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11月いきなり寒くなって手をこすりながら歩いてれば前方に歩くすち君を発見した、驚かせようと思ってゆっくりと近付いて制服の下に着てるパーカー、フードの下が暖かそうやからそこにスッと手を入れた

「ひゃあっ!え……なに?え、?」

ビクッと体が跳ねて驚きながらこちらを振り向き俺の顔をみて怒りだした

「みこちゃん!!いきなり手いれないでよびっくりしたじゃん!」

いやまぁ…驚かすためにやったし怒られるのはわかっとったけど…

「…俺もびっくりした…」
「え?」
「ひゃってひゃって言うた…めっちゃ可愛い反応するやん…」
「みこちゃん?」

めっちゃ可愛い反応するやん…ひゃって…今でそんな声出したことないやん…もしかしてすち君背中弱いんかなぁ覚えとこかな…

「…すち君…ずるい…」
「ずるいって何よ!せめて声かけてからしてよ!」
「それじゃ意味あらへんやん驚かすためにやったんやから」
「もう!驚かせないでよ…おかげで目が覚めたけど…」
「ならええやん!」
「……そうかも?」
「納得しちゃうんや…」

素直に納得しちゃうの可愛いけど心配になるなぁ…どっかで騙されてたりしとらん?不安やなぁ…
すち君のフードから手を抜いて手に息を吐きかける、今日ほんまにさむぅ…

「みことちゃんもしかして寒いの?」
「寒いよ…すち君は寒くないん?」
「俺は厚着してきたから大丈夫だよ、んーみこちカイロつかう?」
「え、いいん?」
「まぁあと少しで学校だし…それとも手繋いでいく?」

ポケットに入れてた手を俺に差し出しながらからかうように笑うすち君、これは…冗談だよって言ってまたポケットにしまうやつやろ…なら…逃げられる前に捕まえる

「繋ぐ!」
「あ、」
「逃さへんよー」
「まぁいっか、仲良く手繋いで登校しようか」
「いこいこーすち君手をあったかぁ」
「さっきまでカイロ握ってたからねぇ」

少し顔を赤くしながらもそのまま手を繋いで歩いてくれる、実はすち君も手を繋ぎたかったりしたんかな…?だとええなぁ

二人で手を繋いで歩いてれば反対側から歩いてきたいるま君がイヤホンを外しながら不思議そうに俺達を見つめて当然の質問をしてきた

「お前らなんで手繋いで歩いてんの…?」
「あ、いるまちゃん」
「いるま君だ!」
「流れ、かな?」
「男同士で手を繋ぐ流れってなんだよ、意味わかんね」
「たしかに?」
「せやな?」
「なんでお前らがわかってないんだよ」

俺達は二人して疑問形で答えてしまい思わず目を合わせて笑ってしまう

「あはは」
「ははっなんでやったんやろな?」
「寒かったからだっけ?」
「それや!まぁあったかいしこのまんまでええやろ」
「いいけど、門のとこまでねぇ」

俺が繋いでたいからこのまんまがええの、とは言わないけど別にすち君も手を繋ぐこと自体は拒否せんから多分同じ気持ちやろ、と信じとる、今日は朝から幸せ!きっと運勢よかったんやろな見とけばよかった!

「まぁお前らなら違和感ねぇしいいか…」


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