短編集
今日の配信、いるまとみことが2人で忘年会をするらしい、恋人の俺を誘わず?みこと2人?ずるくね?俺もいるまともっとコラボしたい
「ねぇすち、これどう思う?」
「んー何が?」
「こ、れ!」
作業をしながらすちとの通話、作業をしているからなのか空返事気味なすち、そんなすちに俺はいるまのポストを画面共有で見せる
「……忘年会」
「そう、忘年会2人でするんだって」
「いるまちゃんと2人で?」
「いるまとみことだけでずるくない!!」
「いいなぁ…」
通話先のすちは少し沈んだ声で話し「呼んでくれてもいいのに…俺ご飯作るよ?」なんて呟く、確かにすちのご飯は美味しいし作ってほしくなるから呼んだっていいだろうに……まぁ俺は何にも出来ないけどさ……恋人である俺とすちを放っといて2人でするってのはずるい
「一言いってくれてもいいのに…」
「ねぇ対抗して俺とすちで忘年会やろ!」
「いいね、やろうか、2人でイチャついてやろ」
「嫉妬させてやる…」
「そうだね、言ってくれないのが悪い…事前に教えてくれたら我慢したのに…」
「我慢できるんだ…すちってみことほど独占欲強くない?」
「我慢はするよ…そのあとちゃんと2人の時間つくってもらうけど…みことちゃんだけが独占欲強いわけじゃないんだよ、俺だってそれなりに独占欲はあるよ…あんまり言って嫌われたくないだけ」
すちそんなこと思ってんだ…たぶんみことそれで嫌わないと思うしそれどころか喜びそうだけどな、俺はたぶん嫌がられるけど…いるまって束縛そんな好きじゃなさそうだしな…
「らんらんじゃあ明日俺の枠で忘年会しよっか」
「おっけ、なら9時から?」
「そうだね9時からしよっか、あ、らんらん俺ん家くる?」
「え、いいの!なら行く」
「ご飯も作っておくからおいで」
「やった!」
次の日、きょうはすちのわくでぼうねんかいするー!と俺がポストしてその後に今日は俺の枠でらんらんと忘年会するよ!とわざとギリギリの時間にポストをして、お互い別にお酒飲むわけじゃないし数個お菓子とお茶を買って俺はすちの家に向かいチャイムを鳴らして待ってれば玄関の扉が開く
「らんらん、いらっしゃい」
「お邪魔します、お菓子買ってきたからあとで食べよ」
「あ、ありがとう!じゃあ食べながら配信しよっか」
「いいね、そういや今何時?」
「あと少しで8時半かな、ご飯の仕込みもう少しで終わるから俺の配信部屋で待っててー」
「手伝おっか?」
「大丈夫、本当にあとちょっとだから」
そう言ってキッチンで作業をはじめるすち、一人で配信部屋にいてもなぁと思ってそばで作業眺めてたら「終わったよ、配信終わったら食べよ」とすちが笑う……みこともしかして毎回この顔見てんのか?笑うすち可愛い…しっかり捕まえてなきゃだめだろこれ
「らんらん?どうしたの?」
「なんでもない、配信準備しよ」
「ほぼ終わってるからあとはボタン押すだけだよ、それよりさ、みことちゃんから通知やばいんだけど…どうしよ…」
「え、そうなの?」
「ずるいってきてる…ずるいのはそっちじゃない?」
「な?」
「らんらんはいるまちゃんからきてる?」
「きてないです……」
ポストしてからディスコもツイッターにも反応はない、見てないのか見たけどどうも思ってないのかわからんくてなんか泣きそう…
「らんらん大丈夫だよ」
「すち?」
「いるまちゃんが何にも言ってこなかったら俺が怒るから」
「え?」
「らんらんの気持ち理解してるだろうに何にもしてこないんならちょっとお仕置きいるよね?」
「すちさん過激ね…」
「そう?まぁ仲良く配信しよっか、みことちゃんから通知、うるさいけど切っとけばいいよね、事前に連絡しないのが悪い」
「すち……結構怒ってる?」
ニコニコと笑顔のすちは無言でスマホをイジり「配信はじめよ」と言いながら配信部屋の扉を開く、あぁ……これはガチで怒ってる、俺もいるまにムカついてはいるけど、俺が嫉妬しているまに文句言うのはいつものことだし独占欲強いのは俺の方だしなぁ…
「らんらーんもうすぐ9時になるから早くおいで」
「あ、今行く!」
「…俺とコラボあんましてくれないくせに…嫉妬すればいいんだ…」
すちと2人で忘年会ねぇ…やるのはいいけど、どうせ一緒に配信するだけだろ?らんのことだから昨日のみこととやった配信に嫉妬して、やり返してやろうとか考えてんだろうな、こっちが普段どんな気かしらないくせによ、なんて思いながらすちの配信を開けばオフコラボとかぬかしやがる、それは流石に駄目だわ、配信をスマホで聴きながらパソコンでディスコを開きみことにチャットいれれば、即座に返信が返ってくる
"みこと、お前今出掛けれるか?"
"俺今すち君の配信見てて忙しいんやけど"
"なら行けるな"
"行けないよ!"
"今からすち家、凸るぞ"
"なんで?"
"説教しに"
"なんで!"
"相手がすちとはいえ2人っきりはアウト"
"なにが!"
"とりあえず来い、配信は聴きながらでいいから"
"意味わからん…行くのはいつもの駅前でいいん?"
"それでいい、またあとでな"
"はーい"
俺一人で行ってもいいがすちの対応ができねぇ、敵に回すと本当に厄介な男だよな…すちから"合鍵使っていいからね"ってLINEきてるのマジで恐ろしすぎる…すちはみことに任せて俺はらんを回収する、あー腹立つ仲間同士仲いいのは良いけどあいつ等距離がちけぇんだよ、スキンシップ激しいしよ…イライラする…イヤホンから聴こえてくる2人の声が楽しそうで余裕がない今、すげぇイライラするし電車の待ち時間がすごく長く感じた、早くつけよ
駅前でイヤホンをつけて柱に寄りかかるとするみことを見つけてそちらに早足で向かう、俺を視界にいれたみことが片耳をだけイヤホンを外しながら俺を呼ぶ
「あ…いた、いるま君!」
「みこと、さっさと行くぞ」
「…なんか怒っとる?」
「お前には怒ってねぇから」
「そうなん?ならだ、れ…うん聞かへん」
俺の雰囲気が怖かったのか知らないが視線をそらし慌てて首を振るみことに確認しておきたかったことを聞く
「お前すちに連絡いれたか?」
「一応…今から行くよっていれといたけど…ずっと未読…その前に送ったのも未読なんよ…俺なんか怒らせることしたかなぁ」
「はぁ…これも原因か、この鈍感野郎」
「俺別に鈍感やないよ?」
「はいはい、言ってろ」
「ひどい!え、あっちょっといるま君歩くの速いって」
みこと独占欲強いクセに気づいてねぇのかよ、これらんよりすちのが怒ってるやつか?らんからオフコラボしようは言いそうにないしな
「いるま君!待ってて!」
「うるせぇ!もう着くからいいだろ」
「それもそっか」
すちの家の前、みことと同様片耳だけのイヤホンからちょうど配信の終わりの挨拶をする声が聴こえる、家から持ってきた鍵を差し込みガチャりと開ける
「勝手に入ったらあかんやろ!」
「いいんだよ」
うるさいみことを放置して、配信部屋にノックもせずに扉を開ける
「らん」
「っ!!は!?いるまっ!?」
「いるまちゃんいらっしゃい」
「コイツ回収してくぞ」
「今からご飯用意するから食べてからならいいよ」
「もう!いるま君話聞いてよ!」
「みことちゃん…ふーんそういうこと」
「そ、こいつ生贄にしていくから」
「いるまちゃんご飯は4人分ちゃんと準備してあるから、食べていきな」
「チッならこの部屋ちょっと貸せ」
「お好きにどうぞ、みことちゃんはこっちおいで」
俺は座るらんに近付き、すちはみことの腕を掴み部屋から出ていく「うわぁ!!待って引っ張っらんでも行くから!すち君!」っと叫ぶみことにすちが「ちょっと黙ろっかみこと」と笑顔で言い放ち「はい……」と見えない犬耳をシュンっとさせるよみことが見えた、そんなことはどうでもいい
「らん」
「な、なに?」
「なんでオフコラボした?」
「え、っと」
「なんでだ」
「すちが、誘ってくれたし…せっかくなら、ね?」
「へぇそうか、でコラボ提案したのはらんだよな」
「なんで、わかんの?」
「だろうと思った…、コラボした理由は?……誤魔化すなよ?」
椅子に座るらんに顔を寄せて肘掛けに置いてある腕を掴んで質問を続ける
「……っいるまとみことがコラボしたから……し、嫉妬したんだよ!悪いか!」
「で仕返してやろうって?」
「うっバレてる…」
「限界だから言わせてもらうけどな、普段から嫉妬してるのはこっちなんだよ!」
「え……?」
何不思議そうな顔してんだこのメンヘラピンク、その顔は間抜けで可愛いけど腹立つ
「お前とすちは距離が近いんだよ!簡単に抱きつきやがって俺にはしないくせによ!」
「は、え?まって?いるまそんなこと思ってたの…?」
「わりぃかよ!!恋人に抱きつかれたいと思っちゃ駄目か!独占欲だしちゃ悪いか!!」
「……抱きついてもいいの?」
「外は目立つから拒否るけど、家の中でならいくらでもしにこいよ」
「あんまりすると嫌がると思ってた…」
「これでも恋人には甘くする主義だけど?」
「じゃ、じゃあこれからはしてもいい…?」
「しろ」
「……うん、する!」
そう言って下を向くらん、少し頬を赤らめながらも顔がニヤニヤしてんのが見えてる…らしくないこと言ってるのは自覚してる、別にいいだろ本音ではあるんだから、これで理解してくれりゃいい、しなかったら…どうしてやろうか
「…っいるま?顔こわいよ…?なんかやばい事考えてない…?」
「そんなことねぇよ」
「本当?」
「考えてねぇよ」
理解しねぇなら軟禁してやろうかなとか思ってねぇ
「それより、あいつ等は話終わったか?LINEだけいれとくか」
「話反らしてない…?」
「してねぇよ」
スマホですちに、そっち行って良くなったら声掛けてくれと連絡いれれば、すぐに扉が開きすちが顔を出す
「こっち来ていいよ」
「早くね?」
「俺は言うだけだからね、伝えたりなかったみたいだから、ちゃあんと伝えただけ」
にっこりと笑うすちの奥、ソファに座り手で顔を覆いぶつぶつと呟くみことが見える、よく見れば手の隙間から見える肌は真っ赤に染まってる
「すち君……それあかん…あかんよ……へへ…うれし…おれだけやなかった…えへへ…」
「すちさん?なんかみこち気持ち悪いことになってるんだけど…」
「放っといたらいいよ、二人共ご飯準備するからちょっと待っててねぇ」
「あ、俺手伝う!」
「らんらんありがとう、これ持っててくれる?」
「はーい」
え、あれ放っておくのかよ?まじで?……まじで放っておくのか、なんでらんはスルー出来てんだ?あーとこれ放っといたらまたいちゃつくな?やるのは面倒だけど手伝うかぁ
「すち、俺もなんか手伝うことあるか?」
この後みこともすちに声をかけられて普段通りにもどり…若干戻ってなかった気もするが、4人でご飯を食べて俺はらん連れて帰った、みことは…「みことちゃんはまだ帰っちゃダメだから」っというすちに捕まって幸せそうだったから放置した
「いるま、手繋いでいい?」
「駅前までな」
「今日のいるまは素直だね」
「手離すぞ」
「それはやだ!今日素直なのは本当のことじゃん…さっきみたいに思ってること俺に教えてよ」
そう言って嬉しそうに笑うらんに、たまには素直になる日をつくるか、とそう思った