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デートといえばこれなのかなってよくある恋愛映画を選んだ、全部想像通りで鼓動が高鳴ることはなくってそんな俺の隣で展開にドキドキしてるんだろうけど少し顔を赤くしてる彼女、そんな彼女を見ても可愛いとも楽しそうだなとも思うことなく、これ何が楽しいんだろうって思ってしまう俺は彼氏失格なんだろうな

「楽しかったね!!」
「そうだね」
「また一緒に見に来ようね!」
「……」
「すち君?」
「……そうだね」

きっと次なんてない、そもそも俺は君が好きな訳じゃない勢いに押し負けて、どうしても付き合ってほしい、嫌だって思ったら別れるからって何度も何度も言うから面倒になってOKしただけ、それに多分だけど俺から言わずともきっと君から言うだろうから、それまでは恋愛ごっこをする

そして、ある日のデート終わりに予想通りに君は言った

「ねぇ、すち君私たち別れよっか」
「いきなりだね」
「うん」
「理由、聞いてもいい?」
「だってつまんないんだもん、何でも出来てカッコイイし隣にいると優越感はあるけど、嫉妬してくれないじゃん」
「そうだね」

だって別に取られたって構わない、浮気をするなら別れるけどそうじゃないなら別に特段困っていないから別れる理由がない虫除けになるから相当面倒なことにならなきゃこの状態を俺は維持してた

「それにさ、他に好きな人がいる人と付き合うの意味ないなって私が損するだけじゃんって思ったんだよね」
「……いつ気づいたの?俺隠してたつもりなんだけど」
「まぁつい最近かな?女の勘ってやつよ」
「女の子って怖い」
「怖くないわよ、私は貴方が嘘つくの下手なくせに感情を隠すのが上手いほうが怖い」

隠さなきゃ一緒にいられないと思ったから、必死に隠して表に出さないように普通の友達で親友であろうとしてただけなんだけどな

「私これでも一途な愛が欲しいタイプなの」
「見えないね」
「えぇひっどーい少しくらいは否定してくれても良くない?」
「俺嘘つくの下手だから素直に言った方がいいかなって」
「気にしてるの?」
「ちょっとね」
「そういうとこ可愛いから気にしなくてもいいわよ?」
「可愛いは嫌なんだけど」
「拗ねちゃって可愛い、手放すの惜しいなぁ」
「別れ話してたんだった……」
「そうよ?まぁ別れても友達ってことでいいかしら」
「じゃあ今日から友達ってことでいい?」
「いいわよ」

さっぱりと別れ話にしてはあっさりと別れることを決めて、それじゃあまたねと手をふった、歩き出す彼女を見送っていればくるりと振り返って

「恋愛相談ならいつでも受け付けてるわよ、みこと君頑張っておとしなさい!」

そう言って笑った彼女は今まで見てきた中で1番可愛かったと思うけどやっぱりドキドキはしなかったあたりやっぱり俺は彼氏失格だったんだろうなぁ

「……簡単に出来ないから隠してたんだけどな」

本当にいつから気づいてたんだろ話題にしたの片手で数える程度だったはずなんだけど

「最初からかもなぁ」

彼女に言われたから、みたいで癪だけど好きって気持ちを隠しきれてないのなら隠せなくなってるのであれば、知らぬ間にバレて離れられるより当たって砕けたほうがいい、受け入れてもらえるかはわからないけどやらないよりかはマシだろう

「ちょっと頑張ってみようかな……」


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