SS


指にとったクリームをそっとかさついた唇にのせて塗り伸ばして

「多くとりすぎちゃった」

なんて言ってわざとらしいかなって思いながら、隣にいる彼に話しかけるんだ

「あっ!そうだみことちゃんもらってよ」
「えっ俺は大丈夫、自分のあるし」
「いいじゃん、ほらこっち向いて」

きっと大丈夫って言うと思ったよ、俺よりまめにリップ塗ってるし、かさついてるのはあんまり見たことがない、いつもつやつやだし触りたくなる唇してる

「それにもらうってどうやるんよ?」
「えぇどうすると思う?」
「わからんから聞いとるんやんっ」
「こうやってするの」

俺の顔を見てるみことちゃんの唇にちゅっと唇を合わせてクリームをそっと指で伸ばして、これで完璧!て指を離せばみことちゃんは今起こったことを理解したのか徐々に顔が赤く染まって声を荒らげる

「す、すす、ちくん!!?」
「ふふ、ちょうど良くなった」
「すち君!!ちょうど良くなったぁやないの!!な、なに?え??」
「口移し、しただけだよ」
「そ、そうかもしれんけどぉ!!なんでっあんな!!うぅ」

顔を赤く染めたまま、うぅとかあぁーなんて言いながら呻いてる、みこちゃんは可愛いなぁ…初めてじゃないのに何時までも可愛い反応してくれるんだから、からかいたくなるんだよなぁ

「すち君なんで!他にもあったやろ!……たぶん」
「俺がキスしたかっただけ」
「なら言ってくれれば!」
「してくれたの?」
「う"っ」
「みこちゃん恥ずかしがって素直にしてくれないもんねぇ?」
「やってぇ……」
「そこも可愛いけどね、たまにはみことからしてね」
「はい……」

俺からするのもいいけどたまにはみことちゃんからして欲しいんだよね……普段の仕草さと声色で俺のことが好きなのはすっごい伝わってくるし抱きついてくるのも前は俺のがしてたんだけど今は俺よりみことちゃんのがしてくるようになったから嬉しいんだけど、キスはしてくれないんだよねぇ……いつしてくれるかなぁ

「……んっと……すち君!」
「どうしたのみことちゃん」

チュッ

さっきリップを口移ししたから少しペタッとしてる唇が頬に触れた、ははっこれはずるい

「今はこれで許して」
「うん……」
「顔、真っ赤やん」
「まさかそんな、すぐしてくれるとは思ってなかったから……なんか照れる……」
「……えっと俺も恥ずいんやけど」

お互いに顔を真っ赤にして下を向いた、もう、みことちゃんはこういう油断してるところにするんだから……
もう恥ずかしいし誤魔化しちゃえ!!真っ赤になってるみことちゃんに正面から抱きついた

「みこと、好きだよ」
「お、俺も!!すきだよ!」

からかおうと思っただけだったの、これは誤算だった……みことちゃんは本当に読めない人だなぁ……そういうとこも好きだけど







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