刀の保健室って何ですか?
𝐍𝐚𝐦𝐞
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友人だと思っていた人間に恋人を取られた。
転校してきた私に優しく声をかけてくれて、私の恋を誰より近くで応援してくれていた友人。
しかし、彼女はいとも簡単に私の彼氏を奪っていった。
『なんでなん。』
私のこころの声もダダ漏れに夜空に溶ける。
かっこよくて、やさしくて、つよくて、きれいで。私の王子様だった。
『でも、お似合いだもんなあ。』
浮気なんて悪いことをしているはずなのに。
良くないことなのに。
二人で寄り添う姿を見てしまった時、私よりも友人の方が恋人に似合うと思ってしまった。
どうしよう。気まずくて無言で出てきてしまい現在帰路。
卒業まで残り2ヶ月。これから友達を新しくつ作るのは難しい。ましてや彼氏もいない。
将来について考えなさいと言われたのに、今はそんな遠い先のことなんかどうでもよかった。
くそやろう。
悔しくて虚しくて、ローファーの先にぶつかった道の小石を蹴り上げた。
こつんと指先に当たった小石が飛んだ。
そう。飛んだ。
軽く触れただけの小石が意思を持つようにその場からハンパない速さで飛んだ。そして、距離およそ400メートル先の何かにぶつかったようで、小石とは思えない音が聞こえた。
『・・・・・・・・・?』
疲れているんだ。そう。疲れている。
言い聞かせた。
軽く蹴った小石が高速で飛んで何かにぶつかって弾けたなんて嘘。
嘘だよ。嘘。
「すまない。これはちょっと嘘じゃないかな」
『ひぃ』
背後からぐいっと引き寄せられ、首元が締まる。なになになにだれなに?
後ろの男を見れば、月夜に光る銀髪。透き通るような青い目。会社帰りかのようなスーツ。
『あのなにかの撮影で』
「静かに。気づかれる前に撤退する。あと君はどうしてここに迷い込んだのか説明してくれるかな?」
『・・・あっ、はい。』
静かに。そう言った男は、人差し指を口元に持っていく仕草をして次の言葉を続けたが正直それしか覚えていない。
綺麗な人だ。容姿が良いとか、雰囲気がいいとかそんなレベルではない。まるで宝石。
『あのお名前聞いてもいいですか』
「お願いだからだまってついてきてくれないかな。」
あ、こいつアホだって顔をした。
その表情は親の顔より見た数学教師も良くやる。ああ、こいつもうダメだ。と諦めた時にする顔。
舐めやがってませんか?と言いたかったがこれ以上喋ったら本当に殴られそうなので口を閉じてその男の後ろをついていくことにした。