SS



いつもの何でもないお互いが作業して時々相談する、そんなよくある通話中に何か楽しそうにいいものでも見つけたかのようにワクワクが伝わるような声が耳元から聞こえた

「なぁなぁっ!」
「なぁに?どうしたのみことちゃん何かいいものでも見つけた?」
「え、なんでわかるん?」
「声が楽しそうだもの」

不思議そうに首を傾げてるのが想像できる、本人はわかってないんだろうけど言葉に感情が乗ってるから分かりやすいし、動きに素直にでるから見てて飽きないんだよね

「それで、何があったの?」
「あっ!外見てよ!今日さ、月が綺麗だよ!」

カーテンを少し開けて外を見れば雲がかかってはいるけど綺麗に光る月が見えた、月が綺麗か……

「……俺の方はちょっと曇ってて見にくい、かなぁ」
「えぇっ!そうなん……残念…あっ!写真とればいいんか、すち君ちょっと待っとって!」

バタバタと通話先から音が聞こえた、言った通りに月を撮りに言ったんだろうな

「………告白されたのかと思った……みことちゃんだし、ちがうよね?」

と思わず口から言葉が漏れる、変に緊張しちゃったよ……"月が綺麗ですね"有名な言葉だけど、咄嗟に返す言葉なんて思い出せないし、みことちゃんがそんな気があったかも分からない、上手く返す言葉を言えても"なにそれ?"って思われたら辛いしなぁ……

「ただいまっ」
「おかえり」
「綺麗に撮れた?」
「……っそれがなぁ俺の方も曇っちゃったんよ」
「あれま、残念」
「見てもらいたかったのにー」
「そんなに綺麗だったの?」
「うん、綺麗だった!!」
「そっか今度一緒に天体観測でもいく?」
「それええな!今度行こ!」
「うん、じゃあまた後で予定決めよっか」

作業途中だけど検索欄に"天体観測 必要なもの"と放り込んで必要なものをリストアップする、何となくで言ったけど一緒に出掛ける予定出来たからいっか、楽しみだな


ネットで探しものをしてたら出てきた記事、有名な文豪が"ILoveYou"を"月が綺麗ですね"って訳した話、なんかええな!素敵だなっ!て思って自分もつかってみたくなった
隠してるけど俺はすち君が好きだ、一緒に活動してお話してるうち大好きになってた、俺はこの気持ちを伝えたらすち君に迷惑かけるやろうしこの気持ちは隠しとこうって一生秘密にしとく!って決めとったけどこれなら言ってもええよね?

78/92ページ
スキ