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俺は「優等生」だった。
授業は真面目に受けたし宿題の提出だって忘れたこともない、困ってる奴がいればフォローしたし、勉強も真面目にしてたから分からないことがあれば友達にもクラスの奴にも教えれたし、先生の手伝いなんかもよくやっていた。それは今でも悪いことだとは思ってないしいい経験だったと思う、でもこれが当然のことになっていたのは馬鹿だったと阿呆だったと今では思っている
宿題や勉強は学生の本分だからいい、先生の手伝いもまぁいい、内申はあがるし周りから印象も良いからな、ただ困っている奴のフォローとか1人になりがちな奴を虐められないように孤立しないようにするのは俺が気にすることではない、それで俺が孤立しかけるのは本当に馬鹿らしい
「あいつ先生にめっちゃ媚び売ってるよなぁ」
「あーわかる、なんか係でもないし呼ばれてもないのに"手伝います"ってよくやってるよな、あれ絶対内申点目的だって」
「だよなぁ!それにさ全員で頑張ろうとか仲良くしようとかうっぜぇ時ねぇ?」
「あるある、勝手にやるから関わんなって時あるわ」
「あと」
「あと?」
「顔が良くて女子にモテんの腹立つ」
「それな!!!」
「腹立つしアイツのこと無視する?」
「いいねぇとりあえず男だけでやるか」
書き終わった日誌を先生に提出しに行こうとして教室を出た俺は先生に渡す書類がもう1つあったのを思い出して教室に帰ろうとして聞こえた声、放課後の人が少なく教室で話す彼等の声はやけに大きく聞こえた、教室の戸にかけたその手を俺はゆっくりと降ろした
あぁこんなこと思われてたのか、俺のやってたことは意味は無かったのかもしれないな、明日から無視されんのかもなとか色々考えたが、全部聞かなかった事にして日誌を先生に出してこようと教室に背を向けようとした時、さっき話してた奴らとは別の声が聞こえた
「ねぇ、さっきからうるさい、本人いないとこで文句言ってさダサいと思わないの?それだから女子にモテないんだよ」
「んだと?」
「ダサいって言ったの、その耳は飾り?」
「お前!!」
「殴る気?そしたら俺、先生に言うからイジメられましたってイジメ止めようとしたら殴られましたって、俺居眠り多いけどさ君らより先生に信用されてる自信あるんだよね」
「ぐっ……普段寝てるだけのくせに!」
「睡眠学習してるだけでーす、それに?君らと違って俺成績はいいし提出物もちゃんと出してるし?補導されかけた、なんてこともないんだよね、先生がどっち信用するかなんて分かりきってるよね」
教室から聞こえてきたのはそんな声、まさかそんなことをアイツが言うなんて思ってもなくて驚いて持っていた日誌がするりと廊下に落ちてバサッと大きな音を立てた、それが聞こえたのか戸があいてアイツと目があった
「あ……」
「あ、紫藤君……もしかして全部きいてた?」
「聞いてたな」
「そっか………じゃあそこの2人謝って」
「「はぁ??」」
「はぁ?はこっちの台詞なんだけど、悪口言ってイジメようと
してたんだから当然じゃない?悪いことしようとしてたし謝るのは当然だよね、ほら早く謝って」
いつも眠そうに授業を受け話し方もゆっくりで微笑んでいるからか癒し枠扱いされてる緑谷が真顔でそう捲し立てる、その勢いに押されたのか
「……すまん」
「……わりぃ」
とボソっと2人が言った
「え?声がちっさくて聞こえないんだけど」
「すいませんでしたー」
「ごめんなさい」
「なんて?」
「すいません!でした!って言ってんだろ!!」
「ちゃんと謝ってんだろ!!」
「本気に見えなかったし、まぁ紫藤君が許すなら別にいいけど」
正直なところ俺はそこまで怒ってなかったし優しくすんの意味なかったなぁとか思ってた、まぁショックではあったからなんとなく謝られて若干スッキリはした
「俺は別にそこまで気にしてねぇしいいよ」
「えぇあれで許しちゃうの?もっといじればいいのに」
「いいんだよ、今度コイツらこと女子にチクるし」
「あ、それならいっか女子に嫌われたら大変だもんねぇ、そういえば紫藤君なんでそこいたの?」
「あ!書類とりにきたんだよ俺は」
「そうなんだ、俺も出したいのあるし一緒に先生のとこ行かない?」
「いいぞ」
ギャーギャー文句を言い出した2人を放置し緑谷と話をしながらその日は帰った、そして俺はその日から"優等生"ではなくなった
「すっちーそろそろ起きろ」
「んんっなぁにいるまちゃん?もう朝?」
「もう朝?じゃねぇよ授業は真面目に受けろや!」
「だって眠いもん、それにわかんないとこはいるまちゃんが教えてくれるでしょ?」
「飯1回奢りかお前が作ったの食べさせろ」
「なら今日うちでご飯食べていきなよー今日俺が作る予定なんだぁ」
「ま?なら今日お邪魔するわ」
授業は真面目に受けるし提出物もする。だけどそれ以外はあまりしなくなった、やる意味がないとあの日思ってしまったから
だから今の俺はもう普通の生徒で
「ねぇいるまちゃん今日泊まってよ?」
「目的はそっちだな?いいぜ恋人の願いくらい叶えてやるよ」
「しっー学校では内緒」
すちの恋人である