#01.見たくないなら、目をつぶればいい
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「ちょっと知人の葬儀に参列してきますねっ☆ 面白い物が見られるかもしれません! 貴女も一緒に来ますか?」
白い道化師は最近買ったばかりのゲームソフトに熱中している少女に声をかけた。少女は葬儀に参列するのに面白いとは如何なものかと思ったが、そこには敢えて触れず、今いいところだから邪魔しないで、と部屋に不釣り合いなほどの大画面テレビから目も離さず応えた。
「そうですか! それは残念至極!」
あまり残念そうには聞こえなかった。しかし、少女にとっては徹夜(しかもノーセーブ!)でここまで進めたゲームと、誰とも知らない人の葬儀を天秤にかける……までもなかった。
「今、いいところなの。邪魔、しない、でっ!」
愛用のコントローラーを握り、必死にコマンドを入力しているため、会話まで頭が回らず途切れ途切れ再度の忠告。
《──奇襲成功っ!!》
テレビから聞こえるバックアタック成功の声。先制攻撃のチャンスだ! 少女は休む暇もなくコントローラーを操る。避けて、攻撃、防いでまた攻撃。着実に必殺技のゲージを貯めていく。敵も最後の悪あがきとばかりに大技を放ってきたが、それを難なく避けた少女の操るキャラクターが大剣を振るい、敵を斬りつけた。
《──キラッ》
ふいに光るゲージ。これで準備は整った! 少女は攻撃を防ぎながら技のタイミングを図る。HPはお互いミリ(残り僅か)だが、これが決まれば撃破成功、こちらの大勝利だ! 敵の攻撃を躱かわし、一気に間合いを詰め、強スキルで重い一撃を喰らわせた。
《ピヨピヨピヨピヨ》
「よし! ピヨった! これで、終わりっ!」
少女はすかさずBボタンを押し敵の頭上へとキャラクターを飛躍させた。敵はダウン中、攻撃も防御もできない、またとない絶好のタイミングだ。少女は自分の勝利を信じて疑わなかった。
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