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まぁるいお月さまが輝く学校の帰り道を2人で歩く
少し離れた距離で隣を歩くすちがこちらを見て口を開く
「ねぇ、みこちゃん」
「なぁにすち君」
「みこちゃんなら、どうやって訳す?」
「何を?」
「今日授業でやったじゃない、夏目漱石が"I Love You"を月が綺麗ですねって訳したって話し」
「あぁ言っとったねぇ…先生が実はそう言った証拠残ってないとか言ってたなぁ」
「ちょっとびっくりだよね、でさみこちゃんならどう訳すのかなぁって」
「えぇ?どうやろ…」
んー難しいなぁ、普通なら好きとか愛してるって訳すけどなぁ多分すち君が聞きたいのはそういうのやないよなぁ
「んん?なんやろ難しいなぁ、俺ならかぁ」
「そう、みこちゃんならどうするの?」
「"俺は貴方のそばにいます"」
「ふふっいいねぇ…そばにいてくれるんだ」
「俺なら、やけど…俺は、愛してる人とはずっと一緒にいたい、やからそばにいます、かなぁ…」
「それなら返しは、"俺も貴方のそばにいます"とか?」
「いてくれるん?」
「いるよ、俺はずっと一緒にいるよ」
これ、自惚れてええんかな、そうやって言ってくれるってことは俺そう思ってまうよ?
「なぁすち君」
「なぁに?」
「すち君ならどう訳すん?」
「"君に溺れてる"」
「へぇ」
「俺はみこちゃんに溺れてるんだよ」
俺、本気にするよ?単純な男だから好きな人からそんなん言われたらさ期待しちゃうよ
「俺に溺れとるん?」
「そう、自力じゃ抜け出せないくらいに溺れてる、ねぇみこと"月が綺麗ですね"」
「"星も綺麗ですよ"」
まぁるい満月を背に笑うすち君は月なんかより綺麗でスマホ取り出して写真を撮る余裕なんてなくて、ただ綺麗に笑うその姿を目に焼き付けて心のアルバムにそっとしまった、こんなん反則やろ
「みこと、好きだよ」
「俺も好きだよ、すち君」
「よかった、みこちゃん俺はずっとそばにいるから、溺れること許してね」
そんなん良いに決まってる、俺に一生溺れとって息が出来るようにずっと俺が君に酸素を届けてあげる、だからそばにいて
「すち君、俺もそばにいるから、俺のそばで
「いいよ、俺はみことのそばで
2人で目を合わせて笑ってさっきより近く、手が触れるか触れないかの距離で歩きだして、気づけば手を繋いでいて、少しひんやりとしたすち君の手に俺の熱が伝わるのがわかってちょっと恥ずかしかった