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フェンリルは夢の中【スピンオフ、短編等】

【重要メモリアル】
<主人公視点>

「写真を返すのはせめて修正してからにしませんか」

アズール君は私の手にある写真を見て、写真の修正を提案した。
もちろん却下だ。せっかく残っている写真に手を加えなくても良いだろう。もう見ることが出来ない昔のアズール君達の貴重な写真だし、何より可愛いのだ。修正なんてさせない。
ちなみに、1枚複製したのは内緒だ。アズール君に知られたら捨てられてしまう。

「海の中のエレメンタリースクールってこんな感じなんだね」

小さい子ども達が一列に並んで記念撮影している写真を眺める。
陸の上でしか生活していない人間の遠足なんて退屈なものだ。安全帽を被ってリュックサック背負って近場に遊びに行くだけなんだから。遠足というかただの散歩である。

「ふんっ!アキラさんだって昔の僕を太っていると思っているんでしょう!?」

「いや、全然。むしろ、ふわふわしていて可愛いと思うよ?」

確かに昔のアズール君はふくよかな体型ではあるけど、まんまるで可愛いと思うのにな。触り心地良さそうだよね。子ども特有のモチモチな肌。
うーん、人魚の感覚と人間の感覚って違うのかな。文化とか美意識の問題だろうか。


「というか、アズール君ご飯少なすぎ!何そのガリッガリのモデルみたいな食事!本当に17歳の男子高校生?もっと食べて!」

昼食にサラダだけとかどういうこと?私に喧嘩売ってんの?言い値で買うわよ。

ハッ!もしかして、いつもは男装しているけど実は女子とかそういう少女漫画展開なの?

「やめてください。違います。ちゃんと男です」

「あれ、私口に出してた?」

出てましたね。とジェイド君に言われた。

「でも、もっと食べるべきというアキラ先生の意見には僕も賛成です」

「オレも〜アズールはもっと食べるべきだと思う!」

そう言ってフロイド君は唐揚げをアズール君のお皿に乗せた。

「フロイド!!」

「返品は受け付けておりませ〜ん」

あ、良いなそれ。私もやろ。
トマトパスタをスプーンとフォークを使って少し取り分け、アズール君の皿に盛り付ける。
隣に座っていたジェイド君は別のお皿にキノコリゾットを取り分けて、アズール君の所に置いた。ナイスチームワーク。

「ジェイド!アキラさんまで!!」

「別に太っていてもいなくてもアズール君はアズール君じゃん。気にする必要ないと思うけど。それに食べたらその分運動すれば良いだけだよ。運動取り入れた方が食事制限するよりずっと健康的だよ」

過度なダイエットは精神的にも肉体的にもストレスだ。成長期の17歳がするべきじゃない。摂食障害になってからでは遅いのだ。きちんとした食事超大事!!

アズール君は尚も「1日の摂取カロリーが…今日の夕飯を減らして…」などと言っているので、もし今日の夕飯を減らすようなら今度は口に直接放り込んでやろうと密かに画策するのだった。



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