1章
夢小説設定
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図書基地で練成訓練の監督中だった堂上の携帯がマナーモードで揺れた。
確認すると玄田だ。
嫌な予感がした。
今日は由美と郁が玄田のバディのはずである。
「ーもしもし」
『お前の秘蔵っ子が暴走だ、すぐに来い!」
開口1番それだった。
『追いかけたが無駄に速い!』
と、玄田の息は上がっている。
玄田がどちらのことを言っているのかなんてすぐに分かった。
だからこそ気になった、もう1人の人を。
あいつは同じミスをするはずがない。
「水無月はどうしたんですか」
「あいつは笠原を追いかけた。
あいつも無駄に速い」
そりゃそうだ。
あいつはハイポートで15位になる奴らだ。
「あのバカ!」
走りながら呟くと後ろから足音が追いついた。
見ると小牧だ。
堂上の様子に気づいて自分も抜けてきたらしい。
「何かあったろ、笠原さんと水無月さん」
頷いて手短に事情を説明すると、小牧が走りながら吹き出した。
「ああーいつかやると思ってたよ俺。あの子はさ」
「笑い事じゃない」
基地内の車輌格納庫で手短なライトバンに飛び乗る。
「楽しいね、彼女。無鉄砲でさ」
「楽しいわけあるか」
と苦虫を噛み潰した。
「ところで、水無月さんはどうしたの?
まさか笠原さんと同じようにやったわけじゃないよね」
「あいつは笠原を止めようと追いかけたらしい」
「ああ、なるほどね。
さすがだね、彼女」
さすが郁だ。
足が速い。
書店に着くと郁が高らかに宣言をしていた。
「図書館法第30条に基づく資料収集権と、一等図書士の執行権限をもって、図書館法施行令に定めるところの見計らい図書とすることを宣言します」
ああ、間に合わなかった。
良化隊員の爆笑が弾けてしまった。
「郁!」
「由美、なんで!」
「見計らい図書の権限は、図書正以上にしか認められてないのよ!!
座学ちゃんと聞いてないからこう言うことになるの!!」
「えっ、うそ!まじ!?」
「そいつの言う通りだ。
どうやらお前も図書士のようだけどな。
というわけで、これは返してもらおうか」
郁が持っていた本に手をかけようとしたがその手を由美は止めた。
「なんでこの本が駄目なのか聞くくらいはいいわよね」
少しでも時間を。
「著者の経歴に問題がある。
良化法反対集会の常連だ」
「何よそれ。
もう少しまともな答えが欲しかった」
あと少し。
玄田教官が基地に連絡を入れてくれたからきっと来てくれる。
それまで。
本を手放してはいけない。
あの人が来るまで。
揉み合っている間に、バランスが崩れて後ろへ大きく飛ばされた。
あっ転ぶ。
衝撃に身構えて身を竦めた瞬間
力強い腕に背中を抱き留められた。
この腕を私は知ってる。
あの時と同じ腕。
ー堂上だ。
やっぱり来てくれた。
「遅れたが、二等図書正2名に三等図書監一名だ!
不足あるまい」
堂上の宣言に後ろを伺うと、玄田と小牧もいた。
特務機関の隊長が吐き捨てるような舌打ちをして、良化隊員たちは本を置いて去った。
確認すると玄田だ。
嫌な予感がした。
今日は由美と郁が玄田のバディのはずである。
「ーもしもし」
『お前の秘蔵っ子が暴走だ、すぐに来い!」
開口1番それだった。
『追いかけたが無駄に速い!』
と、玄田の息は上がっている。
玄田がどちらのことを言っているのかなんてすぐに分かった。
だからこそ気になった、もう1人の人を。
あいつは同じミスをするはずがない。
「水無月はどうしたんですか」
「あいつは笠原を追いかけた。
あいつも無駄に速い」
そりゃそうだ。
あいつはハイポートで15位になる奴らだ。
「あのバカ!」
走りながら呟くと後ろから足音が追いついた。
見ると小牧だ。
堂上の様子に気づいて自分も抜けてきたらしい。
「何かあったろ、笠原さんと水無月さん」
頷いて手短に事情を説明すると、小牧が走りながら吹き出した。
「ああーいつかやると思ってたよ俺。あの子はさ」
「笑い事じゃない」
基地内の車輌格納庫で手短なライトバンに飛び乗る。
「楽しいね、彼女。無鉄砲でさ」
「楽しいわけあるか」
と苦虫を噛み潰した。
「ところで、水無月さんはどうしたの?
まさか笠原さんと同じようにやったわけじゃないよね」
「あいつは笠原を止めようと追いかけたらしい」
「ああ、なるほどね。
さすがだね、彼女」
さすが郁だ。
足が速い。
書店に着くと郁が高らかに宣言をしていた。
「図書館法第30条に基づく資料収集権と、一等図書士の執行権限をもって、図書館法施行令に定めるところの見計らい図書とすることを宣言します」
ああ、間に合わなかった。
良化隊員の爆笑が弾けてしまった。
「郁!」
「由美、なんで!」
「見計らい図書の権限は、図書正以上にしか認められてないのよ!!
座学ちゃんと聞いてないからこう言うことになるの!!」
「えっ、うそ!まじ!?」
「そいつの言う通りだ。
どうやらお前も図書士のようだけどな。
というわけで、これは返してもらおうか」
郁が持っていた本に手をかけようとしたがその手を由美は止めた。
「なんでこの本が駄目なのか聞くくらいはいいわよね」
少しでも時間を。
「著者の経歴に問題がある。
良化法反対集会の常連だ」
「何よそれ。
もう少しまともな答えが欲しかった」
あと少し。
玄田教官が基地に連絡を入れてくれたからきっと来てくれる。
それまで。
本を手放してはいけない。
あの人が来るまで。
揉み合っている間に、バランスが崩れて後ろへ大きく飛ばされた。
あっ転ぶ。
衝撃に身構えて身を竦めた瞬間
力強い腕に背中を抱き留められた。
この腕を私は知ってる。
あの時と同じ腕。
ー堂上だ。
やっぱり来てくれた。
「遅れたが、二等図書正2名に三等図書監一名だ!
不足あるまい」
堂上の宣言に後ろを伺うと、玄田と小牧もいた。
特務機関の隊長が吐き捨てるような舌打ちをして、良化隊員たちは本を置いて去った。