていなければ無駄死にもいいとこです。そんな行き当たりばったりで成功したら奇跡ですよ」
呆れつつも彼女は僕達に説明してくれた。TPOがあり、自分達の格好はお姫様に相応しくないと。ベッタベタの少女漫画よろしく白馬の王子様に変身するべきだとアドバイスをして、彼女は1人食堂へ向かって行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
主人公視点
重々しい扉を開くと中には見慣れた生徒達が頬に赤い紅葉を作って寝転がっていた。
「貴方がイデア様の婚約者?」
「ええ、そうです」
お姫様が敵意剥き出しで尋ねる。
「お初にお目にかかります。姫君。私、イデア先輩の婚約者でNRC1年のユウと申します」
監督生の名前で自己紹介すると私が監督生だと誤認した生徒達がザワつく。
「彼を返して頂きに来ました」
と微笑みつつ、敵意を出した。
「良いわ!だったらどちらがイデア様に相応しいか勝負しましょう!」
仮とはいえ婚約者相手に勝負って何それ?泥棒猫のセリフか?と心の中でツッコミを入れる。
「受けて立ちます」
と余裕綽々で返した。ここに来るまでにオルト君からイデアさんの情報は一通り聞いていたし、まあ何とかなるでしょう。
「対決はそうねぇ…お姫様らしく歌にしましょう!」
あ、前言撤回。ダメかもしれない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふんっ!及第点と言った所ね!!」
「あら。ありがとうございます」
顔には笑顔を貼り付けるが、内心バクバクだった。歌は得意じゃないけれど、どうにか勝負にはなっているらしい。このまま歌っていたら負けてしまいそうなので、とっとと説得フェイズに移ろう。
「……ところで、お姫様。結婚の条件をかなり細かくお決めになっているそうですね」
「そりゃそうよ。誰だって幸せになりたいじゃない。その点イデア様は条件にピッタリよ!パーフェクトだわ!!」
「…………」
やれやれ。自分の事ばかりで周りが見えていないお姫様だな。そろそろ現実を突きつけてあげようか。夢から目覚める時間ですよ、姫君。
「ねぇ、お姫様。本当はもう分かっているんじゃないですか?」
「え?」
「イデア先輩と結婚しても幸せになれないって」
「そんなことッ……!!」
「ないって言い切れますか?」
「…………」
お姫様が黙った。あと一押しかな
「自分を1番に思ってくれない人と結婚したら不幸だと思いませんか?」
「…………」
「ねぇ、お姫様。貴方のことを500年想い続け、貴方の幸せの為に自分の恋心を殺し続けている人がいるんです」
「……え?」
「お話をする気、ありますか?」
問いかけるとお姫様は力なく頷いた。私は振り向いてとあるゴーストを呼ぶ。
「!!……チャビー?」
「姫様、僕はずっとーーーー」
こうして人騒がせなゴースト達は収まる所に収まり、無事結婚式を挙げたのでした。めでたしめでたし。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
案外緊張していたのか、ゴーストが消えた途端足の力が抜けた。床に蹲る私に「大丈夫か監督生!」と心配する声がする。とりあえず大丈夫と答えた。あ、監督生さんの名前借りたままだった。誤解を解いてあげないとな〜と考えていると私の上に影が出来た。不思議に思って顔を上げるとこちらに手を差し伸べるジェイド君と目が合った。
「“お見事でしたよ、海老原先生”」
「“ありがとう”」
流石にジェイド君にはバレてたかと思いつつ、手を取り立ち上がろうと足に力を入れる。
…………ん?私今何て言った?
「監督生は何て言ったんだ?」
「あれは…人魚語?」
ザワつく生徒達の言葉を反芻する。どうやら私は人魚語に人魚語で返したらしい。困惑しつつジェイド君を見上げると不敵な笑みを返された。おっと……?
「“エビちゃん先生お疲れ〜”」
「“お疲れ様です。海老原先生”」
フロイド君とアズール君までノリノリで人魚語を話しながらこっちに来る。貴方達わざとやってるよね?
イラッとしたがとりあえず生徒は救出出来たし、ゴーストは居なくなった。任務完了!お疲れ様でしたーと思っていたら最後に爆弾が投下された。
「あ、あの監督生氏。助けてくれてありがとう」
「いえ、私は……」
監督生ではないと言おうとしたら…
「こ、今度もし良ければその姿で、遊びに行きませぬか?もちろん、拙者の奢りですぞ!?」
…………要するにデートのお誘いだった。
「「「ブッ!!ハハハハハ!!!」」」
おいこらそこのオクタヴィネル生!笑い事じゃないんだよ!!
暫くして笑い終わったアズール君達がイデアさんに忠告する。
「イデアさん、彼女はオクタヴィネル寮所属なんですよ。まずは我々を通して頂かなければ、ね?」
「そ〜そ〜!オレらの許可なく勝手にデートの申し込みすんなし!ねぇ、ジェイド?」
「ええ、フロイド。彼女は我々にとって大切な方。当然デートのお誘いも却下です」
「ヒィ!し、しかし、監督生さんはオンボロ寮の生徒だと聞いておりますぞ!女装の為にオクタヴィネル寮の服を着ているだけなのではありませぬか!?」
それならば、オクタヴィネル寮とは関係ないだろうと主張するイデアさん。必死過ぎていっそ哀れに見えてきた。
「残念ながら見当違いも良いとこですね。だって彼女はーーーーーー」
「「「海老原/エビちゃん先生、なのですから/なんだから」」」
『えーーーーーーー!!!!???』
3人の見事なハモリとそれ以外の絶叫が真夜中の食堂に木霊するのだった。
かくして、ゴースト花嫁事件は無事(?)解決。
めでたしめでたし
監督生(♂)視点
ゴーストに見初められたイデア先輩。彼を救出するため、第1陣が求婚したがあっさりと振られた。続く第2、第3陣営が求婚に行くが結果は芳しくなく全員が振られてしまった。それでもゴースト達の結婚式準備は着々と進んで行く。焦ったイデア先輩が口にしたのだ。
『自分には婚約者がいる』というとんでもない嘘を。
<--オクタヴィネル寮の一室(扉前)-->
ドアにもたれ掛かり事情を聞いたNRCの教員、海老原アキラ先生は怪訝な表情で学園長を見つめている。
「……という訳ですので海老原先生には解除薬を飲んで、婚約者のフリをして頂きます」
「い・や・だ!!」
「なッ!?」
全力で拒否された。すんなり協力してくれると思っていた学園長が慌てている。
「何で俺がわざわざ女の姿で行かなきゃ行けないんですか?身長180cm以上っていう条件はクリアしてるんだからこの姿で求婚すれば良いだろ」
あ、イデア先輩の救出拒否ではなく、自身の姿を変えるのが嫌なのか。確かに海老原先生は長身だし色気もある。所謂イケメンに属する。彼に求婚されたらあの我儘お姫様もイデア先輩を諦めるかもしれない。
「……アーシェングロット君から『絶対に海老原先生には求婚させないで下さい。成仏する指輪を自分に嵌めてしまう可能性があります。』とキツく言われましてね」
「………………」
「貴方に成仏されては困りますし、何よりアーシェングロット君とリーチ君達が怒るでしょう?そうなったら手が付けられないんですよね」
「………………」
海老原先生は何も言わず、苛立たしげに学園長を睨んでいる。彼は実体を伴ったゴーストだと以前学園長から聞いたことがある。成仏出来るチャンスを先に潰されて怒っているのかも知れない。
「正直、俺が女の姿になるよりリドル君やエペル君、監督生さんが女装ないし変身薬を飲んだ方が可愛いのでは?」
「その可能性も考えたのですがね」と学園長が言い淀む。考えたのかよ!?初耳なんだが!
「何か問題でも?」
「それが…イデア先輩の婚約者(嘘)の容姿が、“スラッとした体型で黒髪のストレートロング、瞳はエメラルドグリーンの美女”らしくて…」
とリドル先輩が伝えると、海老原先生はかなり呆れた顔で盛大にため息をついた。
「それ、どこのドラゴニア君?」
こうしていても埒が明かないので、危険手当10万マドルで海老原先生が渋々了承し、ルーク先輩がメイクを手伝った。
再び部屋の扉が開いた時、思わず息を呑んだ。
身長はリドル先輩よりも高く、黒髪のロングヘア(ウィッグ)もエメラルドのカラコンも似合っている。膝丈のプリーツスカートからスラリと伸びた美脚には黒タイツ。顔には薄らとメイクが施され、清楚さと純真さを感じさせる。オクタヴィネル寮の制服を着た美女が立っていた。
海老原先生だとバレるとまずいので、とりあえず僕の名前だけ借り【NRC1年生のユウ(オクタヴィネル寮所属)】という設定になった。海老原先生は「16歳設定とかキッツ」と言っていたが仕方ない。
現場に向かっている間ルーク先輩が終始、“トレビアン!”だの“流石マドモアゼル”だの“マーベラス”だの言っていて嫌気がさして来たのか美しい顔に青筋を浮かべている。
「エペル君、転寮の相談ならいつでも乗るよ。オクタヴィネル寮に来な」とエペルの肩に手を置き、勧誘していた。
購買部前に着くとオルト君に今までの映像を自分の端末に送って貰っている。一応映像を確認してから乗り込む様だ。
「ところで、皆さんは準備しないのですか?」と映像を確認し終えた彼女が言う。戸惑いつつも「海老原先生の作戦が成功するから大丈夫じゃないですか」と必要がない事を告げると彼女は大きく溜息をついた。
「なるほど。先陣が振られ続ける理由が分かりました」
「…どういう事ですか?」
「良いですか。計画というものは予め幾つか用意しておくべきなんですよ。プランAが失敗したらプランBにすぐ切り替えられるように」
「……はぁ」
「仮に私が失敗したら、貴方達は慌てて次の準備をしなくてはいけませんよね?その為の時間があるでしょうか」
「!!」
「人だけ大量に投入しても作戦を立てていなければ無駄死にもいいとこです。そんな行き当たりばったりで成功したら奇跡ですよ」
呆れつつも彼女は僕達に説明してくれた。TPOがあり、自分達の格好はお姫様に相応しくないと。ベッタベタの少女漫画よろしく白馬の王子様に変身するべきだとアドバイスをして、彼女は1人食堂へ向かって行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
主人公視点
重々しい扉を開くと中には見慣れた生徒達が頬に赤い紅葉を作って寝転がっていた。
「貴方がイデア様の婚約者?」
「ええ、そうです」
お姫様が敵意剥き出しで尋ねる。
「お初にお目にかかります。姫君。私、イデア先輩の婚約者でNRC1年のユウと申します」
監督生の名前で自己紹介すると私が監督生だと誤認した生徒達がザワつく。
「彼を返して頂きに来ました」
と微笑みつつ、敵意を出した。
「良いわ!だったらどちらがイデア様に相応しいか勝負しましょう!」
仮とはいえ婚約者相手に勝負って何それ?泥棒猫のセリフか?と心の中でツッコミを入れる。
「受けて立ちます」
と余裕綽々で返した。ここに来るまでにオルト君からイデアさんの情報は一通り聞いていたし、まあ何とかなるでしょう。
「対決はそうねぇ…お姫様らしく歌にしましょう!」
あ、前言撤回。ダメかもしれない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふんっ!及第点と言った所ね!!」
「あら。ありがとうございます」
顔には笑顔を貼り付けるが、内心バクバクだった。歌は得意じゃないけれど、どうにか勝負にはなっているらしい。このまま歌っていたら負けてしまいそうなので、とっとと説得フェイズに移ろう。
「……ところで、お姫様。結婚の条件をかなり細かくお決めになっているそうですね」
「そりゃそうよ。誰だって幸せになりたいじゃない。その点イデア様は条件にピッタリよ!パーフェクトだわ!!」
「…………」
やれやれ。自分の事ばかりで周りが見えていないお姫様だな。そろそろ現実を突きつけてあげようか。夢から目覚める時間ですよ、姫君。
「ねぇ、お姫様。本当はもう分かっているんじゃないですか?」
「え?」
「イデア先輩と結婚しても幸せになれないって」
「そんなことッ……!!」
「ないって言い切れますか?」
「…………」
お姫様が黙った。あと一押しかな
「自分を1番に思ってくれない人と結婚したら不幸だと思いませんか?」
「…………」
「ねぇ、お姫様。貴方のことを500年想い続け、貴方の幸せの為に自分の恋心を殺し続けている人がいるんです」
「……え?」
「お話をする気、ありますか?」
問いかけるとお姫様は力なく頷いた。私は振り向いてとあるゴーストを呼ぶ。
「!!……チャビー?」
「姫様、僕はずっとーーーー」
こうして人騒がせなゴースト達は収まる所に収まり、無事結婚式を挙げたのでした。めでたしめでたし。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
案外緊張していたのか、ゴーストが消えた途端足の力が抜けた。床に蹲る私に「大丈夫か監督生!」と心配する声がする。とりあえず大丈夫と答えた。あ、監督生さんの名前借りたままだった。誤解を解いてあげないとな〜と考えていると私の上に影が出来た。不思議に思って顔を上げるとこちらに手を差し伸べるジェイド君と目が合った。
「“お見事でしたよ、海老原先生”」
「“ありがとう”」
流石にジェイド君にはバレてたかと思いつつ、手を取り立ち上がろうと足に力を入れる。
…………ん?私今何て言った?
「監督生は何て言ったんだ?」
「あれは…人魚語?」
ザワつく生徒達の言葉を反芻する。どうやら私は人魚語に人魚語で返したらしい。困惑しつつジェイド君を見上げると不敵な笑みを返された。おっと……?
「“エビちゃん先生お疲れ〜”」
「“お疲れ様です。海老原先生”」
フロイド君とアズール君までノリノリで人魚語を話しながらこっちに来る。貴方達わざとやってるよね?
イラッとしたがとりあえず生徒は救出出来たし、ゴーストは居なくなった。任務完了!お疲れ様でしたーと思っていたら最後に爆弾が投下された。
「あ、あの監督生氏。助けてくれてありがとう」
「いえ、私は……」
監督生ではないと言おうとしたら…
「こ、今度もし良ければその姿で、遊びに行きませぬか?もちろん、拙者の奢りですぞ!?」
…………要するにデートのお誘いだった。
「「「ブッ!!ハハハハハ!!!」」」
おいこらそこのオクタヴィネル生!笑い事じゃないんだよ!!
暫くして笑い終わったアズール君達がイデアさんに忠告する。
「イデアさん、彼女はオクタヴィネル寮所属なんですよ。まずは我々を通して頂かなければ、ね?」
「そ〜そ〜!オレらの許可なく勝手にデートの申し込みすんなし!ねぇ、ジェイド?」
「ええ、フロイド。彼女は我々にとって大切な方。当然デートのお誘いも却下です」
「ヒィ!し、しかし、監督生さんはオンボロ寮の生徒だと聞いておりますぞ!女装の為にオクタヴィネル寮の服を着ているだけなのではありませぬか!?」
それならば、オクタヴィネル寮とは関係ないだろうと主張するイデアさん。必死過ぎていっそ哀れに見えてきた。
「残念ながら見当違いも良いとこですね。だって彼女はーーーーーー」
「「「海老原/エビちゃん先生、なのですから/なんだから」」」
『えーーーーーーー!!!!???』
3人の見事なハモリとそれ以外の絶叫が真夜中の食堂に木霊するのだった。
かくして、ゴースト花嫁事件は無事(?)解決。
めでたしめでたし