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あれは私が幼い頃の出来事だった、その頃の私は親戚のお兄ちゃんが好きで会うたびに遊んでもらって簡単なお菓子作りとかを一緒にやったりしてた、私はお兄ちゃんの格好良くて優しくてお料理上手なところが大好きだった、でもあの日私はお兄ちゃんを諦めることを決めたんだ

夏の暑い日、親戚の海の家を手伝うということで私は両親とともに海にきていた、海の家ではお兄ちゃんとその友達の人も遊びにきていてこっそりと喜んだ記憶がある
私は、お客さんに出来たお料理を渡しにいく係、お兄ちゃんはお料理してお友達さんは接客をしていた。お兄ちゃんは出来たお料理を私に視線を合わせつつ手渡ししてくれる

「はい、これお願いしていい?」
「うん!お客さんにだしてくる!」
「落とさないようにね、ゆっくりで大丈夫だよ」
「わかった!」

ゆっくりと歩いてお客さんに渡して任務完了!

「お兄ちゃん!渡してきたよ!」
「ありがとね、もう俺達の仕事の時間終わりだから遊んでおいで」
「やったぁ!お兄ちゃんあそぼ!あそぼ!」

いつも通りお兄ちゃんに遊ぼう!て誘ってたら後からお兄ちゃんの友達が来て

「だーめ、すち君このあと俺とデートなんだ」
「えっ、ちょっと!みことちゃん!」
「でーと?お兄ちゃん達こいびとどうしなの?」
「そうなんよ、俺とすち君は恋人同士なんだ」
「ずるい!私もお兄ちゃん好きなのに!」
「俺もすち君大好きなんだ、だからごめんな?すち君もらってくよ」
「みことちゃん!?あ、えっとまたね!また今度遊ぼうね!ねぇ!ちょっとみことちゃん!そんな引っ張らないで!」

友達のお兄ちゃんはお兄ちゃんの手を取って私から離れていく、その時のお兄ちゃんの耳は真っ赤で少女漫画みたい…なんて思った。その後、みんなでバーベキューしてるときにお兄ちゃんが「今日はみことちゃんがごめんね」て謝りにきて、周りをキョロキョロしたあと口元に人差し指をもってきて「あと、お兄ちゃん達のが恋人同士ってのは秘密ね」なんて幸せそうに笑いながら言ったから、お兄ちゃんは本当にお友達さんが大好きなんだって幼い私にもわかって初めての失恋を経験をした。

「でも幼い子供に嫉妬するの大人気なくないですか?」
「あん時はごめんなぁ俺も焦っとったんよ、すち君モテるから」
「いいですけど、みことさんお兄ちゃん幸せにしなきゃ許しませんからね」
「安心してよ絶対に俺はすち君を幸せにするよ」
「なら、いいんです」

「みことちゃーん!いくよー?」
「ごめーん!すち君今いくー!」

お兄ちゃんがみことさんを呼ぶ声がしてそれに返事をして私に手を振りながらお兄ちゃんの方へと走り去る

私の初恋は叶わなかったけれどこれでよかったんだとお兄ちゃんのみことさんを見つめる瞳をみて思う、恋する瞳してるんだよねぇ…あれは勝てっこないよ
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