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「けほっけほっ」
口に手を当て咳き込めば口からこぼれた"花"色とりどりの花びらと黄色の花、気になって調べたらガーベラって花らしい、綺麗な花だな、俺から出たんじゃなきゃ押し花にしたのにね
俺はいつからか花を吐くようになった
いつから、かなんて本当はわかってるのにね
みんなとのオフ会議、次の企画のとかコラボの話をしてある程度話がまとまれば、次何うたうー?とかゲーム一緒にしよー?なんて楽しげに会話がはじまる
「すっちーは次なに歌うつもりだ?」
「えぇどうしよっかなぁ…ねぇいるまちゃんまたラップ書いてよ」
「なら今度2人で歌みたあげようぜ」
「いいよぉ、けほっ」
「大丈夫か?」
「だいじょ、っけほ」
「お前、それ…」
いるまちゃんと話してる途中に咳き込んでしまう、とっさに口を抑えて花を握り込んだけど、握り込めずに花びらが手から落ちる
「……相手だれなん?」
少し離れた所にいたみことちゃんがそう言った
この病気のこと知ってるんだね
「みことちゃんには関係ないでしょ?」
「…そう、やね」
「…、」
「……」
咄嗟に拒絶するような言葉を言ってしまう、本当は違うのに本当はそう言いたいわけじゃないのに、お互いに無言になって、その無言に耐えれなくて俺は目をそらしてしまう
そんな俺達の様子を見ていたひまちゃんが「……こんの!両片想いが!!お互いこと話すまで部屋からでてくんな!!」といって会議室の横にある休憩室に俺達を押し込む
「え、え、?ひまちゃん?」
「おぁ!なっちゃんそんな押さんでー」
「いいから!話し合え!もう見てらんねぇんだよ!じれったい!」
どうしよ、どうしよ…きっとみことちゃんは俺のこと友達としか考えてないよね…?
「なぁ…すち君」
「な、なに?」
「相手、本当に誰なん?俺に教えてくれへん?」
「え…と、あー」
「花吐き病になるくらいなんやから難しい恋なんやろうけど…」
「あの、あっと…うぅ…」
「相談のるよ?それとも俺じゃ頼りない?」
言ってしまおうか、そしたら楽になるかな…友達にも戻れないかもしれないけど、本人に相談のるよ、なんて言われる方がつらい
「……みことちゃん」
「なに?」
「みことちゃんだよ、俺の好きな人」
「……ほんま?」
「嘘言う余裕なんてないよ、好きだよみことちゃん」
断ってくれていい、男の俺が告白なんて気持ち悪いだけでしょ?みことちゃんの顔が見れなくて俯向いてれば「よかった」とみことちゃんが呟いた
「え?」
「すち君!」
「はいっ!」
「俺もすち君のこと好きだよ!」
「…俺が、言ってるの恋愛的な意味だよ?」
「わかっとるよ?告白俺からするつもりやったのになぁ…先越されちゃった、あ、でもこれだけは俺から言わせて」
……これ夢?俺の都合のいい夢なんじゃないの?
「すち君、愛しとるよ」
「……あ、え、ほんとう……?うそじゃない?夢じゃない?」
「夢やないよ」
「ん"、けほっ」
「っすち君大丈夫!?」
「大丈夫、大丈夫だよ…」
手元に白い百合、あぁ本当なんだ、嬉しいな両想いだったんだ、もう悩まなくていい友達でいることを辛く思わなくていい、好きって言ってもいいんだ、愛してるって伝えてもいいんだ
「俺も愛してるよ」