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すちといるまと俺の3人で買い物をしに出掛けた帰り道、珍しく俺達全員が帰りの電車で寝落ちた、俺とすちはともかくいるまはそうそう寝落ちなんてしないのにな

「おい、なつ起きろ」
「あー、なに?いるま?ついたの?」
「ついてねぇ…なんかこの電車変な道走ってるし、すちもいねぇ」
「はぁ?」

目を擦りながら周りを見渡せば数人の客と外を流れる見覚えのない景色…

「どこ、走ってんだ?」
「変だろ?」
「だな、てか本当にすちいねぇじゃん」
「いないって言ったろ」

二人で顔を見合わせて沈黙、どうする?と相談しようかと思っていれば

「あれ?二人共起きてたの?」
「わぁ!驚かすなよ!!」
「びっくりした!!すっちーお前どこ行ってたんだよ」
「車内探索?にしても起きちゃったかぁ…二人共ホラー駄目だよね…無事に帰すけど頑張ってね」
「え?」
「え、なにすちここが何処だがわかってんの?」
「んーわかると言えばわかるし、わからないと言えばわからない、あえて言うなら現世と黄泉の狭間?」
「なんだそりゃ…」

なんか不思議なことを言い出すすちに詳しく聞こうと思えば車内が暗くなる

「はぁ、トンネル?」
「トンネルなんてなかっただろ」
「まぁ、いつもの電車ならね…さぁそろそろ駅付くから降りる準備しといて」

数秒後、トンネルを抜けたのか明るくなり、放送が入る

『次はきさらぎー、きさらぎー』

車内にはそう放送が入る、そして音を立ててて電車は止まり扉が開く

「ほら、二人共行くよ」

俺達二人の手を引っ張り電車を降りるすち、電車の扉は閉まらず開いたまま

「え、すち!どこいくんだよ」
「切符買いに行くんだよ、もう…いつになったら諦めてくれるのかなぁ」

足に迷いはなくスタスタと歩いていくすちに不思議に思いながらも後を追う俺達、そして改札の近くまできて「面倒…売り切れてる…駅員!」と大声を出して改札窓口に行くすちそして、窓口の奥の何もない空間に話し始める

「切符大人3人分、嫌だって誰もあげないそれに何回ここに呼ぶ気?君等の自殺に俺達も巻き込むなって言ってるの、我が儘言わない、はやく切符」

「え…すち誰としゃべってんだ…」
「……」
「いるま?」
「あそこ…なにもいないよな…?」
「いないけど…」
「なんかあっこら辺から声すんだけど…」

「最初から出してよ、俺まだ黄泉に足踏み入れる気はないんだから!……二人共!切符手に入れたから帰ろ!」

こちらを振り返ったすちはいつも通りで、またさっきみたいに状況が読めてない俺達の手を掴み電車へと戻るように歩みを進める

「あ、いるまちゃん…さっきの声聞こえてたなら気をつけてね」
「…何に?」
「幽霊、行かないと思うけど心霊スポットとか、行ったら憑かれるよ」
「は…?」

なんだか恐ろしい忠告をいるまにしつつ電車へと乗り込む、乗り込めば先程まで開いていた扉は閉まり、席に座った俺達

「え、なに?すち、今何が起こってたの??」
「俺達なんか流されるままに着いてったしよくわかってねぇんだけど…」
「ん?ちょっと食べられそうになっただけだよ」
「「は?」」
「息ぴったりだね、大丈夫しばらくは狙われないから」

すちがそう言ったあと、車内放送が行き先を告げる

『つぎは現世、現世へと参ります』

放送が流れたあと急激な眠気に襲われて瞼が重くなって意識が薄れ完全に落ちる前にすちの声が聞こえた

「まぁ、きっと起きた頃には何も覚えてないだろうけど」




「二人共おきてー」
「んん…」
「あ?」
「あ、起きた!駅ついたよ」

俺…寝てたんか、なんか変な夢見てた気がする…なんだっけ…

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