1章
夢小説設定
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「これ返すね」
店の計らいだろう、泣かされた子供は作業カウンターのの横でお菓子をもらって休んでいた。
子供は郁の渡した本を嬉しそうに受け取った。
「すみません、ちょっと間抜けだったんですけど」
「ちょっとっていうかかなりね」
「そんな言わなくてもいいじゃん!!」
「いいえ、そんな」
母親が恐縮したように首を振る。
「今日、この子の誕生日で。
好きな本を一冊買ってあげるって約束してたんです」
高くていつもは買ってあげられないから、と少し恥ずかしそうに俯く母親。
「この子の欲しい本を買ってあげられてよかったです」
堂上たちが来てくれてよかった、と由美も心底思った。
本には求める人の気持ちがいつでも寄せられている。
そして著す人の気持ちも。
私たち、図書隊はただ本を守っているのじゃない。
本に寄せられている人の気持ちを守っているのだ。
そう思うことができて本当によかった。
「おねえちゃんたち、ありがとう」
子供が笑う。
そこには本が好きだった幼い頃の自分がいた。
本を守りたい、ずっと読んでいたいって思っている自分が。
その頭をそっと撫でたのは無意識だったと思う。
私を救ってくれたあの人のように私の手はちゃんと優しいだろうか。
店の計らいだろう、泣かされた子供は作業カウンターのの横でお菓子をもらって休んでいた。
子供は郁の渡した本を嬉しそうに受け取った。
「すみません、ちょっと間抜けだったんですけど」
「ちょっとっていうかかなりね」
「そんな言わなくてもいいじゃん!!」
「いいえ、そんな」
母親が恐縮したように首を振る。
「今日、この子の誕生日で。
好きな本を一冊買ってあげるって約束してたんです」
高くていつもは買ってあげられないから、と少し恥ずかしそうに俯く母親。
「この子の欲しい本を買ってあげられてよかったです」
堂上たちが来てくれてよかった、と由美も心底思った。
本には求める人の気持ちがいつでも寄せられている。
そして著す人の気持ちも。
私たち、図書隊はただ本を守っているのじゃない。
本に寄せられている人の気持ちを守っているのだ。
そう思うことができて本当によかった。
「おねえちゃんたち、ありがとう」
子供が笑う。
そこには本が好きだった幼い頃の自分がいた。
本を守りたい、ずっと読んでいたいって思っている自分が。
その頭をそっと撫でたのは無意識だったと思う。
私を救ってくれたあの人のように私の手はちゃんと優しいだろうか。