SS
「みーつけた」
俺を見つけるのはいつも君で、目に映るものが怖くて小さくなって震えていた俺を抱きしめてくれた
「らんらん、ほら帰るよ」
「すち…そこの廊下いるよね?」
「もういないから」
「本当?」
「うん、俺が払ったからもういないよ」
俺達の目には昔から変なものが見えていた。俺には黒い影にしか見えないそれは襲ってくるわけでもなくただそこにある。俺はそれが恐ろしい、その影にのまれてしまいそうで怖い。すちは俺より見えるみたいで、すちが言うには人の形をした異形なんだって、それに俺とは違ってたまに攻撃してくるらしい
「らんらんは大丈夫だって」
「そうやっていうけど…怖いもんは怖いんだよ」
「アイツらはらんらんに近づけないって」
「わかんないじゃん!すちは襲われるんでしょ?」
「まぁ俺はそうだけどねぇこれは原因あるから」
「その原因は…?」
「秘密」
「いつになったら教えてくれるの?」
「んーいつかね」
そうやって回答をはぐらかす、襲われる原因があるって毎回言うけれどその内容は教えてはくれない。
「らん、暗くなる前に帰るよ」
「え、あ…うん!」
家の中では何故か黒い影は見えないから、暗くなって黒い影が増える前に俺は逃げ込むように家に帰るんだ
らんらんに見えてるのは光に集まってくる虫のようなもの、内包した力が強いからそれに惹かれる、でも力が強すぎるから近づけば燃える、だからアイツらは近づかない。俺はアイツらと一緒で最初はただ惹かれて近づいた、近づいて話す内に奪われたくないと思うようになった、太陽のように明るい彼を好きになった。誰にも渡さない、溢れ出る力の一片でも許さない。
そうやってらんの周りに結界を張った、漏れないように万が一にも近づかれないように、だから俺はアイツらに攻撃される、力をよこせと独り占めするなとお前は邪魔だと、俺がいなきゃ少しづつ力をつけることが出来るのにと恨みをこめて攻撃される。
「……絶対、誰にも渡さないんだから」