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悪夢を見た
内容は覚えてないけれど、汗をかいたのか少し張り付くパジャマが不快でシャワーを浴びてしまおうと部屋の扉を開けば亜麻色の髪が見えた

「お、すちおはよ、今日は早起きじゃん」
「…おはよ、ひまちゃん…」
「ん、どした?調子悪い?」
「なんか、嫌な夢みた…っぽい」
「大丈夫か?俺に話しとく?」
「んー内容は覚えてないんだよね、なんか嫌な気分だからたぶん悪夢見たんだと思う…ありがとねひまちゃん」
「気にすんな、まぁ思い出したら話せよ、悪夢は誰かに話す方が良いって言うしな」
「うん、思い出したら言うね、ちょっと汗かいて気持ち悪いからシャワー浴びてくる…」
「おー入ってこい」

そう言いつつも心配そうにこちらを見ていたから「大丈夫だよ」と笑った

シャワーを浴びてさっぱりして、朝ご飯を食べるためにリビングに行けば、ばっちりスーツを着てコーヒーを飲んでるらんらんが居て笑って「おはよう」と言った

「おはよ、らんらん」
「すち顔色悪いけど大丈夫?」
「大丈夫、夢見が悪かっただけだから」
「内容話しとく?」
「あははっひまちゃんと同じこと言ってる」
「えっ、まじ?」
「本当、ただ俺、夢の内容覚えてないから話せないんだよね」
「そうなの?なら、まぁ今日は大人しくしてな」

そう言って席をたって頭をぽんっと叩いて撫でて微笑んだ

「じゃあ俺は行くね」
「うん、いってらっしゃい」
「いってきます!」

元気よく家をでるらんらん、ふふっいつも元気で楽しそうでいいな、俺はらんらんを見送ってトーストにバターとジャムを用意して紅茶をいれて、角砂糖を数個いれてくるくるっと回してひと口飲んで

「あまっ…」

いれすぎちゃった、あぁでも今はこの甘さがちょうどいいな
悪夢の内容は覚えてないけれど、昔よく見ていた小さい時の夢だろう、誰もそばにいなくて寂しくて物陰が怖くて震えてたあの頃の夢
あの頃は、今日みたい紅茶に砂糖をたくさんいれてた、甘い紅茶が好きなわけじゃなくてちゃぽん、ちゃぽんと角砂糖をいれてスプーンでくるくるとまわして溶ける様子をみるのが好きだった、少しづつ飲んで最後に残った砂糖を見つめてなんだか自分みたいだと、両親に置いていかれて一人で留守番する俺のようだななんて考えてた
あぁ少しだけ思い出した、あれは確かに幼い頃の俺だった、泣いていたし震えていたけど最後にこっちをみて

"ねぇおれ、もうさみしくないでしょ?"と言った

「そうだね、もう寂しくないよ」とボソリと呟いて甘すぎる紅茶を飲めば幼い俺が笑った気がした
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