喫煙者または吸ってみたい左と緑
俺とひまちゃんはお互い家が近いのもあってLINEだけ送って約束なしに家に行くときが結構ある。今日もそんな日で俺がなんか顔見たいなぁって思って
"家行ってもいい?"
と連絡したら数分後に返信がかえってきた。
"いいぞ"
"なんか欲しいものある?買っていくけど"
"じゃあライター"
"ライター?"
"うん、ライター買い忘れたんだよな"
"わかった買ってくね"
"さんきゅー"
ライター……なんで?と思いながら家を出て近くのコンビニでひまちゃんが好きそうなお菓子とライターを買って家に向かった、ライターなんて何に使うんだろ?
ピンポーン
お、来た!連絡があって数分、インターホンを確認してから訪問客を迎える
「いらっしゃい」
「突然ごめんねぇ、お邪魔します。お菓子も買ってきたから一緒に食べよ」
「お!まじ!なに、何買った?」
「ひまちゃんが好きそうなの、中見たらいいよ」
「おー!これ気になってたやつ!すちありがとう!」
「どういたしまして、ライターも一緒に入ってるからね」
「ありがと、お金払うからレシートちょうだい」
そうやって俺がレシートを請求すると少し顔を顰めてから、これは俺が買ってきたかっただけだからいいの、と手を洗いながら言って手を拭きつつそのまま俺のそばに座った
「それにレシートは捨ててきちゃったし本当にいいよ」
「あ、ずりぃでもライター分のは払わせろよ」
「そんなに高いものじゃないし、奢りってことで」
「んんっじゃあ今度すち家行くときなんか買ってく」
「楽しみにしてるね」
「おう、期待しとけ」
すちはしれっと奢ってきたりするから怖いんだよなぁ「これいらなくなったからあげる」って渡してくるのが新品だったり、気づいたらすちの家に俺専用の椅子が用意されてたり、嬉しいけどさ……
「ねぇひまちゃん、買ってきたはいいけどなんでライター欲しかったの?」
「あ、それはなこれ、試してみたかったんだ」
机の上に置いておいた箱をすちに見せれば、本当にわかりやすく隠すこともなく表情が"イヤ"という顔をした。そんなに嫌なのかよ
「煙草吸ってみたかったの?まずいだけだよ?」
「一回は吸ってみたいじゃん!」
「やめときなよ」
「いいや、する!そのために買ってきてもらったんだ」
「まずくても知らないよ?」
「いいの!」
俺は早く試してみたくて箱から一本取り出し口にくわえて、カチッとライターで火をつけてアニメやドラマの見様見真似で吸ってみる
「ゲホッゲホッなんだこれ、まっず」
ちゃんと準備しておいた灰皿に煙草を押し付け火を消した、思った以上においしくねぇ
「だからやめときなって言ったのに」
「何事も挑戦だろ?」
「煙草は挑戦しなくていいよぉ別にひまちゃんも好きなわけじゃないんでしょ?」
「まぁな」
「なら吸えなくていいよ……煙草で香り消えるし」
恨めしそうに俺の吸った煙草を見ながら拗ねた声で言うもんだから、思わずすちの頭を撫でて
「もう吸わねぇから安心しろ」
と言えば、嬉しそうに笑みを浮かべて"ありがとう"なんて
「可愛すぎだろ……」