短編集



とある村に夫婦で経営している魔法薬を販売している小さな店があった。
前髪の1部が桜色でクセのある長い黒髪を三つ編みにしている女性と緑髪に黒のメッシュをいれた男性の2人で仲良さげに珍しい魔法薬から風邪薬様々な薬を売り、女性はこの村で医者の真似事をしていた

「今日もありがとうね」
『どういたしまして、なんかあったらちゃんと私を呼ぶんだよ?お医者さんじゃないけど診てあげることはできるからね』
「ええ、その時は頼みます。本当に魔女様がこの村にいてくれてよかった…また薬お願いするわね」
『はぁい』

可愛らしい声で返事をする女性は妙齢の女性に手を振り家路につき、店の扉を開き

「ただいまぁーすちーお茶あるー?」
「らんらんおかえり、まだお店なんだから声もどさないの、お茶なら今からいれてあげるから待ってて」
「すちだって猫の姿なのに」
「俺はいいの声だけならバレないから、らんらんはバレちゃうでしょ、声戻して」
『はぁーい』
「それでよろしい」

扉を開けての第一声は先程の可愛らしい声ではなく男性の低い声だった、それに驚くことも無くお茶の準備を始める緑の毛並みをした猫が器用に魔法を使いお茶をいれる。カウンターに座っていた猫はそこからトンッと降りると気づけばそこには猫ではなく背の高い男がそこに立っており、いれたお茶を「はいどーぞ」とカップを魔女とよばれた人の目の前に置く

『ありがとう、すち』
「どういたしまして」

男女だと夫婦だと思われていた2人は本当は男同士であり、魔法使いと使い魔であった。

『今日はもう疲れたしお店閉めちゃうわよ』
「うん、帳簿つけとくから先に2階上がってていいよ」
「いいの!?」
「いいよ、もうほぼ終わってるし、夜ご飯も仕込んであるから先にお風呂入っておいで」
『やったぁ!!』

らんらんと呼ばれた男は鼻歌でも歌い出しそうな雰囲気で扉に掛けている札を"OPEN"から"CLOSE"にカタンっとひっくり返し、自宅にしている2階へと上がっていった

「元気あるじゃん」

にこにこと微笑みながら片付けをするすちと呼ばれた男は、言った通りに仕事はほぼ終わっていたのかすぐに追いかけるように2階へと消えていった





深夜、ベッドの上でシッポをパタパタと叩き不満そうにする猫の姿をしているすちは我慢出来なくなったのかベッドからストンッと降りて主人であるらんの元へ歩いて行った

様々な薬品が置かれていたり干されている草や花で少しばかりごちゃついてる部屋で椅子に座り黙々と作業をするらん、視界に入るようになのか作業をしている机に飛び乗りすちはらんに声をかけた

「らんらん、いつまで薬つくってるの?」
「あと、こっからここまでやったら寝るよ」

らんは10以上も並んでいる瓶を指さしそう言ったの対して、ぼそっと呟くすち

「……多い」
「え?」
「それで終わりにして」
「えぇ?」
「どうせ在庫でしょ?」
「そうだけど」
「それ作ったら寝なさい」

ちらちらと置いてある空の瓶を見ながら"でも、もうちょっとさ、作っておくと楽じゃん?"、"それにまだ時間あるしまだ……"と言い出したらんの次の言葉を遮るように"ご主人"と少しイラついた声でらんに顔を寄せるすち

「大人しく寝ろ、それとも寝かされたい?」
「ハイ、ネマス」
「それ終わったらベッドね!」
「はい……これ、早く終わらせるね」
「そうして、早くこなかったら朝ごはんなしだから」
「それは!困る!!」
「なら、早くきてよ」

すちの言葉に「まって!それはこまる!すぐ終わらせる!!」と慌ただしく作業を進め始めるらん、それを後目に机から降りてゆったりと先程いた寝室まで歩いていくすちは寝室で丸くなってからぽつりと呟いた

「怒んないと寝ないんだから………もう心配で俺が寝れないじゃん」





22/23ページ
スキ