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待ち合わせ場所まであと少し、街中を歩いてふと視界に入った鏡に映る赤、ひまちゃんの色だなぁってそんなことを思う。ここまでひまちゃんを好きになるなんて思ってなかった。友達から始まって一緒に過ごすうちに恋に落ちて、玉砕覚悟で告白して恥ずかしそうに「俺も…好きだよ」って言った時の顔は絶対に忘れない

「あ、すちだ」
「あれ?ひまちゃん?」
「待ち合わせ場所行く必要なくなったな」
「ふふっそうだね、じゃあお店行こっか」
「おう」

スタスタと歩き出そうとするひまちゃんの手をさっと掴み「手繋ご」といえば「えー恥ずいじゃん」と言いながらも恋人繋ぎしてくれるひまちゃんは優しくてとっても可愛い

「そういやさっきなんで鏡見てたの?」
「んーひまちゃんの色だなぁって思ってたの」
「っえ?」
「俺の目の色ひまちゃんカラーでしょ、なんか嬉しいなって」
「なんか、俺が恥ずかしいんだけど…それになんかずるくね?」
「何が?」
「すちだけ、俺の色なんずるくない?」

そっぽを向きながらそう言ったひまちゃんの耳は真っ赤で恥ずかしがってるのがわかりやすい、可愛いなぁ

「色違いで何か買う?俺が赤いピアスでひまちゃんが緑のリングとかどう?」
「ん!それいいな!ご飯食べた後で買いに行こ!」
「いいよ、行こ」
「よっしゃ!じゃあ早くご飯食べに行こうぜ!」

歩く速さが少し上がり鼻歌でも歌い出しそうなくらいに上機嫌になったひまちゃんを見ながら、昔は自分の目嫌いだったなぁって、怖いとか血みたいで不気味だなんて言われて、でもひまちゃんが宝石みたいで綺麗な色だって褒めてくれたから、昔は好きじゃなかった自分の目だけど、褒めてくれたから、俺とお揃いだって笑ってくれたから俺はこの目が少し好きになったんだよなぁ

「ありがとね」
「何が?」
「なーんでもないよ」
「変なの」

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