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料理を作るすち君は格好いい、昔バイトしてた頃にも他の人が料理するところを見ることはあったけどすち君は手際がものすごく良い、マルチタスク苦手やって言ってたけど料理してる時は別なんかなぁ…下ごしらえをしながら使った道具洗ったり何かを煮込みながら他の作業をしたりしてるのをよく見る

「すちくーん」
「ん?なぁにみこちゃん」
「今日は何作るん?」
「肉じゃが、今日は和食食べたい気分なんだ」
「わぁ楽しみ!」

トントンッと野菜を切る音が響く、お鍋に何か入れて炒めたり……なんか暇やな…料理しとるすち君は楽しそうやし手伝ってもええんやけど…手伝おうとすると座ってていいよーって言われちゃうしなぁ…んー今包丁使っとらんしいいかな




料理を作ってればじーっと俺を見てるみことちゃん、んー見つめられてると作りにくいんだけど…真剣に見てるの可愛いし止めれないんだよねぇ

「なぁすち君」

材料を切り終えて軽く炒めて、グツグツと煮込んでいれば後ろから抱きついてきて鍋の中を覗き込むみことちゃん

「どうしたのみことちゃん?」
「構って?」
「ふふ、ごめんね、今手が離せないからこれで我慢して」

振り向いてちゅっとリップ音を立てて頬にキスをすれば、顔を真っ赤にさせて「きす、されちゃった…」と目をパチクリとさせてて可愛らしい

「嫌だった?」
「いや、やない…嬉しい」
「よかった、あとでちゃんとキスしようね」
「ふぇ……」
「あと煮込むだけだからもう少し待っててね」


ニッコリと笑うすち君は俺にキスしてからなんだかさっきよりも楽しそうに鼻歌を歌いながらお鍋の様子を見ている、びっくりした…まさかキスされるとは思ってなかった…これだからすち君は…あーもう何だかアツなってきたぁー!もう顔絶対赤いやんこれ

「おれむこうおるね」
「うん、出来たら持って行くからまってて」
「楽しみにしとる…」

料理出来上がるまでに冷静になろう…やないと多分味わからん気がする…せっかくすち君が作ってくれる料理やもんちゃんと味わいたい、あー料理完成するまでに冷静になれるかなぁ…

「みことちゃん」
「わぁ!!」
「出来たよ」
「え!そんな時間経っとったの!」
「ふふ、なに考えてたの?ほら食べよ」
「あ!美味しそう!」
「でしょ?だから温かいうちに食べよ」
「うん!」

冷静になんてなれへんかったけどすち君の料理はいつも通り美味しかった、ごちそうさまでしたと手を合わせたら食器を片付けるのは俺の仕事、本当は使ったものお鍋とかお玉とか洗いたいんやけど、いっつもすち君は先に洗っちゃう任せてくれてええのになぁ…

「よし!終わり!」
「あ、みことちゃん終わった?」
「終わったよー」
「ちょっとこっちおいで」

くいくいと手招きするすち君に近づいけば

ちゅっ

「っ!」
「かーわいい、さっき後でねって言ったでしょ?」
「す、すちくん!!急な、急なんは!駄目やって!!」
「言えばいいの?」
「良くない!!」
「あははっまぁ俺がしたい時にするから常に覚悟しといてね」

俺常に覚悟せなあかんの…?すち君普段から格好いいのに?スキンシップ激しいから距離近くてドキドキしとんのに?

「すち君ずるい!!俺ばっかドキドキしとるやん!!」
「ははっ!俺もしてるからお互い様だよ」
「ほんまぁ?」
「ほんま、ほんま」

クスクスと笑うすち君をじーっと見る俺
ほんまなんかなぁ……まぁ…ええか……楽しそうに笑っとるし…別に突然なんが嫌なわけやないし……言われたってどうせドキドキするんやから

ほんま常に格好いいのずるいなぁ



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