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誰もいない静かな教室で、腕を枕にしてすよすよと幸せそうに寝てるすち君。俺が委員会だったから先に帰っててと言えば終わるまでここで待ってるって言ってくれたから委員会終わって速攻で帰ってきたんだけど、ぐっすりやねぇ…起こすの申し訳なくなってくるなぁ

「すぅー」
「すちくーん」
「んんっみことちゃ、ん?」
「おまたせ、終わったから一緒に帰ろ」
「…おつかれ、さま…かえる…ふぁ…ねむ、い」

肩を揺らして声を掛ければまだ寝ぼけてるものの反応が返ってくる、欠伸をしつつ立ち上がって開けっぱなしになってた窓を閉めにいくすち君、ふわっと風が吹いて髪が靡き目にかかったのが邪魔なのか耳に髪を掛けて空を見上げた、その様子がとても綺麗で窓から見える夕焼けも相まって1つの絵画みたいだった

「みことちゃん帰ろ」
「…うん」
「誰もいないし、手…つなご?」

見惚れてればすち君がこちらに手を伸ばして夕焼けに染まる教室でもわかるくらいに顔を真っ赤にさせながらそう言ったから俺も普段はしないことを提案してみる

「ええよ、今日は俺の自転車に乗ってく?」
「乗る…」

本当は二人乗りはアウトなんやろうけど、ダメなことほどしたいやん、それに一度はしてみたい恋人と二人乗り

二人で手を繋いで誰もいない廊下を歩いて自転車置場に向う、まばらに自転車が残ってるもののここにいるのは二人だけ、2人のカバンをカゴにつっこんで鍵を差してカシャンっとスタンドをあげて自転車に乗ってすち君に声をかける

「すち君、乗って」
「うん、失礼しまーす」
「なんやそれ、ちゃんと捕まっててな」

横乗りに座ったすち君が俺の腰あたりを掴むのを確認して自転車を漕ぎ出す

「うわっ」
「大丈夫?すち君」
「大丈夫、思ったよりはやくてびっくりしただけ」
「もうちょっとゆっくり漕ごうか?」
「いいよ、しっかり捕まってるし大丈夫」

そう言って俺に寄りかかって腰に手を回す
…俺があんまり大丈夫じゃない、近い…ぎゅっと掴んでくるの可愛いなぁ

「みことちゃんあったかい…」
「すち君!寝ちゃ駄目だからね!」
「寝ないよぉ…」
「声は寝そうやけど!」

後に乗るすち君から今にも眠そうな声がするから寝てないか心配しながら自転車を漕いですち君を送り届けた。
自転車の二人乗りはもうしない、ひっついてくるすち君が可愛すぎて俺の理性がもたないから

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