短編集
最初は違った、でもその最初以外は全て自分の意志だった、自らの意思でこうすると決めた、だから今更助けてなんて言えない
「あ、君だよね」
「えっと…」
「みどり君、本当に名前通りの髪色してるんだね」
「わかりやすいでしょう?」
「そうだね、じゃあ行こうか」
自分よりも歳上の大人の人であれば誰だってよかった、相手の目的が何であれ冷え切った身体を温めてくれるならどんな目的だってよかったんだ
「はい、これ」
「…んっありがとう、ございます」
「また、よろしくね」
また…、この人とは一回だけでいい優しすぎて俺が辛い、痛いのは嫌いだし激しいのは疲れるけど、現実と格差がないほうが楽だから、この人は今日だけにする。手元の薄っぺらい紙を雑に仕舞って服を着て部屋を出るそして別れて、冷たい我が家に帰る
「はいこれ今日の」
「お、5万かお前稼ぐようになったなぁ」
「俺、部屋に戻るから」
「今日はアイツいねぇし相手しろよ」
「……おれのへやにして」
「いいぜ」
家に帰ればコイツがいるいつからだったか忘れたけど母が連れ込んだこの男、母の前では良い人を演じてるけど俺に対していつもこう、何が良かったのかなんで俺を犯すのかはしらない、最初は俺にも優しかったのにある日、母のいない日に突然やらせろって部屋に連れ込まれた、大人のアイツに子供の俺じゃ敵わなくってベッドに押し倒されて腕を縛られて最低限アイツが痛くない程度に解されて好き放題暴かれた、泣き喚くことも出来たんだろうけど俺はなんで、嫌だ、やめてと小さな声で言うしか出来なかったし、その時の俺は何が起こってるのか全く理解出来なくってやっと理解したのが"痛い"と"気持ちいい"こう思い出すときっと俺には才能があったんだろうな
「ん、あっい"」
「もっと締めろよっ」
「っ!いたっ…い」
「おら、叩かれたくなかったらちゃんとしろ、それともアイツの部屋にいくか?」
「やだ!!それはやだっ!ちゃんとやるから!」
「なら、しめろよっ……そうそう出来んなら最初からしろよ」
無遠慮に犯されて終わったら捨てるように放置される、重い身体を引きずって浴室へ行って水を浴びる、熱く火照った身体を冷やすようにしばらくの間そうしてゆっくりお湯に変えて身体を痛いくらいに洗って浴室をでて自室に籠もるにスマホの画面を見ていくつかある名前の中から一人を選んで"明日どうですか?"と打ち込んですぐに返って来た返事を見て、気絶するように眠りにつく
目が醒めなかったら幸せなのに
「すち君おはよー!」
「おはようみことちゃん、ふぁ…」
「眠いん?」
「ん、あさだからね」
昨日の夜は寝れなかった数時間ごとに起きて寝てを繰り返したから寝た気が全然しない、教室の机に顔を伏せて目を瞑る
「おやすみ?」
「おやすみ…」
教室のが寝れる気がする。保健室は駄目ベッドがあるから自然と思い出してしまう、少し寝て授業を受けてお昼はご飯も食べずに睡眠に充てる、心配そうに見られるけど今ご飯を食べたって吐くだけだ
授業を終えて足早に家へと帰り服を着替えて昨日約束した場所へ向かう
「おまたせしました」
「いや全然待ってないよ、さ、車乗って行こうか」
「はい」
「私に連絡してきたってことは"あれ"されたい?」
「して、ください」
「わかった、ならそうしてあげよう」
ホテルに入って服を脱いでしまうどうせ脱ぐんだから
「綺麗な身体してるよねぇこの腕の跡が勿体ない」
「もう癖なんで」
「そうだったね……始めよっか」
腕を掴んで、まっすぐ引かれた線をなぞりながらそう言い、軽々と抱き上げられてベッドに落とされ押し倒されて口の中に指を突っ込まれる
「んぐっ」
「舐めろ」
「んんっふ、んぐ、ちゅ、ん」
「足自分で持ってろ……いい子」
「ん、あや、く」
「急かすな、ちゃんとしてやるから」
口の中の指を抜いてそのまま俺の中に容赦なく入れられ雑に動かされる
「ん、あ…ふ、ぐ、」
「緩いな…このまま挿れても問題なさそうだ」バチュッ
「っ、ひぃ!あ、あっ!う、あ…」
「もっと締めれるだろ」
「でき、るっ」
「なら、しろ」
挿れた瞬間にバチッと視界が弾ける、言われた通りに締め付けを強くするように力を入れれば激しくなる動き、そして首に手がかかりぎゅっと締められる
「あ"……っ、っ…」
「あぁ締まる…なぁみどり君気持ちいいな?」
「っ、っ……」
首を絞められて徐々に足らなくなる酸素、痙攣を始める身体、ギリギリのところで離され酸素を一気に取り込み咳き込む
「げほっけほっ、はぁ…ぁあ…、ふ…、ふぅ♡あ♡はぁ♡」
「首絞められて気持ちいいな?もっとするか?」
「もっろ…♡くるひぃのもっとちょーだい♡」
「本当にイジメられるの好きだな、もっとしてあげるよ」
バチバチと弾ける視界、気持ちよくなって真っ白になる頭、何にも考えれない、苦しくって気持ち良くってどうにかなってしまいそう、だからこれをやめられない
「なぁすち君…」
「どうしたのみことちゃん?」
「それ…やめよ…?」
首の赤い跡を指さしてそうやって言うみことちゃん
「なんで?」
「痛そうやし、ずっと言わんでいようと思っとったけど、もうやめよ?俺知っとるよすち君体売ってるんやろ?」
「うん」
「認めるんや…それそん時のなんやろ?」
「うん、そうだよ」
「俺が…止める権利なんてないけど、このまんまやったらすち君」
「みことに止められる筋合いなんてない、俺とみことちゃんは"トモダチ"でしょ?」
「そ、やね…」
ごめんと友達としてしか見れないと言ったのは君、だからそばにいることだけは許してとそう言ったのは俺、俺はその時に諦めた抗うことを、ただ闇に落ちていくのを良しとした、"助けて"という言葉を飲み込んで"大丈夫"と俺は大丈夫だと思い込むようにした
「俺は大丈夫だからそんなに心配しないでよ、痛そうに見えるだけ」
「すち君…」
「みことちゃん俺と君は友達、それ以上でも以下でもないこの話はもうおしまいにしよう?」
もう助けてくれなくていい、助けようとなんてしないで助けられたってもう何も残っちゃいない、ただボロボロの俺が残るだけ、だからこのまま溺れさせて沈むままに落ちていきたいから