頑張り屋の君と


お仕事から帰ってきたらんらん、いつもなら疲れてても"ただいまー!"と元気な声が聞こえるのに今日は元気がない

「…ただいま……」
「おかえり、らんらん大丈夫?」
「ちょっと体重いだけ、だから大丈夫」

……これ大丈夫じゃなくない?絶対に強がりだよね、疲れてるだけじゃなくて明らかに熱っぽい顔してるんだけど

「らんらん、荷物もらうよ」
「え…」

荷物奪って、らんらんの綺麗な桃色の髪をさっと上にあげておでこに手を当てれば何時もより高い体温…熱測らせなきゃ

「うん、やっぱり熱あるね?ちゃんと体温測るよ」
「だ、大丈夫だって、疲れてるだけだから休めば良くなるから」
「……とりあえずソファに座ろっか?」

これはどっちだ?自覚してないのか誤魔化したいのか…まぁどっちにしろ測らせる。腕を軽く引っ張ってソファにまで連れてって座らせて、体温計を取りに行く
えっと何処に置いたっけな…あ、あった

「らんらん、はいこれで熱測って?」
「えぇ大丈夫だよ」
「駄目だって、絶対熱あるから」
「心配しすぎ、」
「黙って測って」
「はい…」

なかなか熱を測りたがらないらんらんに無理矢理体温計を押し付けて測らせる、これは自覚してるな?相当体調悪いだろ…

ピピッ

「…あ、」
「らんらん体温計ちょうだい」
「あの、えっと…」
「渡して」
「はい…すいません…」

最初から大人しく渡せばいいものを…えっと何度?

「38!?」
「……熱…ありました…」
「あるもなにも高熱じゃん!!なんで休まないの!」
「だってぇ…」
「だってじゃありません!もう…とりあえずそこ座ってて!薬あったけ…えっと熱の時お風呂は控えるべきだけど流石に入りたいか…お水持ってくるからじっとしてるんだよ!」
「はい…」

薬を仕舞ってる棚を探してみたけど薬全然ないな…今日、明日分は多分あるね…?俺たちあんまり風邪ひかないしなぁ…まだこの時間買えるっけ…?時間…間に合うなら買いに行こうかな
キッチンに行ってお水だけ汲んでらんらんに渡しに行く

「ほらとりあえずお水飲んで、汗だけ流しておいで」
「うん…」

らんらんは体を重そうにしながら立ち上がり、少しふらつきながら浴室へ向かう…うーんちょっと心配だけど着替え取ってこよう


確かに朝から体が重い気がしてた、でも仕事あるしそれに今日は休めない会議があるからと少し無理をして会社に向かった、途中までは平気だったんだけど、そう会議を終わらせてあと少しで定時のところでどっと疲れがきたのかふらついた、やべっと思ったけどあと少しだしって自分の席でゆっくりと仕事をして定時であがった

あぁ、無理するんじゃなかった…これ多分熱ある…すち怒るよなぁ「体調悪いなら、休みなさいって言ったでしょ!」とか言われるよ…ただいまぁと家の扉をひらけば、心配そうな顔したすちが出迎えてくれて俺の顔見て荷物をさっと奪い手のひらをおでこに当てる、そこからは早かった俺の手を引きソファに座らせ体温計を押し付けられて測れば38度超え…そりゃ体重いわけだ…

「…あぁなんか体温みたら、さらに辛くなってきた……」
「らんらん、お水持ってきたよ」
「すち、ありがとう…」

コップにいれた水を手渡され、汗を流しておいでと言われて若干ふらつくものの歩けるし意識はしっかりしてるから、本当にサァっとシャワーだけ浴びて出ればすちが着替えを置いといてくれたのかバスタオルのそばに畳んで置いてある。俺はそれに着替えてリビングに戻ればすちにまた水を渡される

「らんらん、お水飲んでおいて?大丈夫だろうけど脱水怖いからさ」
「わかった」
「とりあえず今からお粥作ってくるからそれ食べて、今日は薬飲んで寝てね」
「はぁい…」

俺の頭なでてからキッチンへ向かうすち…迷惑かけてんなぁ…すちごめん…



シャワーから出てきたらんらんにお水を渡してからお粥を作るためにキッチンへ向かう、冷凍庫の扉を開けて冷凍しておいたご飯を取り出してレンジで軽くて温める、温めたご飯と出汁をいれて火にかける、ご飯が柔らかくなってきたところに塩を入れて味を調整して、最後に溶き卵いれて軽くて混ぜる、普段のらんらんだと量足りないだろうけど、今日はこのくらいにしてもらわないとね

「らんらん、お粥出来たよ、まだちょっと熱いからふーふーして食べて」
「すち、ありがと…」

なんか落ち込んでる…?熱というか風邪ひくことは誰でもあるんだから気にしなくていいのにな

「…こういうのはお互い様なんだから気にするなら早く元気になってよね」
「え…」
「らんらんは気にし過ぎ、恋人なんだから頼ってよ」

俺に頼って言うくせに自分は頼ってこないんだから…この甘えべため…こさめちゃん見習いなよね…ま、俺も人のこと言えないけど

「…早く元気になれるように頑張るね…」
「うんそうして、あぁそうだ、らんだから大丈夫だと思うけどお粥食べれそうになければ残していいからね」
「ぜんぶ食べれるから大丈夫」

何時もよりゆっくりなペースではあるもののお粥を完食して薬を飲んだらんらんを寝室まで連れて行って寝かせる、今日は平気だろうけどほっとくと寝ないときあるからなぁ

「さて、俺はちょっと買い物してくるから大人しく寝ててね」
「ん…いってらっしゃい…」

まだ時間が間に合うから薬とか冷えピタとか看病に必要なものを買いに行こうと思ってれば、服の裾ちょこんと掴まれて

「すち、あの、さ…」
「なぁに?」
「ねるまで、手つないでて…ほしい」

もう…そんな不安そうな顔しないでいいのに、そんなこといくらでもしてあげるよ、俺はベッドに腰かけてらんらんの手を握る

「いいよ」
「…ごめんな」
「俺ごめんはやだなぁ」
「…、あがとうすち」
「どういたしまして」

何時もより温かい手を握って俺はらんらんが眠れるまでずっとそばにいた、買い物いくのは明日にしようかな…
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