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目を覚ませば知らない部屋にいた。
周りを見渡せば真っ白い壁と床に扉が2つに俺が寝ていたベッド……なんか俺、これ知ってる気がする…有名なやつじゃない?

「お、すち起きたー?」
「ひまちゃん?」
「おう」

どこにいたのか片手をあげて手を振るひまちゃん

「どこいたの?」
「隣の部屋、あっちはまぁ…あれだった…やばめの道具置いてあった」
「どんな?」
「えっちなやつ」
「あらまぁ」
「お前はどこぞの奥様か?」
「びっくりして変な反応しちゃった…」
「まぁこの部屋あれだからな」
「やっぱり出られない部屋ってやつ?」
「だろうな、あそこ看板でてるだろ?」

そう言って指差したところには一枚の看板、看板には"キスしないと出られない部屋"

「キス…」
「だってよ、楽で良かったな」
「だねぇキスならなんとでも出来るからね」
「キスなら別にな?」
「ねぇ…ひまちゃんどうする?」
「んー?なにが?」

ここは出られない部屋、恐らく誰かに見られてるだろうけど二人っきり、さっきベッド横に置いてあったサイドテーブルには使って下さいと言わんばかりにローションにコンドーム、さっきの話からして隣の部屋には所謂、大人の玩具があるんでしょ?

「すち…お前、したいの?」
「ここまで準備されてるんだよ?しなきゃ損かなって」
「誰に見られてるかわかんねぇのに?」
「…それはそれで」
「興奮する?」
「…ひいた?」

恐る恐る聞けば、ひまちゃんは笑って

「別にそんなことでひかんよ、でも俺が嫌。俺があの時のお前を見せるのが嫌」

真っ直ぐに俺の目を見て言うひまちゃんは格好よくて、俺と同じ赤い目をしてるのに俺はその目に見惚れる

「だから、ここ出たらな」

と言って俺の耳元に唇を寄せて「いーぱい可愛がってやるよ」と低く色の混じった声で囁かれて、腰が疼く

「顔真っ赤ー」
「んんっ!ひまちゃん!俺が耳弱いの知ってるでしょ!!」
「知ってるーほらっとっとと出るぞー」

頬に顔を寄せてちゅっとキスをするひまちゃん、そうするとカチャッという音が部屋に響いた

「お、開いたな、すちー!ぼやっとしてないで行くぞ?」
「急にしないでよ!びっくりするじゃん!」
「嫌じゃないだろ?」
「嫌じゃないけど…」
「なら、いいじゃん」

笑ってそう言ったひまちゃんは、俺を置いて鍵がかかっていたであろう扉に手を掛けて、振り返って「本当に置いてくぞ?」って言うから慌ててベッドを降りてひまちゃんを追いかけた
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