1章
夢小説設定
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本を読むのは昔から好きだったし、何よりその時間が1番自由だった。
そんな大切なものだったのに守れなかった本がある。
私が弱いから。
立ち向かう勇気がなかったから。
だから守れる強さが欲しかった。
あの時のあの人と同じように。
高校生の時たまたま入った本屋で検閲に出くわした。
ー郁と同じ場所である。
噂には聞いたこともあるけど初めて良化特務機関だった。
良化委員会の隊員あちは店内を駆け回り、持ち込んだコンテナに「問題図書」を次から次へ投げ込んでいく。
その手つきには本に対する敬意は微塵も感じられず、コンテナの中で本たちは表紙が折れたり曲がったりやぶれたり。
ひどい、あんな手荒に。
いたたまれなくて由美は目を逸らす。
私には守れない。
あの時の本のように。
私が弱いから。
そんな思いに潰されそうになり本屋を出ようとした。
「何を隠してる!」
声のする方を向くと同じくらいの歳の女の子が良化隊員に詰問されていた。
それが、郁だった。
「いやっ…」
女の子が抗ったと同時に一冊の本が落ちた。
すぐに分かった。
あの子はあの本を守ろうとしていたのだと。
こんてなに本を放ろうとした隊員の腕に、郁はとっさにしがみついていた。
「離せ!
それとも万引きの現行犯で警察に行きたいか!?」
「いいわよ行くわよ!
店長さん警察呼んで!
あたし万引きしたから!
盗った本と一緒に警察行くから!」
その言葉を聞いた途端体が勝手に動いていた。
「止めてください!」
郁と良化隊員の間に割り込む。
「何だ、お前は!邪魔する気か!
お前も警察に行くか!?」
「私が何したって言うんですか!」
「うるさい!離せ!」
「公序良俗を謳ってあんたたちは何を守りたいの!?」
そんな言葉がよく自分の口から出たなって言いながら驚いた。
その言葉には良化隊員も少し怯んだが思いっきり突き飛ばされ
派手に尻餅をつく直前で支えが入った。
振り向くとスーツ姿の青年が由美を片手で支えていた。
そのまま床にへたり込んだ由美が見上げている前で青年は隊員に歩み寄り、有無を言わさず本を取り上げた。
「何をするキサマ!」
いきりたった隊員の前で、青年は内懐から出した手帳のようなものを掲げた。
「こちらは関東図書隊だ!
それらの書籍は図書館法第30条に基づく資料収集権と三等図書正の執行権限をもって、図書館法施行令に定めるところの見計らい図書とすることを宣言する!」
高らかに宣言するその人の背中を見上げ、胸に湧き上がった言葉は1つだけだった。
ー本を守ってくれた。
そんな大切なものだったのに守れなかった本がある。
私が弱いから。
立ち向かう勇気がなかったから。
だから守れる強さが欲しかった。
あの時のあの人と同じように。
高校生の時たまたま入った本屋で検閲に出くわした。
ー郁と同じ場所である。
噂には聞いたこともあるけど初めて良化特務機関だった。
良化委員会の隊員あちは店内を駆け回り、持ち込んだコンテナに「問題図書」を次から次へ投げ込んでいく。
その手つきには本に対する敬意は微塵も感じられず、コンテナの中で本たちは表紙が折れたり曲がったりやぶれたり。
ひどい、あんな手荒に。
いたたまれなくて由美は目を逸らす。
私には守れない。
あの時の本のように。
私が弱いから。
そんな思いに潰されそうになり本屋を出ようとした。
「何を隠してる!」
声のする方を向くと同じくらいの歳の女の子が良化隊員に詰問されていた。
それが、郁だった。
「いやっ…」
女の子が抗ったと同時に一冊の本が落ちた。
すぐに分かった。
あの子はあの本を守ろうとしていたのだと。
こんてなに本を放ろうとした隊員の腕に、郁はとっさにしがみついていた。
「離せ!
それとも万引きの現行犯で警察に行きたいか!?」
「いいわよ行くわよ!
店長さん警察呼んで!
あたし万引きしたから!
盗った本と一緒に警察行くから!」
その言葉を聞いた途端体が勝手に動いていた。
「止めてください!」
郁と良化隊員の間に割り込む。
「何だ、お前は!邪魔する気か!
お前も警察に行くか!?」
「私が何したって言うんですか!」
「うるさい!離せ!」
「公序良俗を謳ってあんたたちは何を守りたいの!?」
そんな言葉がよく自分の口から出たなって言いながら驚いた。
その言葉には良化隊員も少し怯んだが思いっきり突き飛ばされ
派手に尻餅をつく直前で支えが入った。
振り向くとスーツ姿の青年が由美を片手で支えていた。
そのまま床にへたり込んだ由美が見上げている前で青年は隊員に歩み寄り、有無を言わさず本を取り上げた。
「何をするキサマ!」
いきりたった隊員の前で、青年は内懐から出した手帳のようなものを掲げた。
「こちらは関東図書隊だ!
それらの書籍は図書館法第30条に基づく資料収集権と三等図書正の執行権限をもって、図書館法施行令に定めるところの見計らい図書とすることを宣言する!」
高らかに宣言するその人の背中を見上げ、胸に湧き上がった言葉は1つだけだった。
ー本を守ってくれた。