1章
夢小説設定
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次の警備は1番恐れていた事態が発生した。
堂上、郁、そして由美の3人である。
本来なら別のバディの予定だったのだが、その人が急な体調不良で他に人もおらず2人のところへ入れさせてもらったのだ。
「…何だその不景気ヅラは」
「その言葉そっくりそのままお返しします」
指導が始まってからずっとこの調子だ。
この2人の間にいる由美はやりにくくて仕方がない。
2人とも別の方向を見て会話の1つもない。
そんな中郁があることに気づいた。
「要注意利用者でしょうか…」
「可能性はあるな。
職質かけてみろ」
と指示を受けて男の後を追う。
郁がトイレへ向かい、2人になり気まずい雰囲気のままも辛かったので
「私も行ってきます」
郁の後に続いてトイレへ向かった。
入るとちょうど郁が男を床に転がしていたところである。
「郁!」
「蔵書損壊容疑の現行犯です、確保しました!」
と、偉そうに言っているが
「郁、どいて!!」
郁の後ろでは転がされた男が飛び起きて郁に殴りかかろうとしていた。
「水無月!」
騒ぎを聞きつけた堂上に向かって、郁の腕を力いっぱい引っこ抜いて投げる。
ガッと鈍い音がした。
避けたと思ったけど、意外とやるじゃん。
そう思いながらも、男を背中に返しながら容赦なく背骨に馬乗りになる。
こうでもしないと男の力を押さえ込むことはできない。
「堂上教官、手錠!」
後ろ手にひねった腕に手錠をかけるよう堂上を呼ぶ。
男は今度こそ反撃の意欲をなくして潰れたままである。
「大丈夫か」
堂上がそう声をかけるが由美は一言だけ答え
「私は何とも。
それより先にどうぞ」
と、堂上を進める。
「すまん」
堂上は郁の方を向いて、頬を引っ叩いた。
「これは男だから女だからとかお前だからとかお前じゃないからとか関係ない。
この事態は俺は誰であっても殴る。
相手フリーのままで何が確保だバカが。
いつまで経ってもスポーツ気分なら辞めちまえ、お前は防衛員に向いてない」
そつ冷たく吐き捨てて今度こそ由美の方は向く。
「殴られたところ見せてみろ」
「殴られてませんよ?
擦っただけです」
「殴られたとの変わらない。見せろ」
渋々前髪を上げ、おでこを見せる。
「つっ…」
急に痛みを感じたと思ったら堂上が傷口を触ったのだ。
「触るなら触るって言ってくださいよ…」
「宣言したら触らせないだろ。
ほら、医務室行くぞ」
「え、まずこの人連れて行かないと」
「そんなのは笠原にやらせろ。
頼めるな」
「…はい」
俯きながらも郁はそう答える。
私の傷もだが、郁も早く手当てした方がいいと思うんだけど。
そんなこと言ったら堂上に怒られそうなので柴崎に連絡をこそっとしておいた。
「誰もいないのか」
医務室へ行くともう終業時間を過ぎていたためか誰もいなかった。
「仕方ない。
そこに座れ」
「いや、あの、自分で手当てくらいできます」
「いいから」
この人に口で言っても聞かないことはもう分かったので無駄な反抗はやめた。
「しみるぞ」
と、傷口に消毒液を塗られ流石に痛みが強くなってくる。
「…っ」
思わず堂上の服の裾を掴んでしまった。
「ご、ごめんなさい」
「いい。
まだ続くから痛いならそうしてろ」
と、許可を頂いたので甘えさせてもらう。
思ったよりも痛かった。
「かっこ悪い〜」
「仕方ないだろ」
手当てをしてくれた堂上には悪いがこれは本当にかっこ悪い。
だっておでこに大きな絆創膏を貼られた成人女性ってこの世にいる?
「お前が怪我しなきゃ済む話だろうが」
「避けれると思ったんですけど、思ったより郁が重くて」
「お願いだから」
「は、はい?」
突然肩を押さえられ強めに言われる。
「自分のことも大事にしてくれ。
それがお前の良いところだし、変わっていないのはいいことだが」
「変わってない、というのは?」
気になることがあったからそう聞いただけなのに突然堂上は焦りだし答えてくれなかった。
「いいから。
もっと自分のことも考えろ。
わかったな」
「…はい。
でも、郁に怪我がなくてよかった」
「だからお前は」
「別に私はいいんです。
周りの人が幸せなら。
手当てありがとうございました」
そう言って医務室から出る。
今更自分のことを大切にするなんて生き方、もう分からない。
堂上、郁、そして由美の3人である。
本来なら別のバディの予定だったのだが、その人が急な体調不良で他に人もおらず2人のところへ入れさせてもらったのだ。
「…何だその不景気ヅラは」
「その言葉そっくりそのままお返しします」
指導が始まってからずっとこの調子だ。
この2人の間にいる由美はやりにくくて仕方がない。
2人とも別の方向を見て会話の1つもない。
そんな中郁があることに気づいた。
「要注意利用者でしょうか…」
「可能性はあるな。
職質かけてみろ」
と指示を受けて男の後を追う。
郁がトイレへ向かい、2人になり気まずい雰囲気のままも辛かったので
「私も行ってきます」
郁の後に続いてトイレへ向かった。
入るとちょうど郁が男を床に転がしていたところである。
「郁!」
「蔵書損壊容疑の現行犯です、確保しました!」
と、偉そうに言っているが
「郁、どいて!!」
郁の後ろでは転がされた男が飛び起きて郁に殴りかかろうとしていた。
「水無月!」
騒ぎを聞きつけた堂上に向かって、郁の腕を力いっぱい引っこ抜いて投げる。
ガッと鈍い音がした。
避けたと思ったけど、意外とやるじゃん。
そう思いながらも、男を背中に返しながら容赦なく背骨に馬乗りになる。
こうでもしないと男の力を押さえ込むことはできない。
「堂上教官、手錠!」
後ろ手にひねった腕に手錠をかけるよう堂上を呼ぶ。
男は今度こそ反撃の意欲をなくして潰れたままである。
「大丈夫か」
堂上がそう声をかけるが由美は一言だけ答え
「私は何とも。
それより先にどうぞ」
と、堂上を進める。
「すまん」
堂上は郁の方を向いて、頬を引っ叩いた。
「これは男だから女だからとかお前だからとかお前じゃないからとか関係ない。
この事態は俺は誰であっても殴る。
相手フリーのままで何が確保だバカが。
いつまで経ってもスポーツ気分なら辞めちまえ、お前は防衛員に向いてない」
そつ冷たく吐き捨てて今度こそ由美の方は向く。
「殴られたところ見せてみろ」
「殴られてませんよ?
擦っただけです」
「殴られたとの変わらない。見せろ」
渋々前髪を上げ、おでこを見せる。
「つっ…」
急に痛みを感じたと思ったら堂上が傷口を触ったのだ。
「触るなら触るって言ってくださいよ…」
「宣言したら触らせないだろ。
ほら、医務室行くぞ」
「え、まずこの人連れて行かないと」
「そんなのは笠原にやらせろ。
頼めるな」
「…はい」
俯きながらも郁はそう答える。
私の傷もだが、郁も早く手当てした方がいいと思うんだけど。
そんなこと言ったら堂上に怒られそうなので柴崎に連絡をこそっとしておいた。
「誰もいないのか」
医務室へ行くともう終業時間を過ぎていたためか誰もいなかった。
「仕方ない。
そこに座れ」
「いや、あの、自分で手当てくらいできます」
「いいから」
この人に口で言っても聞かないことはもう分かったので無駄な反抗はやめた。
「しみるぞ」
と、傷口に消毒液を塗られ流石に痛みが強くなってくる。
「…っ」
思わず堂上の服の裾を掴んでしまった。
「ご、ごめんなさい」
「いい。
まだ続くから痛いならそうしてろ」
と、許可を頂いたので甘えさせてもらう。
思ったよりも痛かった。
「かっこ悪い〜」
「仕方ないだろ」
手当てをしてくれた堂上には悪いがこれは本当にかっこ悪い。
だっておでこに大きな絆創膏を貼られた成人女性ってこの世にいる?
「お前が怪我しなきゃ済む話だろうが」
「避けれると思ったんですけど、思ったより郁が重くて」
「お願いだから」
「は、はい?」
突然肩を押さえられ強めに言われる。
「自分のことも大事にしてくれ。
それがお前の良いところだし、変わっていないのはいいことだが」
「変わってない、というのは?」
気になることがあったからそう聞いただけなのに突然堂上は焦りだし答えてくれなかった。
「いいから。
もっと自分のことも考えろ。
わかったな」
「…はい。
でも、郁に怪我がなくてよかった」
「だからお前は」
「別に私はいいんです。
周りの人が幸せなら。
手当てありがとうございました」
そう言って医務室から出る。
今更自分のことを大切にするなんて生き方、もう分からない。