SS
夜中に熱めに珈琲を淹れて、一人ソファに座る。
机に何も書いていない紙を数枚とお気に入りの万年筆とシャーペン、そばにギターを置いて準備完了
ソファに座って珈琲をひと口飲んだら俺だけの特別な時間始まり、皆といるのは楽しいし騒がしいのも嫌いじゃない、でも一人で過ごすこの時間は俺にとっては大事でとっても好きな時間、特に何をするのかを決めてるわけじゃなくって紙に思いついた言葉や絵を描いたり、俺に作曲の才能はないけれどなんとなく思いつくままにギターを弾いてみて気に入ればメモしてみたり、好きなことを好きなだけする時間。
この時間は誰かに見せるわけでもないから好きな物の絵をひたすら描いてるときもあれば、苦手だからこそたくさん描こうって思って無心で描いてることもあるし、1つの絵に集中して描いてることもある。誰かに聞かせるわけじゃないから普段歌わないような歌だって歌うし、ギターを弾きながら歌って好きな曲を繋げて歌ってみたり、歌いながら曲を組み合わせてマッシュアップしてみたり、好きなことだけする俺だけの特別で自由な時間、終わる時間は珈琲を飲みきって、用意した紙とギターを片付けコップを洗っておしまい
「んー楽しかった!」
ぐーっと背筋をのばしていれば、気づかぬ内に部屋に入ってきていたみことちゃんが後ろから抱きついて
「すーち君!今日はもうおしまい?」
「うん、今日はおしまーい」
「今日も聞いてたの?」
「うん!聞いてた!」
同じ家に住んでるから聞こえてしまうのはしょうがないし俺が勝手にしてることだから聞くなーとは言わないけど、みことちゃんは気づけば俺の対面においてあるソファに座って俺の様子を見ている。みことちゃんが存在感薄いわけじゃないんだけど、いつも声をかけられるまで俺は気付けない、そこにいるのが当然になりすぎて違和感がないんだよなぁ
「今日も楽しそうだったねー」
「声かけてくれてもいいのに」
「楽しそうなすち君みるの楽しいからやだ!」
「もう…なら今度一緒にカラオケでもいこ?」
「ええね!予定合わせて二人でいこ!」
この時間の俺を知ってるのはみことちゃんだけ、皆は知らない、彼しか知らない俺は彼の瞳にどう映ってるのかな、いつか聞いてみたいと思う