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学校の屋上、そこから悲しげな顔で一点を見つめるすち君
そこには一人の男子生徒と仲良さそうに話す女子生徒、それだけならまだよかったのに2人はぐっと近づいて顔が近づくのが見える
「あんな奴やめといたらええのに」
「みこと、先輩…」
「なぁすち君、俺にしとかへん?」
「え…」
あの男子生徒あれは一応すち君の彼氏だ、認めたくなんてあらんへんけど、それに俺は付き合っとるの知っとるけど基本は隠しとるから、堂々と手を繋ぐことも、あれだけ近い位置で話したり名前を呼び捨てにしたりすることも出来ない、学校では先輩と後輩の関係のまま
「俺なら絶対離さへんよ、あんなすち君放って浮気する奴なんか捨てて俺にしろよ」
「でも、だっておれ」
俺の声に振り向きつつ視線はまだアイツに向いてる、わかっとるすち君は本気でアイツが好きなんだ、アイツはただの遊びやのに…まぁ…それを本人に言ったって悲しむだけだから言わんけど
「アイツのことが本気で好きなんは知っとるよ、それ忘れるくらいに愛したるから、なぁすち君好きだよ、俺のになってよ」
「俺は…」
「すち君、この際俺と付き合わんくってもいい…アイツと別れて」
「それは…いやだ…」
「そう、やろね…わかった、なら」
「なら…?」
「俺のこと好きにさせるから、覚悟しとって?」
「……え…?」
俺の言葉にずっと驚いてるすち君だけど視線はチラチラと下を向いてる、それがちょっとムカつく
「とりあえずすち君、こっちおいで」
俺はすち君の手を引いてぎゅっと抱きしめる
「わ!」
「今はアイツ見ないようにしな?辛いだけやろ?」
「…うん」
素直に顔を俺の肩に埋めるすち君、たぶん目が離せんかっただけなんやろうな泣いとるわけやなさそうやけど俺の服を掴む手に力が入っとるから泣かんようにしてるだけな気がする
「……よし、アイツおらんくなったからええよ」
「ありがとう…ございます…」
「ええよ、すち君もう一回伝えとく、好きだよ、俺こと好きにさせてみせるからアタックするの許してね」
「俺はあの人が好き、それは変わらない…それでもいいなら好きにしてください」
「うん!好きにする!じゃあ一緒に帰ろっか」
すち君が逃げてしまう前に手を繋いで屋上の扉に向かう、慌てるすち君の声が聞こえるけど無視して手を引いていく、これからはもっと強気でいかんとなじゃないときっとすち君は落ちてくれないやろうから
「すち君好きだよ」
「俺は普通です」