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俺は視界を失った

魔王との戦い、6人で力を合わせて勝利をすることは出来た。
戦いの中限界量を超える魔力を使い回復とバフをかけ必死に戦い、らんらんが魔王にとどめを刺すのを見て俺は倒れた

目が覚めた時、俺の視界には何も映らなかった、目を開けてるのに暗くて何も見えなかった、見渡す限りの闇

「すち君!」
「…みこと、ちゃん?」
「うん!…よかったぁすち君起きてくれて、ずっと目を覚まさんから心配だったんよ」

みことちゃんが俺が起きたことを喜んでくれてる、でもそのみことちゃんがどこにいるかわからない声は確かに隣からする、でもそこには何も映らない

「みことちゃん、そこいるんだよね」
「?おるよ」
「今って夜じゃ、ないん…だよね?」
「今は朝やね、どうしたのすち君?」

不思議そうなみことちゃんの声がする。でも俺は今の言葉を飲み込むのに必死で、朝、あさなんだ、こんなにも暗いのに

「…くらくて、なにもみえないんだ」
「え…」
「何にも、目閉じてるみたいに真っ暗でみこちゃんがどこにいるかもわからない」
「…ほんまに?」
「俺、そんな嘘つかないよ…」
「先生、呼んでくる」
「っまって」

みことちゃんがお医者さんを呼びに行こうとしてくれたんだろうけどそれを引き止めるように咄嗟に伸ばした手が空を切って、バランスを崩してベッドから落ちそうになるのを暖かい手が受け止めてくれる

「っ、」
「すち君あぶない!」
「…ありがとう」
「怖かったぁ…ほんまに見えてないんやね、普段ならこんなことあらへんもん」
「ごめんね、咄嗟に動いちゃった…」
「ええよ、ええよ、でもどうしたん?」

今、一人になるのが怖かったこの暗闇に置いていかれるみたいで怖かったからそばにいて欲しかっただけなんだ

「そばにいて、て言ったら困る?」
「困らん!」
「あははっ声おっき、ありがとね」
「どういたしまして!大声で先生呼んだら来よるかな?」
「他の人に迷惑になるからしちゃ駄目だよ?」

噂をすれば、なのかタイミング良くお医者さんが来たようでみことちゃんが先生を呼び、声が大きい!と叱られる声がする、そして検査してもらった結果、魔力欠乏症の後遺症だということがわかった、通常であれば一時的に見えなくなるだけらしいけど俺は無理をしすぎたらしく回復は見込めないと断言された

そして何個か提案をされた、見えないことを受け入れて生活をする、莫大な資金が必要だけど義眼を作って魔力で周りを視認出来るようにする、そして最後に感覚共有の魔法を使う、誰かと視覚を共有してその人と一生過ごす、そうすればズレはあるものの日常生活なら可能だとそう3つ提案されて俺は俺達が選んだのは

「すち君、見えてる?」
「うん、見えてる、みこちゃんから見る俺ってこんな感じなんだね」
「なんや恥ずいなぁ…」
「ふふっありがとね」
「いいのよ、それにちょっと嬉しかったしね」
「なんで?」
「すち君ってあんま人頼らんやろ?そのすち君が俺を頼ってくれたし、それにこれからずっと一緒におれるやろ」
「そうだね、これからもよろしくね」
「うん!よろしくね!」






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